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対談

小さなコワーキングスペースが阪大卒元USJのハイスペック女子を採用できた理由

 THE DECKの片隅にある、写真の赤い椅子。コロンとした曲線にポップな赤。まるで1950年代の映画や広告に出てきそうな、どこか懐かしい雰囲気を漂わせています。

 

 この椅子は約1年前、通りがかった雑貨店が店じまいするということで、廃棄のために脇に置かれていたものでした。

 これを見た森澤さんは、その場でオーナーとおぼしきお宅のチャイムを鳴らしました。そして、オーナー夫妻と話をし、THE DECKの備品として譲り受けることになったのです。

 

 この椅子は、もちろん現在もTHE DECKで活躍。そして、この椅子をTHE DECKまで運んでくれたのが、オーナーの娘さんであり、今年5月からTHE DECKで「コミュニティ・コーディネータ」として活躍する、木村友紀さんです。

 

 木村さんは大阪大学を卒業後、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに勤務していたという経歴の持ち主。

 もっと大きな会社に勤めることもできそうなのに、なぜTHE DECKで働くことを選んだのでしょうか? 木村さんに、お話をうかがってみました。(インタビュアー・牧)

プロフィール

木村 友紀(きむら・ゆき)

木村 友紀(きむら・ゆき)

大阪出身、昭和最後の年生まれ。The DECK コミュニティ・コーディネーター。大阪イノベーションハブ プランナー。世界コスプレサミット セールスパートナー。大阪大学卒業後、(株)ユー・エス・ジェイ(テーマパーク ユニバーサル・スタジオ・ジャパン運営会社)へ入社。パーク内の総合インフォメーション業務を担うゲストサービスチームで時間帯責任者の経験を経て、社会人3年目に協賛企業を獲得する営業部署へと異動。担当する複数のパートナーシップ案件についてプロジェクトリーダーを務めた。2016年末に退職し、現在フリーランス。テーマパーク内の現場経験で培ったホスピタリティ、大企業とのエンターテイメント体験を伴う協業活動の企画立案から実行に至るまでのプロジェクト牽引の経験を活かし、各所で奔走中!

森澤 友和(もりさわ・ともかず)

森澤 友和(もりさわ・ともかず)

高知県高知市出身。 2015年 HULT International Business SchoolにてMBAを取得。 ロンドン、上海、ドバイの各キャンパスにて、リーダーシップ、ファイナンス、会計、デザイン思考など幅広く学ぶ。在学中のインターンシップを経て、2015年9月設立間もないFilament, Inc.に参画。 『オープンイノベーション』をキーワードに、企業間マッチング、新規事業創出サポート、ハッカソンイベント企画・実施、スタートアップ支援など架け橋(Catalyst)となるべく、既存の垣根を超えた活動を展開している。

USJでスポンサー営業にチャレンジ

 

――THE DECKではどんなお仕事をなさっているんですか?

 

木村「アルバイトの管理やイベントの周知、備品の発注といったルーティンワークが中心ですが、外部とのアライアンスやイベントの企画立案・実施支援もしています。そのために、普段からお越しになるお客様にはこちらから積極的に話しかけて、コミュニケーションを取り、ニーズを探るように心がけています。」

 

(木村友紀さん)

 

――すごい! 知らない人と話すことに抵抗はありませんか?

 

木村「いえ、もともと社交的な性格ではなく、どちらかというと人見知りでした。そんな私がお客様と楽しくコミュニケーションを取れるのは、前職での経験が大きいです。

 

――USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)のご出身と聞きました。

 

木村「はい。新卒でUSJに就職し、、まずは現場に配属されました。高い接客力を求められましたが、お客様に喜んでほしい、楽しんでほしいという気持ちは人一倍あったのでポジティブに取り組みました。責任者を任せてもらえるようになってからは特に、受け身ではなく、こちらからゲストに話しかけてサービスを行うUSJの接客スタイルを、部下にトレーニングしなければならない立場にもなり、人見知りだった私も変わっていったと思います。。その後、入社3年目に、自分から希望してスポンサー営業の部署に異動しました」

 

――テーマパーク内の職場から、裏側の仕事にまわったのですね、……なぜ?

 

木村「もともと入社時から、大企業と組むことで、USJのブランドを向上させたり、新たな価値を生み出せる可能性に注目していて、スポンサー営業の仕事に魅力を感じていました。テーマパークの仕事としてはメジャーな職種ではないですし、異動の面談ではかなり珍しがられて、「そんなことを言う人は君が初めてやわ!」と言われました(笑) 実際、同じ部署に20代社員は私一人でしたね。現場での経験を活かし、スポンサーにも、USJにも、お客様にもウイン(利益)がある、「トリプルウイン」を作りたいという想いで仕事をし、充実していました。休日はスポンサーをUSJに招待してアテンドすることも多く、多忙でしたが、ホスピタリティもより磨かれたように思います。大規模な協賛案件ばかりで、普通にしていたら絶対一生会えないような大企業のトップと近くでお話しができたり、貴重な経験を積みました。」

 

――素敵ですね。退職の理由もうかがっていいですか?

