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日本の企業に必要なのはインプットを肯定・奨励する風土と「面白がり力」だと気付いた話

日本の企業に必要なのはインプットを肯定・奨励する風土と「面白がり力」だと気付いた話

CEOの角です。

遅くなりましたが明けましておめでとうございます。

今年の講演系の仕事始めは、日本を代表するIT企業Yahoo! JAPANさんの社内人材育成プログラムYahoo!アカデミアのゲストスピーカーのお仕事でした。

Yahoo!アカデミアに在籍されている部長級の幹部社員16名を前に、自分の半生での学びや気づき、それに公務員から独立するに至るまでの自らの心の変化などについてお話をいたしました。

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話の性質上、資料作成にあたって公務員時代も含めて自分の仕事を振り返ったわけですが、そこで「なんで大組織(行政と民間を問わず長期間存続している大規模組織はみんな同じ病気にかかっていると思う)はこんなに時代の変化に鈍感で新しいことができないのか…その理由の一つを思いついたので、仮説も交えながら書いてみます(すいません、ここまでYahoo! アカデミアの話みたいな振りでしたがその話じゃないですが、貴重な機会を頂戴したYahoo!さんに大感謝です!!)

僕は、仕事ってのはおおむね二系統に大別されると思ってます。

一つ目は情報を取り込むインプットサイドの仕事であり、もう一つはインプットを元に処理をして何かを生むアウトプットサイドの仕事。

インプットサイドの仕事は、実はとてもクリエイティビティを必要とするものです。

新聞とかニュースに出てくる情報ってのはいわば完成された料理であり食材ではない。仕事としてのインプットってのは食材を探してくることなので、どうやって鮮度が高く味が濃く他の人が知らないような食材を獲得するかということに要諦があります。

そしてそういう優れた食材-情報を得るためにはどうしても人と人とのつながりに頼ることになる。どうやって優れた情報を持つ人と知り合い、仲良くなり、活きた繋がりを作って信頼を得るかという対人スキルがなければ優れた情報を得ることはかなわない。また、そのためには自身も優れた情報を提供できるか、少なくとも損得勘定抜きに誠実に相手と対応できる能力が求められます。それにプラスして、当人がどんな分野に興味を持っているかというキュレーション能力も大事ですし、新しい情報に目を輝かせながら楽しんで情報を集めることができる「おもしろがり力」みたいなものも大事です(特に「おもしろがり力」は本当に大事だと思う)。

アウトプットサイドのスキルには創造的な能力と事務処理的な能力の両方が含まれるけど、創造的な能力が発揮できるかどうかはインプットの内容(新鮮度もですが当人にとって興味のあることかどうかも大事)に大きく左右されるため、単なる事務処理にとどまってる方が多いと思います。おいしい食材でないとおいしい料理は作れないし、料理の作り方も学べないということです。(アウトプットのスピードを上げたり精度を高める研修やトレーニングはたくさんあるのでこちらの方は今日は割愛します)

役所に勤めていると、若手の頃は極端にインプットが制限された状態でアウトプットの鍛錬だけをしこたまやらされるんですよ。

そうなるとインプットサイドの能力がうまく育たず、創造的な仕事ってのができなくなる。さっきの例えでいうとありきたりの料理しか作れなくなる。

組織の中で、係長、課長、部長と職階が上がっていけば本人が努力せずともインプットされる情報の質は自動的に上がっていく。でも創造的ではない前例主義のコンサバなアウトプットしか出したことがない人ばっかりなので、インプットの質の向上が活かされずアウトプットの質が向上しない。それどころか、たまに新しいことをやろうとしている人がいたとしてもそういう人たちが全部つぶしにかかったりもする。

ジャンクフードばっかりで育った人間は本当に美味しい料理の味がわからないから、新鮮な食材をもとにおいしいもの作ろうって努力してる料理人の卵にも無理解だってこと(あ、これは例えであって本当は僕、ポテチとかファストフードとか嫌いじゃないです)。

そして、独立してから思うのは、こういう話ってのは役所だけでなく日本の会社の多くにも当てはまるってことです。

多くの企業では情報の漏洩やら引き抜き・転職を恐れて社員が外部とのつながりを持つことに消極的です。そうしたインプットの少ない環境で事務処理的なアウトプット仕事ばっかりさせている。その結果、クリエイティビティがない過剰管理主義の中間層が量産されて若手をインプットからさらに遠ざける…という悪循環になる。その結果、日本で新しいものが生まれる芽がどんどん摘まれている…という状況になってる。

