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対談

元ヤフー執行役員・村上臣がお子さんに渡した「誓約書兼スマートフォン貸与契約書」がガチだった

※このページの末尾にダウンロード用のリンクを配置していますが、本記事では作成に至る想いをご紹介しておりますので、ご一読のうえでご利用いただければ幸いです。

2月5日、LinkedIn日本代表であり、Filament(を含む複数のスタートアップ)の顧問でもある村上臣が、個人のFacebookに投稿した1枚の写真が話題になりました。

 

 

このコメント欄にて、弊社CEOの角が、

 

 

と依頼したところ……

 

 

と、快諾。すぐに「誓約書兼スマートフォン貸与契約書」の原本がFacebookメッセンジャーで送られてきました。

 

 

そしていきなり目に飛び込んでくる「甲」と「乙」の文字、小学6年生を相手に、ガチの「誓約書兼スマートフォン貸与契約書」です。

 

とはいえ、中身は大人の世界にあるような難解なものではなく、

 

「一度インターネットに公開された情報は、一生消すことはできない。たとえ友だちだけに送ったとしても、そこからどうコピーされるのかまでは自分でコントロールはできないことを理解すること。」

 

など、大切なことがたくさん盛り込まれています。

これはぜひ背景を聞いてみたいと、翌2月6日昼、フィラメントでは村上臣に対しリモートで緊急インタビューを実施しました。

 


 

究極の「大人」扱い

 

角:あの投稿、すごいバズったよね。うちの妻もこれを読んで、「これはぜひすべてのご家庭に展開するべきだ」って言ってて。

 

村上:あれは元ネタがあるんだよ。彼にスマートフォンを持たせるにあたり、どうしようかなと色々調べていて見つけて。ただ、この記事をもとにしたPTAのフォーマットとかも見つけたんだけど、面白くないんだよね。説教臭いというか、学校っぽいというか。

 

角:どうしても、上から目線になっちゃうよね。

 

村上:そう、「教師」っぽいの。すごく。

 

角:こういうことが起こりうるから、気をつけろよって。

 

村上:オカンから説教を受けているみたいな。「はいはい、ワロスワロス」みたいな感じじゃない(笑)

 

角:素直に聞けないよね。

 

村上:なので、一計を案じて、あの形(契約書)に。

 

角:素晴らしい!

 

村上:彼も成長し、語彙力もついて、若干反抗期にも突入し、ロジカルに反論するようになってきたからさ、いっそ究極に大人扱いをしてみようって思って。この機会に契約というものも教えようと。

 

角:すごいソリューションだよね。契約という形を取っているので、甲(村上臣)と乙(お子さん)が対等になっている。

 

村上:背伸びした感があるよね。義務として、お互いこれをやらないといけない。俺は金を払う、お前はここにあることを守れ、と。

 

角:フェアで、フラット。この感じは、なかなか出せるものじゃないよね。

 

村上:俺は個人でも会社を作ったんだけど、俺がいろいろな契約を締結しているのを、彼は横で見ていたんだよね。

そのときに「これが会社の印鑑、これが銀行印だよ」って彼に説明していて。

そんな経緯もあって、契約書の形の方が興味を持つかなと思ったの。

大人が交わす契約書とほぼ一緒のフォーマットだぞ、それから契約はこういうふうにやるんだぞって説明して。

最後には誠実協議が絶対に入っているんだぞ。何かあって、もめたら大人の場合は裁判所で白黒をつけるんだと。コロプラと任天堂みたいにな、と。あれは1年くらい誠実協議をした結果、意見が合わなくて裁判になったんだろうねと。

 

角:素晴らしい納得感!

 

「何かあったら俺に相談しろ」

 

角:思ったんだけど、この契約書があれば、それをトリガーにして、

「スマートフォンを使うとどういうリスクが起きうるのか」

「リスクが発生したときに、どのように対応しなければいけないか」

といった会話を、いつでも親子でできんだよね。僕はそれがすごいなと思って。

 

村上:それはもともとのうちの教育方針がそうだからね。子どもは親の所有物ではないから。

もちろん、四の五の言わずにやれ、というときもあるけど。

でも、彼は「自分は未成年だ」ということも、「親が権利を持っている」ということも、十二分にわかっているんだよね。

親の権力を傘にして言っても、子どもには響かないよね。

 

角:そうだね。子どもが大人になるプロセスにおいて、「自分は子どもから脱皮してなんでもできる気になるけど、実際には社会のなかで何もできない」という経験が絶対にあって、そこから反抗につながったりもする。

でもその感情を、この契約書ではうまく処理できているよね。ここがソリューションとしてピカイチだなと思う。

 

村上:何かあったら、まず俺に相談しろ。気軽に相談しろというのを伝えていて。これから彼は思春期を迎えるからね。

例えばLINEで友達がハブにされているとか、そういう「おかしいな」と思ったことは俺に言え、と。

今までも、彼にはWi-Fiでだけつながるタブレットは与えているんだよ。それだとリビングでしか使えないから、彼が何をやっているかはわかる。

しかし、これから中学に通うようになって、スマホを持っていたら、親の届かないところでネットを使うというシチュエーションが、新たなリスクとして浮上するよね。なので、ネット利用におけるマナー、ネチケットも盛り込んで。

