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対談

もう「元公務員の角勝」だけじゃない! 多彩な人材が集うフィラメント公開役員会・前編

2015年4月9日(四苦)、角が資本金89円(八苦)で始めたフィラメントも、無事3周年を迎え、人数も10名近くに増えました。 しかし、未だにフィラメント=「元公務員の角勝の会社」というイメージを払拭しきれていない部分もあります。 フィラメントが「角勝」から脱却し、組織として歩むためには? 3月末に開催された役員会の様子を、前後編に渡ってお伝えします。 前編では、角の周りにいかにして多彩な「タレント」たちが集っていったかをご紹介します。 聞き手は2018年4月よりヤフーとの複業としてフィラメントにジョインした、宮内俊樹です。

プロフィール

角勝(すみ・まさる)

角勝(すみ・まさる)

フィラメント代表取締役CEO。

元公務員(大阪市職員)

森澤友和(もりさわ・ともかず)

森澤友和(もりさわ・ともかず)

フィラメント取締役COO

2015年 HULT International Business SchoolにてMBAを取得。

村上臣(むらかみ・しん)

村上臣(むらかみ・しん)

ヤフー株式会社執行役員CMO(Chief Mobile Officer)を経て、現LinkedIn日本代表

2017年11月よりフィラメントCSO(Chief Strategy Officer)

佐藤啓一郎(さとう・けいいちろう)

佐藤啓一郎(さとう・けいいちろう)

シャープ株式会社 ブランディングデザイン本部 デザイン開発センター UXデザインスタジオ部長を経て、2018年4月よりフィラメントCXO(Chief eXperience Officer)

HCD-Net認定 人間中心設計専門家

宮内俊樹(みやうち・としき)

宮内俊樹(みやうち・としき)

雑誌編集者を経て、2006年ヤフー株式会社に入社。

2018年4月より複業でフィラメントにジョイン。

当事者たちが激白! フィラメント設立からこれまで

 

宮内:今回はフィラメントも3周年を迎えて新体制になったので、これからのフィラメントについて、公開で「役員会」をやってみようという企画で。オープン役員会。

 

まずは角さんが立ち上げたフィラメントに、関わることになったきっかけを改めてみなさんに聞いときたいんですけど。ではいちばん社歴の長い人で、森澤さんから。

 

森澤 :僕はFacebook上で角の発信を見たことがきっかけでしたね。もともとは外資系の製薬会社でCRMと呼ばれるシステムのグローバル担当をしていて、その後MBAを取るために海外に行ってました。海外から日本のニュースサイトを見たら、大阪市が生活受給者に対して、現金や口座振込ではなく電子マネーの形で支給するという取り組みを見て。まずそれですごいなあと思って。その後、それは大阪市職員の発案によるものだということを知って、こんな柔軟な発想をする公務員がいるんだ、つながりたいってFacebookでつぶやいたら、それを見た僕と角の共通の知人がコメント挟んでくれて、紹介されたっていう。他にも職員の提案制度で角が提案した違法駐輪に関するソリューションについて、SNS上でちょっとディスカッションしたり。

 

 

プリカで生活保護費を支給、大阪市が5月に国内初の実証を開始 http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/tk/15/434167/062200003/

 

230131生活保護プレゼン(発表用・2月1日向け最終確定版)

230131生活保護プレゼン(発表用・2月1日向け最終確定版) from Filament Inc

 

違法駐輪対策のプレゼンテーション

違法駐輪対策のプレゼンテーション from Filament Inc

宮内:そこまではずっとFacebookでのやりとりだったんですね?