そんな状況を変えたいならどうすればいいか…そのためにはまずは若手のインプット能力を鍛えることが大事だと思います。

最近では、色々な会社が共創スペースって作ってるけど、持ち主がその使い道をイマイチわかってないケースが多い気がします。

せっかく多額の予算を使って場所を作りながら、単に既存の取引先とのおしゃれな打合せスペースとしてしか使ってないパターンもよく見ます。

そんな使い方ではなく、クリエイティブな能力のある社員育成のためにどう活用するか、社外の人材との繋がりをどう作るか、そしてそこからインプットをどう得ていくのか、そういうことが学べるような場所にしていくべきだと思います。今、クリエイティブを学ぶ研修ってアウトプットのためのメソッド(だいたいのブレスト派生的なものはすべてアウトプットのメソッドです)は学べてもインプットについて学ぶ場はないですから。

また、人事評価制度もなってない。ほとんどの企業ではリスクを負って新しいことにチャレンジするよりもなにもしない方が有利な人事評価システムになってますからね。これならだれも新しいことをやろうとはしないし、そのためのインプットをする努力にもコストをかけない。

しかも人事評価がそうなっているということは「会社として必要な人材はどういう人間か、わが社はどんな会社なのか」というメッセージでもあります。

だから、何も新しいことをしようとしない人間だけの組織が出来上がっていくんだけど、一番上層階まで上り詰めた社長クラスの方には最強の情報がインプットされるので気が付くわけですよ。

「新しいことやらないと怖いな」と。

で、社長が「新しいことをやらなくちゃだめだ、イノベーションが必要だ」と叫んだとしても分厚い中間層に阻まれて若手のインプットが増やされることはない…残念なことに。

なので、本当は人事評価システムの中に、インプットの部分を評価する仕組みを実装するべきだと思うのです。

その辺はちょっとアイデアもあるのでまた機会があれば別で書きますが、インプットのプロセスを分解してそれぞれを評価するイメージです。何もわかってない上司の主観が入らないようにすることも重要。KPIをうまく設定して、インプットの大事さを理解し、「おもしろがり力」なんかも自然に身に着けられるような仕組みを作りたい。

前にも述べましたが、アウトプットのトレーニングやメソッドってすでに体系化されたものがあるんですがインプット(対人間での信頼に基づく鮮度の高い情報の入手)の方は体系化されたものがない。それは活きたインプットのスキルを分解すると、好奇心の持ち方とか人との接し方などの言語化しにくい複数の領域が重なり合って体系化しにくいからだと思います。

たぶんシリコンバレーが特別なのは設備がどうとかとかお金が集まってるとかじゃなくて、情報の「おもしろがり力」の強い人が極端に多い場所だからだと思うんですよ(行ったことないけど)。

日本にシリコンバレーを作るって話をたまに聞きますが、そういう話では設備投資ばっかりにお金を使ってます。そしてその額の大きさをドヤ顔でアピールするけど、それって選挙対策やんってやつばっかり。

僕は、そんなんには全然意味がなくて、本当の価値は人の育て方にあると思うんです。

設備じゃなくて人の問題。

仏教の講話かなんかの有名なやつで、地獄も天国も設備としては同じだって話があるじゃないですか。

地獄でも天国でも大きな鍋の周りを死者がぐるりと囲んで長い箸を持たされている。地獄だとみんな身勝手なので自分の箸で自分が食べようとするだけ。なのでうまく食べられずにやけどするばかり。

一方で天国だと長い箸をうまく使ってお互いに食べさせあうのでやけどもせずおなかも満ち足りてみんなハッピーだと。

あれと同じで、実はシリコンバレーも日本も設備とかの差は実は全然大した問題じゃなくて、そこにいる人の心持の問題だと思うんですよ。クリエイティビティってのはそこにいる人(の考え方や物事の捉え方)次第で全然変わってくると思うんです。

日本の大組織でもインプットを制限して自前主義でなんとかするような「地獄」的な発想ではなく、ほかの人に自分の箸で食べさせることによって天国を自ら生み出していくような発想をもてばいいのにね…と思ったという話でした。

今年はこんな企業の問題を解決するようなことに乗り出していきたいなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします~。

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