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公務員時代の話①

公務員時代の話①

僕が公務員だったというと大抵驚かれます。
次に「全然公務員っぽく見えないですね〜」と言われます。
それはおそらく褒め言葉で「公務員には全然見えないくらいイケてるよ?アンタ」的なニュアンスを感じます。

ありがとうございます。とてもうれしいです。
でも公務員でもかっこいい人はたくさんいるんです。

それはともかく今回は僕が公務員としてどんな経験をしてきたか、書いてみたいと思います。

僕が大阪市役所に入庁したのは、平成7年4月(オウム真理教が強制捜査されてる頃)。
志望動機は、福利厚生がしっかりしていて仕事にノルマがなく(と思っていたけど実際はそうでもない)、転勤もしなくてすむし、とにかく「ラク」に生きていけそうだと思ったからです(つまり「意識低い系」でした)。

市役所に入って最初に配属されたのは区役所の固定資産税係。新築の建物ができたら、調査に行って家の評価額(固定資産税の算出基礎になる価格です)を算定する仕事です。年間100件以上の新築物件を回るので、家屋に対する目が肥えます。
そのせいで「建売を買うんじゃなくて、自分の住処は自分でデザインしたい」と思うようになり、そこそこ凝った自宅を建てることになりました。
(今でも住宅系・インテリア系の雑誌はよく買いますし、建てられるものならもう一軒家を建てたいと思ってます)

次に配属されたのが民生局(今は福祉局に改組)というセクション。
いわゆる福祉全般を担当するセクションですが、とにかく事業ボリュームのでかい職場で、局内の調整や法務関係、介護保険、高齢福祉、障がい福祉といろいろな部署で学ばせていただきました。
福祉で楽な仕事はなかったですが、中でも障がい福祉の仕事は本当に大変でした。

当時「障害者自立支援法」という法律が施行され、国全体で新しい制度を立ち上げていく時期でした。しかも障がい当事者の負担が増えるというドラスティックな改正で、現場の混乱は想像を絶するものがありました。
国中の障がい福祉担当者が大変な状態だったので、大阪市の同僚だけでなく、厚労省や他の自治体の方々とも情報交換や連携を図りつつ仕事をしました。
このとき一緒に仕事をした方々はいまだに「戦友」です。あれから10年も経つのに桜のシーズンになると遠くは北海道から戦友たちが大阪の僕の家に集まって花見を楽しむのが恒例になっています。

めでたく障害者自立支援法の立上げをやり切り、その後に配属されたのが、市政改革室というコストカットをやるセクション。
ここでは組織のエゴをたくさん見て本当にうんざりしました。
自分に最も合わなかった仕事でした。

続いて異動したのが計画調整局(今は都市計画局に改組)というセクション
ここでの仕事は局内調整がメイン。
このセクションの特徴はとにかく、なんというか「話が分かる」人達が多いこと。
この職場に来て「あ、なだめたりすかしたりしなくても言うことをきいてくれる人達ばっかりや」と思ったのを覚えています。
福祉でもなんでも事業の現場ってロジックでは動いていないんですよね。この計画調整局以前にいた職場は、現場が近かったので、人に動いてもらうのが大変だったのですが、その点、計画調整局は現場から遠いのか、非常にロジカルな思考をする人が多くて助かりました。

そんな感じで、余裕ができたので、今まで全然チャレンジしていなかったことをやってみよう!!と思いたち、政策提案という制度にエントリーします。
その際、僕がテーマとして選んだのは、大阪市の当時最大の課題だった生活保護。
当時の税収は6000億円。それに対して生活保護費は3000億円。この数字だけでも課題の切迫感が伝わると思います(生活保護の原資には国費も入るというからくりがあるのですが…詳しくは下のスライドをご覧ください)。
で、作った提案がこちらです。

◇生活保護予算を活用した電子決済の普及促進について

230131生活保護プレゼン(発表用・2月1日向け最終確定版) from 勝 角


この政策提案制度はコンテスト形式になっており、僕の提案の評価は優秀賞と審査員特別賞をダブル受賞し、実質2位の評価。最優秀賞は(関係筋によると)事前に決まっているようなので、影の1位だなと勝手に思っています。
僕の提案は、当時の市長に気に入っていただいたので、フィージビリティー調査を行い、実行可能と上申したものの、市長が選挙戦に突入して自然消滅してしまいました。(そしてそれから5年後、僕も忘れ去っていたころにモデル事業として日の目を見ることに。)

大阪市報道発表資料 全国初Visaプリペイドカードによる生活保護費の支給について
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/fukushi/0000293229.html

日経BP プリカで生活保護費を支給、大阪市が5月に国内初の実証を開始
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/tk/15/434167/062200003/?P=1

この翌年にももう一度、政策提案制度にエントリーします。この時のテーマは自転車の違法駐輪問題。
違法駐輪対策を手掛けているコンサルタントさんの話を聞いていてひらめいたアイデアです。

◇新しい発想による抜本的な違法駐輪対策

違法駐輪対策のプレゼンテーション from 勝 角


こちらも受賞したものの奨励賞どまり。
この審査の時に審査員をやっていた幹部職員(仮にAさんとしておきます)がおっしゃったセリフは今も忘れません。

「時間をかけて駐輪がなくなるとかどうでもいいんや。そこの自転車がじゃまやからどかしてくれ、っちゅう市民の苦情に対応するのが役所の仕事なんや」

なるほど…と思いました。確かに役所ってそういう場所かもしれない。
それが役所なら一生をかける職場ではないな、とも。

その翌年にイノベーションハブの立上げを担当するセクションに転属し、大阪イノベーションハブの立上げ、運営とやって、退職、今に至るって感じです。

思えば役所の仕事をする中で学んだことは多い。
特に「役所ってどういう場所?」ということについては役所に20年ぐらいいた人間でないと説得力を持って語れないと思います。(ちなみに、そういう観点で行政の限界について書いたスライドがこちら。よかったらご覧ください)

◇ITを活用した地域課題解決の取組み

フューチャーセッションIn奈良講演資料 from 勝 角


その公務員経験豊富(笑)な僕に言わせれば、先にあげた幹部職員Aさんみたいな公務員もいますが、Aさんにたてつくようなかっこいい公務員もたくさんいます。
(そういう公務員たちは野良猫公務員と自称しているのでSNSなんかで探してみてください。横浜、青森、岐阜、静岡、島根、鳥取…いろいろなところに有名な野良猫公務員がいます)

そういう人たちが公務員のメインストリームになれば、「公務員っぽいですね」ってのが「アンタ、イケてるよ!!」ってニュアンスを含むようになるんじゃないかなあ。

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