 

森澤 :はい。その後MBAの勉強の合間に1か月だけ日本に帰れるタイミングができて、もともといた業界でインターンすることも考えたんですけど、MBAで学ぶうちにアントレプレナーシップや起業がだんだん自分ごとになってきて。同時期に角が独立をしてフィラメントを立ち上げて、さらに何か面白そうなことをやっているな、と思って見ていました。そのうちに角がFacebook上で手が足りないっていってるのを見たときに、1か月日本に帰れるんですけど何かお手伝いできないですかっていうので、フィラメントでインターンをしました。

 

 

角:「右腕が欲しい」ってつぶやいたやつですよね。2015年の4月に起業して、6月下旬ぐらい。

 

宮内:それはずいぶんあきらめが早かったですね(笑)。

 

角:人がいないと全部やらなくちゃいけないんですよね。見積もりを書いて請求書も書いて。スケジュール調整をして。

 

村上:オレがLinkedInへ行ってから、毎月やってるワークだな。

 

佐藤:僕も毎月やってたやつ。

 

角:ああいう事務処理ってえらい大変じゃないですか?

 

村上:いまはMFクラウドのおかげでだいぶ自動化されてきたね。マネーフォワードの会計ソフトから自動的に請求書を生成して、メールも自動送信できるんだけど、オレは毎回丹精込めて手動で送ってる(笑)。

 

森澤:入金確認までできますよね。フィラメントでも導入しようかと思っているんですよ。

 

村上:そうそう。消し込みもできるし。税理士とクラウドで共有されていて、紙の領収書とかは全部会計事務所に送って入力してもらって、オレはその結果を見て、請求とかは自分でやる。郵送まで自動化ってのもやろうと思えばできる。

 

角:そこでお金がかかる感じでしょう。

 

村上:そうそう。でもそんなに高くないよ。

 

宮内:いきなり脱線しているんですけど(笑)。

 

佐藤:そういえば入社前の森澤さんの面談をSkypeでした時、僕もいたんだよね(笑)。「角総研」があった日なので。

 

村上:角総研ってなに?

 

角:もともとは僕が公務員の時に事業アイデアを思いついて、冷蔵庫のアイデアだったんで、佐藤さんに相談したんですよね。そしたらこれ特許取れるかもしれないので、もうちょっと何人か集めてアイデア出そうってことになって。いまコロプラの弁理士をやってる佐竹さんとか何人かで、土曜日に集まって4時間ぐらい議論して。そこでいろいろディスカッションしたりファシリテーションしたりしてたのが、独立するトレーニングとして非常に良かったんですけど、それが「角総研」のはじまり。

 

佐藤:フィラメントっていう社名も角総研で考えたもんね。社名決めワークショップをして(笑)。

 

角:そうそう。そうでした。その角総研を公務員卒業後に久しぶりにやることになって、そこに森澤さんもSkype入ってもらったんですよね。 森澤:そのときの面談で、会社へのフィット感を確かめた感じですね。そのSkype面談の後、インターンとしてジョインして、一ヶ月半ほど角さんと一緒に働きました。その後はドバイでMBAで続きの勉強があったんで一旦海外に戻って卒業を迎えることになります。。MBA取ったのは元いたヘルスケア業界でのキャリアアップのためだったんですけど、それよりかはフィラメントでやったのがとっても面白かったし、チャレンジのしがいがあるかなってことで再度海外から戻った9月に正式にジョインしました。

 

フィラメントのカンパニーバリューは「利他」にある

 

宮内:次は順番でいうと村上さんなのかな。

 

村上:もともとはヤフー執行役員時代にオレが大阪の担当になって。最初に大阪に行ってどこに挨拶行けばいいかって宮内さん(当時ヤフーの大阪開発本部長)に聞いたら「まず角さんに会って欲しい」と。Hackdayも担当していたしね。公務員かぁ、ネクタイいるのかなとか、多分名刺は縦書きなんだろうなとか考えたりして。で、行ってみたら、なんだこっち側の人間じゃんみたいな(笑)。で、最初は写真撮って盛り上がって、それからだよね。 角:その夜に、ヤフーの大阪開発本部が村上さんの歓迎会をするってのにも参加しましたよ。

 

 

村上:別件があるとかで、じゃあ終わってから来れたらおいでよって軽く言ったら、ほんとに来て、すげーびっくりした。ほんとに来たんだと思って(笑)。

 

角:来てもいいって言われたからね(笑)普通の公務員だといち企業の飲み会に行くのは躊躇すると思うんですけど、公平性がなんとか、とかあるし。まあ、そんなこと気にしてたら飲み会なんていけないし。でも次に会ったのは僕が公務員を辞めた後だと思うんです。

