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古代から変わらない「働き盛り」の概念。平均寿命100歳時代に働き盛りの期間を伸ばすために

古代から変わらない「働き盛り」の概念。平均寿命100歳時代に働き盛りの期間を伸ばすために

古代から変わらない「働き盛り」

「アクメー」という言葉があります。
ギリシア語で「天頂」を意味し、転じて「働き盛り」とか「キャリアのピーク」を指したりもする言葉です。
アクメーはだいたい誰でも40歳過ぎくらいだろうということになっており、生年不詳の人物の生まれ年の推定などにも使われています。
歴史の教科書などで「生年不詳。およそ紀元前469年生まれ」とかなってる場合、アクメーの時期からの推定(代表的な著作を書き上げた年とかを40歳と仮定して逆算する)が多いです。

 

例えばさっきの紀元前469年というのソクラテスの推定生まれ年ですが、そんな大昔からアクメー=働き盛りは大体40歳くらい…ということになってるわけです。
大学時代にこの話を聞いたとき、『気力・体力の充実』と『経験による知識や智慧の成熟』が最高レベルで均衡する時期(つまり働き盛り)が40歳くらい…と言う認識は古代から変わっていないと言う事実に驚きました。

 

人生100年時代には「働き盛り」の拡張が必要

 

以上のように、働き盛りの時期が40代ってのは古代からずっと変わらない感覚なのですが、これからやってくる人生100年時代にも同じでは困る。
人間の寿命がどんどん伸びていくのであれば、それに合わせて「働き盛りの期間」も長くなっていくべきだと思います。
これまではざっくり40歳からピーク期に入り45歳までくらいでピークアウトするくらいの認識だった訳ですが、これからは40〜65歳くらいまでがピーク期として維持されるようになるべきではないでしょうか。
つまり人間の寿命がこれまでの歴史上、比類なく大幅に伸びていくのであれば、人生の最盛期も今までの歴史上で最も長く継続されるようにしていかなくてはならない。そしてそのために働き方やスキル開発、モチベーションセッティングを変えていく必要がある。そのための社会や制度をどう作っていくのか…そこを考えなくてはならないはずです。
そういう観点で、僕はパラレルワークの可能性に注目しています。

 

企業にはびこる「忖度村」終身雇用制度の中でのキャリアの限界と抑圧

 

 

これまでの終身雇用を前提とするキャリア形成は単一の所属組織の中で出世できるかどうかと言うシンプルなものでした。
このようなスタイルだと組織内に「一部の成功者」と「大多数の成功しなかった人」が作り出されてしまいます。
成功しなかった人は途中でモチベーションと人生の方向性を見失い「ミドルエイジクライシス」というモヤモヤ期に突入する人も多くいるはず。
ミドルエイジクライシスに直面した人たちが迷い苦しんでいる一方で出世した成功者たちも守りに入る人が多く、新しいこと、チャレンジングな意思決定に対して否定的になってしまうケースも多いようです。
不確実性の高い新しいことに対しても常に「成功の確証」を求めてしまうために時代の変化に応じた新しい事業がはじめられない。
そうした人たちが組織の中枢に多くいることで企業の時代応答性が損なわれ、変化の激しい時代に対応できなくなっていく訳です。
この意思決定の硬直化が平成の日本企業が直面し、ついにクリアできなかった組織構造上の欠陥であると僕がお会いした多くのビジネスパーソンも指摘しています。
社長以下、組織の中でキャリア的に成功した人たち=経営陣はチャレンジングな意思決定がしにくい状態になりますが、成功しなかった人たちも状況は変わりません。彼らは出世レースの雌雄が決したキャリアの終盤は双六でいう「アガリ」の状態になります。
経営陣以上に保守的になり、過去の話を伝えるだけの長老的な役回りを担い、結果、企業をより閉鎖的にしてしまう場合も多いと思います。
彼らは会社にいる間、ずっと自らの負け戦を背負い続けるわけでモチベーションも当然上がらないでしょう。そして役職定年を迎えたりしてしまうと、その日を境に、今までたくさんのメールに付いていた自分あてのCCが一気に外され、企業という村社会での孤立感が一気に襲ってくる…そういう方が多いと聞きます。

 

パラレルワークによる自己研鑽の継続が「働き盛り」を楽しみながら延伸させる

 

そんな状況下で「アクメー」、つまりキャリアのピークタイムを継続させていくなんてできるはずがありません。
モチベーションを維持するために重要なのは自分のスキルが常に社会に必要とされている状況が作られることであり、また、晩年に至っても社会に必要とされるようスキルを常にアップデートしていく意識を持つことであり、その必要とされるスキルを実際に現場で磨き続けることではないでしょうか。
そのための選択肢として、今の終身雇用制度だけでは十分でないと思います。

 

