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未来の二つの顔(TV編)

未来の二つの顔(TV編)

皆さんはご存知でしょうか。TVという言葉の語源を。
「Tele(遠隔の)」と「Vision(映像)」。
つまり遠くの映像をうつす装置という意味です。
でも今の若い世代に「遠隔映像装置」って何かわかる?って聞けば、ほとんどの人がスマホと答えるんじゃないでしょうか。

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私、そんな状況に置かれている遠隔映像装置、テレビの未来について考えるイベント「TV LOVE IT」の司会をさせていただいております。
このイベント、これまで二回開催し、一回目ではMBS(毎日放送)とABC(朝日放送)とバスキュール(テレビとのタイアップ企画を多く手掛ける大手IT企業)から、二回目はKTV(関西テレビ)、TVO(テレビ大阪)、YTV(読売テレビ)からそれぞれご登壇いただいて、よそでは決してみられない奥の深いセッションを繰り広げています。
関西の全民放(社員)が1イベントに参加して意見を述べ合うってのはとてもすごいことなので、本当は弊社のWORKSとして載せたい。でもコンフィデンシャルな内容が多いので、このイベントを通じて思ったことをブログとして書きたいと思います。

このイベントをやっていて気づいたのは「テレビ」の定義は人によって違い、大きく分けて次の二つがあるということ。

①テレビとは放送波で同時視聴するコンテンツを見るデバイスまたはその放送波のことだ
②テレビとはテレビ局が作るコンテンツを見るデバイスまたはそのコンテンツそのものだ

②の立場の人は概ねテレビの未来を楽観視していて、マルチスクリーン(テレビとスマホの同時視聴みたいなこと)やタイムシフト視聴もチャンスだととらえています。現時点では莫大な広告費に支えられているテレビコンテンツのクオリティの高さにアドバンテージがあるからです。
でも①の立場だと、悲観的な観測になります。これは放送波でテレビを見る必然性が失われつつあるためです。事実、テレビの視聴時間数は若い世代ほど減り、反対にインターネットの接触時間は増えています。①の立場の人たちにとっては放送波の良さを追求することがテレビの生き残りに重要ってことになるのですが、それって何でしょう?

僕の答えは、一斉同時視聴性、つまり多数の人が確実に一緒に番組を見ているという感覚です。
極論テレビの優位性はこの一斉同時視聴性しかないと思っています。
野外フェスでライブを見るときのように多くの人が同じものを見て興奮をともにする実感。そこに充足感やエネルギーが生まれる。テレビが熱のあるメディアでいられた理由はここです。
この一斉同時視聴性に今後も間違いなくフィットするのはライブ配信のスポーツやコンサートなどのイベント系か報道番組です。

一方で➁の立場をつついてみると弱点も出てきます。今やクオリティが高いコンテンツなんてテレビでなくても作れる。例えば9月から日本でもサービスが始まったNETFLIXは多くの独自コンテンツを生み出しています。しかもそれらの多くはテレビよりも評価が高い。
当然です。
価値観が多様化し、個人の発言力が増した現代では、ほんのちょっとしたことでも炎上してしまう。公共性の高いテレビ局はそうしたリスクを極力減らしたい。結果、平穏無事に放送できてかつ視聴率がよかった作品をお手本にテンプレートを作り、量産する。よく似た没個性の番組がゴールデンタイムにずらーっと並ぶ。
でも現代では価値観が多様化しているので、それを受け入れるのはおじいちゃん達だけで若い人は見向きもしない。
そして、どんどん若者のテレビ離れが進む負のスパイラルに落ち込んでるわけですよ。

そんな中、NETFLIXは日本でサービスインするんです。
ご存じない方のために簡単に説明すると、NETFLIXはインターネットなどを経由してご家庭に番組を配信する会社でWOWOWみたいに個別契約する仕組みです。
契約者にのみコンテンツを届けるという特性上、炎上とか気にしなくて良いわけです。だから制作に自由があります。作家性を打ち出しても良いし、エロとかグロの規制も緩い。キラーコンテンツが作りやすい環境です。日本でも本格的に番組制作するようになれば(最初はおとなしい番組を作ると思いますが徐々に過激な番組を作り出しますよ。そうなれば僕も契約します)放送波で配信されるテレビ番組へのユーザーのコミットはさらに低下し、テレビ局に広告費は落ちなくなるでしょう。

この(テレビ局にとって)カタストロフ的な未来を打破するためには2つ方法があると思います。
一つは、テレビ配信を前提としない尖ったコンテンツをテレビ局が作ること。
昔は作れていた尖った番組を作り、NETFLIXみたいに合意が取れた契約者向けにどんどん配信していく。もちろんそのためのプラットフォームも必要でしょう。それはバスキュールなりHAROiD(日本テレビとバスキュールが共同出資した会社)なりが作ってくれたらと思います(勝手な期待ですが)。

もう一つは、ITの持つ即時性とテレビの持つ一斉同時視聴性という双方の強みをかけあわせた番組制作の深化です。
テレビの一斉同時視聴性を生かせているのは前述のスポーツやニュースのほかにもあります。ラピュタ放映時の「バルス祭り」なんかはまさにそれですし、ロッキーホラーショーを劇場で見るときもそういう面白さがあります。観客みんなで画面に突っ込んだりするとか本当に楽しい。(これも勝手にHAROiDに期待してます。実はHAROiDが何する会社かよく知らない…)

こうした2つの方向性を突き詰めて、放送波だけにこだわらずいろいろなものとコラボした面白い番組制作を今後も進めてほしいなあと(43歳テレビっ子は)思う次第です。
テレビの未来はテレビ局の社員の方が現状維持をめざすのではなくイノベーティブかつ戦略的に動けるかどうかにかかっている。
未来を選択するのはテレビの現場次第です。

それはそうと「TV LOVE IT」の3回目が待ち遠しいなあ…


TV LOVE IT
https://tvloveit.doorkeeper.jp

TV LOVE IT #2「未来への道標」
https://tvloveit.doorkeeper.jp/events/28039

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