 

村上:「角さん辞めるんですよ」って宮内さんに聞いて、すごく驚いた。

 

角:大体辞めるっていってたのに、辞めない人が多いからね。

 

村上:ほとんどがそうだから。大企業だと95%辞めないよね。公務員ってなると99%辞めない。辞める辞める詐欺。角さんは、そこでオレの信頼度があがったんだよね。ほんとに辞めたんだって。コミットして実際にやったってのはすごく大きくて。だとしたらこれは応援しなきゃいけないし。それは角さんの「人たらし力」だよね。すごく美人でしっかりしてる子はオレがいなくてもお前はやっていける、でもこいつはオレが守ってやらないとダメなんだっていう。そういう隙間をさらけ出してるってのは角さんのパーソナリティの強さなんだよね。

 

角:それは間違いないですね。全然一人でやれてないですから(笑)。僕はポジティブな感情とか、すごい大好きですとかできるだけいうようにしていて。そうやって思ったことを常に自分から口に出していると、なにかを誰かにお願いするハードルがだいぶ下がるんですよ。自分のマインドセットとか生き方とかをそうしている。ネガティブな感情出すとそれに引きずられて自分自身がそうなっていくじゃないですか。でもポジティブな感情出していても同じ効果が働いていく。そういうのを自覚して振る舞うようにはしています。

 

村上:ポジティブな感情の出し方がうまいんだよね。普通これぐらいのおっさんがこういうことをやろうとすると、自己顕示欲とセットになる。ポジティブな感情出してるんだけど、結局オレすごいみたいな雰囲気を匂わせちゃう。角さんは利他の方によっていて、それによって人を巻き込んで世の中楽しくしようってピュアに思ってる感がある。この差はすごく大きいと思うんだよね。角さんのパーソナリティがフィラメントにおいてすごくいいループを作っている一因だと思う。そこはあんまり変えないで欲しい。

 

角:あんまり利他とか意識してないんですけど、自分がすごくないのは自覚してるんで、自己顕示しようという意識になっていないんでしょうね。僕が意識してSNSでやっていることは、やっぱり普段と同じなんですよ。ネガティブな感情は出さないとか、敵を作らないとか、そういうのは意識してるんですけど、いまの自己顕示欲ないとかは言われないとわからないですね。

 

村上:フィラメントって角さんの個人技から、会社が広がっていってるじゃん、だからそろそろそれを会社としてのバリューに落とし込むタイミングだと思うんだよね。いまの利他とかいう話は、「カンパニーバリュー」になるものなんだよ。フィラメントってどういう会社ですかっていわれたときに、行動規範とか理念とかの中にそういう価値観が入ってくるべきなんだと思う。パッションとかリレーションとか、いくつかテーマを考えていると思うんだけど、社員がどういう風に行動していくかを考えるときには、そこに立ち返るべき。

 

佐藤:フィラメントって火をつけるって意味だから。いろんな会社の中の人に火をつけて、その人が会社の中を変えていくっていうところでフィラメントの役割がある。「角先生が参加したからこういう成功事例ができました」って感じじゃまったくないから、まさに角さんの人柄がそのまま会社になっているのかなって思う。

 

村上:これからコンサル業務を強化して行く時に、火をつけに来るのはフィラメントだけど、燃えるもの、可燃物は社内にある。だから可燃物を見つけて、「彼よく燃えまっせー」っていって火をつけていく。チャッカマンの役割。砂地だと火がつかないわけだから、よく燃えるノウハウを教えていく。

 

角:フィラメントって社名を意味づけすると、まずはひらめきみたいな意味。ロゴの電球も、シンボリックにアイデアとかひらめき、インスピレーションの意味で使われますよね。あとそもそもは紐とか糸とかいう意味なんですよ。だから紐で何かと何かをつなぐみたいな。あと3Dプリンターの造形材料の1つがフィラメント。可塑性があって、熱を加えることによって自由自在に形を変えて新しいものを生み出すみたいな。そういう意味を束ねて、世の中をちょっとでも明るく照らすみたいなことをできたらいいなという思いを込めているわけですよ。