一社で様々な経験ができる会社もあるでしょうし、一つのスキルを極めることで社会に十分な価値を提供できる人がいること、あるいは複数のチャレンジを行うのが本質的に向いていない人もいるでしょう。
ですからそういう働き方を否定するつもりは全くありませんが、複数の会社で働くことで多能工的なスキルセットを持つことはその人の価値を上げていくことにつながります。また実践の中で学び続けるライフスタイルとしてそんな生き方も選択肢として許容されるべきだと思います。

 

僕の知人に珍しいスキルセットを持つ方の代表として「女優兼ITエンジニア」という方がおられます。
彼女は本当に美しい方で、お会いした時のオーラがとても眩しいのですが、彼女をユニークたらしめているのはエンジニアとしてもプロであり、受託開発などもされているというところ。これにより彼女は日本でも唯一の存在になっているわけです。

 

「働き方・働く選択肢の民主化」の手法としてのパラレルワーク

 

特殊な複合的スキルセットを獲得することで、その存在がユニークなものになれば、社内的評価が今ひとつであったとしても、社外からの評価、あるいは社会的な評価が別軸で発生していきます。
これをモチベーションの源泉として本業の会社内で「アガリ」が来た後でもパフォーマンスを発揮し続けることもできるかもしれません。
また、多能工的に複合的なスキルセットを獲得した人が、自分をより高く評価をしてくれる会社、より必要としてくれる会社へ転職していくことも社会全体としては歓迎されるべきことだと思います。
社会の中で人材の最適配置が進むということですから。

 

これから、労働人口がどんどん減っていく中で、限られた労働力は社会全体で最適な配置をしていかなければなりません。
一つの企業内で有為な人材を囲い込み、その能力の最大化を図らずに飼い殺しするようなことはこれからの時代に決して許されることではない、僕はそう思います。
そうしないためには「働く選択肢の民主化」が必須であり、その一つがパラレルワークの解禁なのではないかと思っています。

 

公務員スタートアップ巨大IT企業。特殊なキャリアの中でパラレルワークを実践

 

とはいえ「そんなに言うならおまえは実際に副業をやったことあるのか?」と言う人もいるでしょう。
なので、今、僕はまさにパラレルワーク真っ最中です。
僕はもともと大阪市役所という大規模自治体の職員として20年間、様々なセクションを渡り歩き、「お堅い大組織」について大いに辛酸を舐めながら十分に勉強をさせていただきました。
そして2年半ほど前にフィラメントという会社を立ち上げ、エスタブリッシュ系大企業(特に製造業や大規模SIer)のコンサルティングを生業としています。
そしてさらに去年の12月から日本のIT企業の代表格と言えるヤフーにも籍を置き、スタートアップと大企業のパラレルワークを身を以て体験しています。

 

ヤフーという組織に身を置く中で感じたことはとても学びが多いということです。
まだ道半ばですし、仕事内容など含めあまり多くは語れませんが、本当に学びが多い。
今まで自分が経験していたのとは異なる別な組織、異なるカルチャーと接すること、異なるバックグラウンドを持つ多くの仲間と出会い、コミュニケーションをすることでこんなにインプットが広がるのかと驚くばかりです。
こうした異分野の情報のストリームに身を晒すことでどんどん自分もアップデートされていきます。
自分の可能性もどんどん広がっていくのを感じる。
本業のフィラメントの方で仕事をしていくことにも良い影響があり、コンサルティングを行う領域も広がっていますし、社員からも「ヤフーのこと話す時すごく楽しそうですね」と言われる。

 

社会にパラレルワークを浸透させていくことの意義と可能性

 

この自分自身がリフレッシュされる感覚は本当に良いもので、これがあれば自分自身が「ローリングストーン」であり続けられるに違いないと実感値をもって言えます。
もちろん、法整備上の問題もあるでしょう。
そもそも労働基準局の職員の意識が古いままなので色々な軋轢もあるかもしれませんが、これからの労働人口激減社会においては、やる気のある人を一つの企業が囲ってしまうような従来型の考え方では成立し得ない訳です。
そんな中で、やる気のある人がイキイキと自分のキャリアを積み上げ、そのスキルを社会に向けて存分に発揮していけるようにするためには、「働き方・働く選択肢の民主化」が必要であり、その手法の一つとしてパラレルワークの自由は早期に実現されるべきだと思います。

 

今年、2018年には厚生労働省が作るモデル就業規則が、副業・兼業が容認される内容に改定される予定となっており、事実上の「パラレルワーク元年」となると言われています。
そんなパラレルワーク元年に僕自身のこれまでのキャリアや現在実行中のパラレルワークでの経験、学びをうまく生かして、何らかの形で社会に還元していきたい。そういう思いを強くしています。

 

社会をアップデートしていくために、社会をより良くするために、フィラメントとしても「働き方の民主化」に何か貢献していきたいと思っています!
Photo: https://pixabay.com/
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