 

角:結構、ネットのの部分を想起させる情報もあるよね。

 

村上:そうだね。それがこれからの教育に必要なんだろうと思う。

 

角:ネットにでたら、それはもう一生消せないものなんだ、とか。

 

村上:そう。これは本人にも深く思うところがあったみたい。今もWi-FiのタブレットでLINEはやってるから。

例えば自分が「絶対に信用できる」と考えている友達から「LINEで変顔を送って」と言われて、そのとおりに送ったとするよね。

その場では楽しかったとしても、それがもし友達の意志によってネットに出てしまったら、お前に止めるすべはないし、俺にも何もできないんだぞと言っています。

そこはよく考えるべきだし、そういう写真を送れと言われた場合は、すぐに相談しろって言ってます。

 

契約書は「会話」のツール

 

角:契約書によると、LINE以外のSNSは、全て禁止になっているよね。これ、理由があるの?

 

村上:中学生だから。今回は3年契約なんだよ。

 

角:なるほど。

 

村上:「これ、ずっと続くの?」と彼に言われたから、いやこれは3年契約にしようと。

高校のときは、そのときのスマホ事情を鑑みて、もう一度契約を締結し直そうと。そのときはTwitterもOKになるかもしれない。

 

角:Twitter自体なくなっている可能性もある。

 

村上:そうだね。そのときに応じた使い方を、二人で考えようって。うちは3年ですが、そこは家庭によって1年契約でもいいと思ってる。会話のツールだからね。

 

角:会話のツール。いいね!

 

村上:本人が興味を持って真剣に会話してくれそうなフォーマットが、うちの場合は契約書の形だったんです。でも人によると思います。それは親御さんが一番わかっているはず。子どもが背伸びしたい年頃なら、あれが効くだろうし。

 

ビジネスで使われていることは意外と教育に役立つ

 

角:今回のやりとりで、ひとつ思い出したことがあって。

僕も小学校のときにどうしてもビデオデッキが欲しくて。でも親父は口約束はするけど、買ってはくれなかった。

そこで、自分で誓約書を手書きで作成して、ここにサインしろと父親に渡した。そしたら親父が「面白いことをするやつだ」って笑ったんだよね。

今にして思えば、やっぱり親もちょっと嬉しかったんだなって思う。我が子が「大人と対等になりたがっている」と感じたことが。

親にとっても子どもにとっても、フェアに、フラットに、同じ眼差しでお互いを視るというのは、すごくいい経験なんだろうね。

 

村上:そうだね。ビジネスのシーンで使われていることは、意外と子どもの教育に役立つよね。

これは俺の友人の家庭であったことなんだけど、子どもにゲーム機がほしいと言われたときに、プレゼンをさせたんだよ、

パワーポイントのフォーマットを与えて、なぜそれが必要なのかを、5W1Hで説明しろと。

それで子どもは一生懸命プレゼン資料をつくり、父親にピッチした、そんな子もいるよね。

 

角:すごい。それは早いうちにやらせるべき!

 

「監査」を契約書に含めた理由

 

角:契約書には、「監査」の項目もあるんだね。

 

村上:俺が一番嫌だったのは、「彼が四六時中スマホ中毒になること」だったから。そうなると事件に巻き込まれるリスクもある。なので、その想いを反映した契約書にした。

監査についても、家庭によって意見は異なると思う。子どものプライバシーは尊重しろという家庭もあるし。

ただ、彼本人は、スマホを親に見せるのに、それほど抵抗はないんだよね

。今までタブレットもそうやって使っているから。「僕は子どもだし、仕方ないよね」と本人も言ってる。

うちは彼を大人扱いしているので、「俺が見せろといえば見られる権利は、監査条項に入れた。ただお前のプライバシーは最大限配慮したうえで見るようにする」と伝えてます。

 

角:素晴らしい!

 

村上:あとは、エロの問題だね。どうしてもどこの家庭でも、男の子でも女の子でもあると思うけど。

 

角:あるよねぇ。

 

村上:そこは契約書とは関係なく、お風呂に入ったときに、「エッチなのに興味をもったら、こっそり俺に言えよ」と(笑)

 

角:「いいやつがあったら俺に教えろ」と(笑)

 

村上:そうそう、それはこそっとね(笑)

 


こちらの契約書、ダウンロードしてそのまま使うのではなく、ぜひ条文を読み直して、お子さんの性格や年齢、ご家庭の事情などに合わせてカスタマイズされてください。 そしてお子さんの現在や未来、親と子の関係について考える機会にされてみてはいかがでしょうか。

 

WordPressからダウンロード 誓約書兼スマートフォン貸与契約書

Google Driveからダウンロード 誓約書兼スマートフォン貸与契約書

Shin Murakami / この 文書 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

 

2018/2/17追記 GitHubでも公開しました (Markdown / HTML)

https://github.com/thefilamentjp

 

 


 

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