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【イベントレポート】コロプラ弁理士が解説!「あのサービスも、もしかしたら特許取れるんじゃないの?」

3月21日に開催した、Filament主催の「コロプラの弁理士が教えるIT・サービス・ゲーム分野の特許の構造」イベント。講師はコロプラの佐竹星爾(さたけ・せいじ)弁理士です。堺筋本町のオープンイノベーションスペース「THE DECK」が会場でした。

来場者の3分の2は製造業にお勤めの方、3分の1がIT系の方。さらに佐竹さんのFacebookでイベントを知ったという弁理士の方の参加もありました。

最初にFilamentの角勝(すみ・まさる)代表が、本イベントの趣旨を説明。角が前職で関わっていた「大阪イノベーションハブ」でのイベントに佐竹さんが来たことがきっかけに繋がった縁だと言います。 その後、再会した折に「ハードウェア系の特許の考え方と、ソフトウェア系の特許の考え方って、そもそも構造からして違うよね」というテーマで盛り上がったことから、今回の勉強会開催となりました。

続いて、佐竹氏によるレクチャー開始。まずは特許事務所時代の案件を紹介しました。 そのひとつが、LCCのチェックイン機に関するもの。どのような発明かというと、「画面を2つに分割し、上部分にチェックイン手続の進捗状況や空港の混雑状況、広告などの情報を表示する」というもの。 特許というと、今まで誰も考えつかなかったようなものを提示しなければいけないという、敷居の高いイメージがありませんか? え、画面を2つにした? それで出願できるの? 来場者の頭にはてなマークが次々と浮かぶ中、イベントは進行します。

知名度、世間の印象、資金調達、参入障壁――freeeがマネーフォワードを訴えた理由とは?

弁理士だけでなく、MBAの資格も持っている佐竹氏。マーケター目線による特許論を次々と展開。知的財産×ブランディングの大切さを、Appleなどのさまざまな事例を元に紹介しました。

例えば、ご存知の方も多いfreeeとマネーフォワードの特許係争。freee側は、なぜマネーフォワードに対して訴訟を起こしたのか? 佐竹氏は4つのポイントで分析します。

1つめは、訴訟を起こすことによって、知名度を上げるというもの。会計ソフトと聞いて、ほとんどの人が思い浮かべるのは「弥生会計」ではないでしょうか。そういった「巨人」が君臨する業界で、いかにスタートアップが勝ち残っていくか。まずはとにかく存在を知ってもらう必要がある、その手段のひとつが訴訟、というわけです。 2つめは、訴訟を先に仕掛けることにより「freeeがマネーフォワードよりも先駆者である」と世間に印象づけること。 3つめは、係争中というイメージをつけることで、マネーフォワードの資金調達に足止めをかけること。 4つめは、「自分たちも訴えられるかもしれない」と、他のスタートアップの新規参入を思いとどまらせるということ。

あえてfreee側が訴訟を提起したのは「訴訟に勝っても負けても、こうしたメリットは残るから」なのです。 争点となっているfreeeの特許はこちらになります。

https://patents.google.com/patent/JP5503795B1/ja

 3タップで株式購入のUIは特許が取れる? One Tap BUYの例

また、「ユーザーに新しい体験をもたらすもの」の権利化というテーマで、自社のテニスゲームに関する特許の紹介がありました。

https://patents.google.com/patent/JP6002344B1/ja

この特許では「スマホゲームの面白さを向上させる」という課題のもと、スマホの画面をタップしてトスし、ドラッグで移動し、タップで打ち返す操作の実現方法で特許を取っています。「見たまんまを特許請求の範囲に書くのがおすすめ」(佐竹氏)ということです。 テニスゲーム自体はファミコン以前の昔から存在するものですが、スマホでユーザーに新しい体験をもたらした、というのを権利化した一例です。

他社の事例としては、2月に新たに15億円を調達した、スマホ証券「One Tap BUY」の特許の紹介がありました。

https://patents.google.com/patent/JP5946982B1/ja

 

こちらは、たったの3タップで有名企業の株式を1万円台から購入できる、というものです。 インターネット証券自体は、2000年以前からたくさん存在します。そんな中でOne Tap BUYが特許を取れた理由は? その秘密は明細書を読むとわかりますが、「ユーザーインターフェース」です。

え、UIで特許を取れるの? と思いませんでしたか。しかし実際にOne Tap BUYはこれで特許をとっているわけです。

冒頭にあったLCCの事例もまた「チェックイン機のUI」に関する特許。

ユーザーに新しい体験をもたらすことが、特許につながるのです。

なお明細書のリンクはすべて「Google Patents」からのリンクになります。今回のイベントでは、このGoogle Patentsについても触れました。 従来、特許検索は複数のキーワードやコードを組み合わせた職人技だったのですが、それを人工知能で行うのがGoogle Patents。特許検索の敷居をぐっと下げてくれます。 「使わないとヤバイ!」(佐竹氏)ですよ〜。

筆者が参加した感想は、 「あれ? ソフトウェア系の特許って、もしかして思ってるよりもハードル低いのかも?」 「あのサービスも、もしかしたら特許取れるんじゃないの?」 というもの。今回ご参加いただいた皆様も、同様の感想を抱いたようです。

今回、印象的だったのが「課題設定が大切」というキーワード。例えば、佐竹さんが前職で手がけた「航空会社のチェックイン機」には「ユーザーがチェックインにかかる時間を短縮し、搭乗をスムーズに進めたい。チェックイン世界最短を目指す」という課題がありました。

何にでも応用できる権利範囲の広い特許を取るのは難しいですが、本記事をご覧いただいている皆様も、「課題」をお持ちではありませんか? もしかしたら、それ、特許になるかもしれませんよ。

本記事で佐竹氏の考え方に興味を持たれた方は、近日中にFilamentのWebサイトにて、佐竹氏×角の対談を公開予定ですので、ぜひそちらもチェックしてみてくださいね。反響によっては、イベントの第2弾もあるかもしれませんよ。

今後もFilamentでは、魅力的なイベントをどんどん開催していく予定です。ぜひPeatixのフォローもお願いします。創業2周年記念イベントの申し込みも受付中です!

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