 

フィラメントの光って何かかわいい感じじゃないですか。なので自分がギラギラ光るというよりはちょっとだけ照らすみたいな。オレがオレがっていう感じよりも、いろんな人と人をつなげたりとか、熱を加えることによっていろんなものを生み出すお手伝いをしたりとか、そんな感じのことができればいいなと思っていて。なので行動規範を作るんだとしたら、あんまりオレがオレがじゃなくて、利他性を感じさせるものがいいいなとは思いますね。

 

ユーザーエクスペリエンスでリフレーム

 

佐藤:で、最後にジョインしたのが佐藤さんですが。

 

村上:なんでそもそもシャープを辞めたんだっけ?

 

 

佐藤:それはこないだ随分話したんですが。

まあ会社の中でやっていたようなことを、シャープだけで閉じずに、社会のためにやらなきゃいけないんだと思って辞めました。UXってビジネスのプラットフォームなので、同じようなニーズって社会のあちこちにあるから。

 

村上:いやー、佐藤さんがいうと重みが違うね。IT業界のデザイナーからすればUXブームってこの2、3年のことなのよ。UIからUXみたいなことになってきて、デザイン思考とかが入ってきてユーザーエクスペリエンス大事だよねとかいってるけど。何十年も前から佐藤さんは実践でやってるわけだから。いまの状況見ると笑っちゃうよね。なにをいまさらっていう感じだと思う。

 

角:ラジカセを作ってた人ですからね。

 

佐藤:UXって、ウェブ業界の現在の閉塞感を打破するために使うみたいになっちゃってるけど、本来的には違うんだよね。世の中にいままで培ったフレームワークを提供していければ。

 

村上:じゃあ火をつける人が角さんで、それをいい火にしていくのが佐藤さんになるんですかね。

 

森澤:肩書もチーフエクスペリエンスオフィサー、CXOとさせていただいてて、それを対外的にも押し出していきますね。

 

佐藤:今の新規事業ブームってのも、もう目的がおかしいんですよ。立ち上げることが目的になってたり、完全に作り手であるメーカーの事情だったりするんだけど、それをちゃんとユーザサイドからリフレームしていきたいなと思ってるんですよ。それがUXなんだ、と。これってじゃあ誰のためなのっていう根源的なところをちゃんと押さえていきたい。デザインの領域ってのがどんどんどんどん広くなってて、広くなっていくにつれてデザイナーの役割も広くなっていくって思って僕はやってきてるんで、自然な流れかなと、フィラメントみたいな会社にジョインしていくのは。

 

村上:UXは社会デザインや都市デザインの領域にまで広がっているからね。そこに住んでる人、働いてる人っていう人を起点で考えていくときに、じゃあどうあるべきなんだって考えていく。そういうのはまさに佐藤さんが得意としているところだと思うんだよね。テクノロジーの話だとCIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)とかCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)ってのがたくさんできるようになってきたり、昔は情報システム部門に閉じていたのが、どんどん経営のほうに近づいてきて、経営の中核を担うCEOやCOOとのペアにみたいになってるじゃない。ていうのは、社会がIT化して全部がIT化されちゃったからね。それなしではビジネスが動かないから。デザインも見た目のところに閉じていたのが、ユーザファースト、メンバーファーストでエクスペリエンスで考えるようになってきてるから、そもそも事業と一緒になっちゃうんだよね。

 

多分それを1番わかってたのはスティーブ・ジョブズな気がするんだよね。アートとテクノロジーの交差点だっていってたじゃない。あれってやっぱり彼自身が大学中退した後に、リベラルアーツとかカリグラフィーとか勉強して、そもそもコンピューターにはそれが必要だっていって、変態的なNeXTってマシンが生まれたわけなんだけども。まあおっさんだけしか知らないけどね。要は見たまま出力するっていうWYSIWYGの思想とか、全部ポストスクリプトで統一するとか、当時としては変態的なことを最初にやってたコンピュータなんだよね。

 

佐藤:コンピューターはこういうものだっていう概念を全部崩しましたよね。まさにリフレーム。

 

(後編へ続く)

 

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