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対談

後悔する人を減らしたい。『起業の科学』田所雅之さんがフィラメントのCINO(チーフ・イノベーション・オフィサー)を快諾した理由

 昨年11月に発売されてから売上を伸ばし続け、Amazon経営関連書籍で61週連続ベストセラー1位を獲得した『起業の科学 スタートアップサイエンス』。また田所さんが総監督、CEO角もメンターを務めるベーシック社の「B-SKET スタートアップ・アクセラレーション・プログラム」も現在募集中。そんな多忙を極める田所さんが、今回フィラメントのCINO(Chief Innovation Officer)としてジョインいただけることになりました! 田所さん自身のビジョンとフィラメントのビジョン、これからどうつながっていくのでしょうか? 聞き手はフィラメントのドット・コネクター 宮内俊樹です。

プロフィール

田所雅之(たどころ・まさゆき)

田所雅之(たどころ・まさゆき)

ベーシック チーフストラテジーオフィサー / ユニコーンファーム CEO
これまで日本と米国シリコンバレーで合計5社を起業してきたシリアルアントレプレナー。米国シリコンバレーのベンチャーキャピタル のベンチャーパートナーを務めた。Pioneers Asiaというグローバルスタートアップイベントのスタートアップ責任者を務めるなど、これまで3000社以上の世界中のスタートアップ/新規事業を評価/アドバイスしてきた。 現在は、国内外のスタートアップ数社の戦略アドバイザーやボードメンバーを務めながら、日本最大級のウェブマーケティング会社 ベーシックのChief Strategic Officerを務めている2017年にスタートアップ支援会社であるUnicorn Farm を立ち上げた。
世界で累計7万シェアされたスライド『Startup Science』発売後、Amazon経営関連書籍で61週連続ベストセラー1位(2017年11月2日~2018年12月24日)になった書籍『起業の科学 スタートアップサイエンス』の著者である。

角勝(すみ・まさる)

角勝(すみ・まさる)

1995年~2015年、大阪市役所にて勤務し「大阪イノベーションハブ」の立上げと企画運営を担当。2015年、大阪市を退職し、フィラメントを設立。多くの企業で新規事業開発プログラムの

構築・実行支援や独自設計したワークショップとコミュニティマネジメント手法を用いた人材開発・組織開発を手掛ける。

2016年には企業アライアンス型オープンイノベーション拠点The DECKの立上げにも参画し、他のコワーキング・コラボレーションスペースのコンセプトメイキングや活性化にもアドバイザリーを提供。

目次

田所さんと角勝、イノベーションの起こし方
フィラメントの課題と田所さんのビジョン
フィラメントを「ゴレンジャー」に例えると?
田所さんが関西に抱く思い

 

 

田所さんと角勝、イノベーションの起こし方

 

宮内:今回、田所さんをフィラメントのCINO(チーフ・イノベーション・オフィサー)にお迎えする感想から話していきましょうか。

 

角:お迎えするという感覚より、田所さんと仕事をしながら学べることにワクワクしているんですよね。もちろん一緒にやるメリットはお互いにあると思っているけれども、面白いんですよね、人として。卓越した視点を持っている人は、発言のひとつひとつが人をワクワクさせる。それをこれから僕がいちばん感じると思うんですよ。それがラッキー(笑)。

 

田所:僕がやりたいことは「イノベーションをイノベーションすること」につきます。これまでのイノベーションの起こし方に疑問を感じている、そこをアップデートしていきたい。

 

角:イノベーションをHackするってことですね。

 

田所:現状大企業がやっているイノベーションの起こし方だと、うまくいかないだろうという気がします。フィラメントのやり方も、大企業におけるイノベーションの起こし方をアップデートしていると思うんです。チーフ・イノベーション・オフィサーとして入る以上はそこがミッションです。

 

角:田所さんはイノベーションを構造化してプロセスを明確にしていく。一方で僕は、イノベーションを起こす人にフォーカスしています。人間に興味があるってことなのかもしれないけど、プロジェクトを成功させるために必要なことは3つあると思っていて。ひとつがコミュニケーションスキル。時間がない中でチームがモチベートされるにはそれがないとだめ。2つ目はコスト意識。時間イコールコストだし、しっかり収益をあげるっていうのもコスト意識。最後が「面白がり力」。物ごとをポジティブに捉えることができないと、新しいことは起こせないなと思うんです。

 

田所:面白がり力って、どうやって高めるんですか?