 

木村「はい。仕事はとても面白かったのですが、もともと起業にも興味があり、30歳を前に『木村友紀』という自分の名前で勝負をしたいという想いが強くなり、USJを退職しました。しかし、夫の海外赴任や、家族の大病の発覚なども重なり、家庭のことに手が取られて思うように起業の準備が進みませんでした。起業のめどがついてからUSJをやめればよかったのかもしれないですが、当時はとにかく忙しすぎて、それもできなかったんです。

 

――ですよね……。

 

木村「毎日、「キャリアが中断してしまうのでは?」「会社をやめてよかったのだろうか?」ともやもやしていました。」

 

――しんどい時期だったんですね。

 

「世界コスプレサミット」と「AngelHack」

 

木村「そんなある日、確か2017年の春だったと思いますが、実家に行ってみると、親から「椅子をもらいたい人がうちに来たよ」って報告を受けて」

 

――今、座っている椅子のことですね!

 

 

木村「はい。その場には私はいなかったんですが、親が名刺をもらっていました。しかも親がなんとなく只者ではないと感じたらしく、「うちにはこんな娘がいる。今は起業を考えている」って私の話をしたらしくて。

その後に私が車で椅子を運んだとき、森澤さんが「よかったら相談に乗りますよ」と言ってくださって、お時間をいただくことになったんです」

 

――どんな話をしたんですか?

 

木村「起業のアイデアについては、「それはブルーオーシャン(未開拓の市場)ではないね」とズバッと言われました」

 

――厳しい……。

 

木村「ただ、それは自分でも、うすうすわかっていました。あとは「退職後は家にいることが多くインプットが減っている。USJに勤務していた頃は、毎日のようにインプットがあった。それが、もやもやの原因かもしれない。インプットがほしい」という相談をしました」

 

――森澤さんは、どのようなインプットを提示したのでしょうか?

 

木村「大きく2点あって。1点目が、2017年の「078kobe」というイベント。そこで偶然数あるコンテンツの中から「世界コスプレサミット」の小栗徳丸さんの講演を聞きました。世界コスプレサミットは、世界中から日本の文化に憧れ、愛する人達が集まる意義の高いイベントです。お話を聞いているうちに、USJで働いていたときの「認知度を上げたい、ブランド力を上げたい」という気持ちを思い出しました。

 


(世界コスプレサミットのWebサイト)

 

資金集めが課題ということで、前職でのスポンサー営業経験が役に立つかもと、講演終了後に名刺交換をし、お手伝いを申し出ました。そしてセールスサポートとして業務委託契約を結ぶことに。そこからフリーランスとしてのキャリアが始まりました」

 

――キャリアが動き出した!

 

木村「2つめは、人の紹介です。同世代で活躍している女性を何人か紹介していただきました。その中に、現在AngelHack Japan実行委員会の代表を務める丸山恵実さんがいました。

 

 彼女は当時ちょうど「AngelHack Osaka 2017」のイベント直前の多忙な時期でしたが、私の話を親身に聞いてくれて、自分のやりたいことも情熱的に話してくれました。そして「ハッカソンを通じて大阪にイノベーション創出のエコシステムを作りたい」という想いに共感し、さらに彼女とは同じ高校の先輩後輩だったというご縁もあり、イベントを手伝うことにしました。もともとUSJに就職したのも、大好きな大阪を盛り上げたい思いがあったんです。

 

参加者の満足度も大切ですから、食事や備品を揃えたり、質の高いアウトプットを実現するために企業から技術提供を受けたりする必要があります。ここでもスポンサーシップビジネスの経験が役に立ちました。さらに、イベントでの私の動きを見てくださっていた、会場のOIH(大阪イノベーションハブ)統括プロデューサー、長川勝男さんから声をかけられ、2017年10月から、OIHでグローバルネットワーク、そしてオープンイノベーションを推進するプロジェクトに携わっています。」

 

※AngelHackは2011年にアメリカで始まり、2015年は50都市以上で開催される世界最大のハッカソン(プログラマーやデザイナーなど開発に携わる複数人がチームを作り、短期間でプロダクトやサービスを開発するイベント)。

 

OIHは大阪市の委託を受け、大阪市都市型産業振興センターが運営。「大阪から世界へ」をテーマに、ビジネスを創出するイベントを年間約200回以上開催。

 

――経験からどんどん仕事がつながっていきますね。20代でのUSJでの接客やスポンサー経験こそが、木村さんのブルーオーシャンなんだと思います。

 

木村「そうかもしれないですね。その頃から、「起業にこだわらず『木村友紀』としてのこれまでの経験やスキルを武器に、楽しく良いものをつくる仕事をしよう」と考えるようになりました。

 

人と人を繋ぎ、新たなプロジェクトを作りたい

 

木村「今年の春、OIHでの仕事を増やそうか考えているときに、森澤さんから、THE DECKのことで相談したいと連絡を受けました。

 

 正直迷いましたが、私が今好きなことを仕事にできているのは森澤さんのおかげだし、森澤さんが困っていることも伝わりました。店舗運営もUSJで経験しているので、お役に立てるだろうと、引き受けることにしました」

 

――なるほど。そういう「GIVE」があったから、木村さんに来ていただけることになったんですね。納得しました。今、お仕事していてどうですか?

 

木村「これまでの自分の経験を合わせ技として全て活かし、とても楽しく仕事できています。これからもっと人と人、企業と企業を繋ぎ、そこから新たなプロジェクトを生み出すきっかけとなる役割を果たせたらと思います」

 

――木村さんなら、素敵なプロジェクトをたくさん生み出せると思います。ありがとうございました!

 

 

THE DECKのWebサイトはこちらです。ぜひ遊びに来てください。
http://thedeck.jp/

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