 

角:これはなかなか難しくて。いま実験的にそういうプログラムをつくってやってみているんですけど。とにかく褒めるとかですね。

 

田所:僕だったら褒めないで指摘しちゃいますね。勘違いをされちゃうのはよくないので。勘違いは、自分の事業を冷静に見ずに過大評価することにつながるリスクがあるので

 

角:フィラメントの場合は、僕が褒めるんですけど、佐藤CXOが遠慮なく言う(笑)。そういうバランスで成り立っていたりします。

 

フィラメントの課題と田所さんのビジョン

田所:僕のビジョンは、ユニコーン企業を1000社作りたい。そのためには、3か月でバリュエーションを倍にするっていうのを、お金を入れてやりたいと考えています。。

 

角:スタートアップの軸は大事だというのは分かっているんですけど、正直手をつけられていないってのがフィラメントの現状です。そこからすぐに収益にはならないですし、エクイティやら専門的な知見も少ない。

 

田所多くのスタートアップも暗黙知のままで、事業スケールをやっているわけです。これを包括的に形式知にしてすべてのCFOやCXOにプレイブックとして波及させたら、結果としてユニコーン1000社つくることに貢献できると思う。それがビジョンですね。

 

角:これができる人は田所さんしかいないですよね。こういうので大学を作るとかいうのもあると思うんですけど。

 

田所:それだとあまりインセンティブ設計が成立しないので、ファンドができるといいですよね。Yコンビネーターのモデルです。

角:大企業のオープンイノベーションをやるにしても、やっぱりファンドがあった方がいいんですか。

 

田所:FoF(Fund of Funds, FOF)であったり、CVCの支援であったり、アプローチはいろいろあります。いずれにしてもスタートアップと大企業との接地面を増やして、オープンイノベーションを加速させていく必要がある。スタートアップ側は大企業側に対して、Traction、PoC(Proof of Concept)、Fundraiseといった期待を持ちます。一方で、大企業側はスタートアップ側に、PoCや新規事業、組織活性化、人材といった期待値がある。図で書くと、こういう接地面がいろんな形であると思う。この2つを近づけたい。

 

角:ファンドをやりたいってのは前から思っていたんですが、いまのフィラメントの体制ではできないなっていうのもわかっていて。田所さんと一緒ならお金を集める動きをサポートしたり、バリューアドとかは部分的にできそうですね。

 

田所:この座組は、プロジェクトとして来年くらいにたちあげたいですよね。

 

フィラメントを「ゴレンジャー」に例えると?

 

宮内:そもそもフィラメントや角との出会いってどういうつながりだったんでしょうか?

 

田所:ベーシックの堀辺(憲)さん経由でお会いしたのが最初でしたよね。もちろんお名前は知ってましたよ。名前がインパクトあって、もう一発で覚えますので。

 

角:そうだったんですか。なんかすいません(笑)。僕は今年5月の連休に『起業の科学』を読んだんですよね。付箋をいっぱいつけて読んで、起業の科学評論家くらい語れる感じになってました。

 

田所:それでインタビューをやって、5月にQUMカンファレンスに出ましたね。

 

宮内:角の第一印象って?

 

田所:角さんは「キレンジャー」だな、と。

 

角:ゴレンジャーのキレンジャーですか?

 

田所:スタートアップにおける組織論、「ゴレンジャー論」と僕が考案したフレームワークです。元は株式会社LIFULL社長の井上さんがあるべきチームについて語っていたのをお聞きして、僕なりに解釈しました。、アカレンジャーはビジョナリー、アオレンジャーはリアリストでハッカー、キレンジャーはカレー好きのムードメーカー。 モモレンジャーは UX 作れる人、ミドレンジャーが参謀なんですね。角さんは完全に黄色か赤色ですね。

 

角:確かにカレーは好きです(笑)。

 

田所:僕の考えるセオリーでも、キレンジャーがトップだと組織がモチベーション上がるし伸びてるところが多いんですよ。 フィラメントの人を見てても、角さんの黄っぽさが侵食してて、青の人も黄色が入って緑っぽい(笑)。

 

角:ちなみにフィラメントの他のメンバーはなにレンジャーに映りますか?

 

田所:森澤さんはどちらかというとアオレンジャーぽい、佐藤さんや宮内さんはモモレンジャー、デザイナーとかセンスで生きてる人。

 

角:面白い面白い。

 

田所:村上さんは案外参謀的なアオレンジャーやミドレンジャー、すごい考えるじゃないですか。そこにちょっとモモも入ってる。留目さんはアオレンジャーぽいんだけど、キレンジャーっぽい人かな、結構ムードメーカーっぽくて、人を繋げるところがある。ハブチンは完全にキレンジャーですね(笑)。

 

角:フィラメントって勢いがあるんで、逆にアオレンジャー、 冷静に立ち止まれるところがもっとあるといいのかなって思ってます。

 

田所:大企業ってアオレンジャー、ミドレンジャーばっかりなんですよ。だから逆に角さんが大企業のメンターをするのはすごい補完関係です。僕はどちらかというと因数分解が得意なリアリストなので、アオレンジャーです。

 

角:いろんなことを分解して構造化してくださるのがすごくありがたいですし、いまのフィラメントにとってもすごい補完関係になると思います。

 

宮内:フィラメントのビジョンは「Society Reframe Engine」なんですが、社会をアップデートしたりリフレームするうえで田所さんが一番課題感を持つのはどこですか?

 

田所:僕自身のミッションをものすごい抽象化して表現すると、「死ぬときに後悔する人を減らしたい」っていうことなんですよね。一人一人がやりきった人生、自分のポテンシャルを最大限生かした人生を送って欲しいと思うんです。『起業の科学』は日本とアジアで8万部くらい売れていますけど、僕がいちばんうれしいフィードバックは『起業の科学』を読んで起業しましたっていう人が3000人以上いるんです。 これが冒険の手引きなので、怖くなくなりなりました、起業しました。 そういう人たちを増やしたい。

 

起業というのはともすれば人工知能からしたらバカすぎる行動なんでやらない。それは人間にしかできないことだと思う。

 

角:やりきった人を増やしたいってのはすごく共感します。自分が公務員を辞めたのはなぜかというと、自分が公務員でいるよりもいまのような仕事をした方が、社会に提供する価値の総量が絶対増えるはずだと思ったんですよね。全員そうであって欲しいわけじゃないですけど、自分がせっかく生きてて子供が生まれて歳おいて死ぬときに、胸を張って死ねる。僕はそうありたいです。

 

田所:だから使命感ですよね。「命を使う」のが使命。使命に生きるのが大事です。

 

角:田所さんの著書を読んでいても所作を見ていても感じるんですけど、哲学者みたいなんですよ。『起業の科学』という科学なんだけれども、 生き方がセットになっているから一種の哲学なんですよね。哲学を理解する人が科学的に振る舞うための指南書というのかな。

 

田所:素晴らしい解釈をありがとうございます。哲学者になりたかったって言いましたよね、大学は哲学科だったので。

 

田所さんが関西に抱く思い

 

宮内:田所さんは関西に対する思いってありますか?

 

田所:それはありますよ。僕も西宮に20年間いたし、いまも西宮の企業の顧問もやっていて、毎月2回行っている。それも引き受ける気はなかったんだけど、故郷に錦を飾るじゃないですけど、関西人なのでうれしいですよね。

 

角:東京と関西でスタートアップの盛り上がりに違いはありますか?

 

田所:それはもうぜんぜんですよね。8年前の東京っていう感じ。ただお金はあるじゃないですか。阪急阪神とかJR西日本、銀行も。それに比べるとスタートアップの絶対数が少ない。

 

角:まだまだこれからということですね。ぜひ一緒に関西を盛り上げていきましよう!

プレスリリースはこちらです

Filament, Inc.のチーフ・イノベーション・オフィサーに「起業の科学」著者の田所雅之氏が就任

 


 

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