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対談

パナソニックからTHE DECKへ。成長を楽しみつつ共創を生む50代エンジニアのチャレンジ!

堺筋本町にあるコワーキングスペース「THE DECK」は、もともと、フィラメントのCEO角が発案者となって仲間を集め、公務員を退職したちょうど1年後の2016年に立ち上げた場所です。現在はフィラメントCOOの森澤がCEOを務め、角も役員に名を連ねています。またフィラメントのオフィススペースも兼ねるなど、まさに兄弟のような関係。現在、そのTHE DECKの執行役員チーフ・コネクティング・オフィサーを務めるのが、パナソニック出身の青山昇一さんです。青山さんは共創スペース「Wonder LAB Osaka」の責任者も務めていました。なぜTHE DECKにジョインすることになったのでしょうか? 青山さんの想いをうかがってみました。
聞き手:牧 美帆(Filament, Inc)

プロフィール

青山昇一(あおやま しょういち)

青山昇一(あおやま しょういち)

松下電器産業(現パナソニック)入社後、日英機械翻訳システムの開発やワードプロセッサー/PC向けアプリ開発、SDオーディオ用ソフトウェア開発など、研究開発部門にてソフトウェア開発に従事。

その後、AV関連の研究センターの企画推進担当を経て、全社UD推進業務を担当。事業部門でのUD視点での商品開発をサポート。

全社R&D部門の研究管理業務を担当後、パナソニックの共創スペース “ワンダーラボ大阪” 立ち上げ時の運営総括、イベントや企画を推進。  

2018年5月パナソニックを退職、現在コワーキングスペース”The DECK”執行役員

目次

パナソニックでSDカードに音楽を書き込むソフトを開発

視覚障害者向けの、音声読み上げ機能付きテレビを企画

人と話し、想いを伝えることで新しいものが生まれる

「お給料下がりますよ!?」と言われたけれど

THE DECKを、世代を越えた共創の場に

 

パナソニックでSDカードに音楽を書き込むソフトを開発

 

― 本日はよろしくお願いします。青山さんは大学を卒業してからTHE DECKにジョインするまで、30年以上パナソニック(入社当時は松下電器産業)に勤めていたんですね。

 

青山:はい。大学は愛知県の豊橋(豊橋技術科学大学)だったんですが、元々関西の人間なので、関西で就職したいという想いがありました。担当教授の縁で松下電器産業に入社しました。ありがたいなと思いましたね。

 

ー 森澤(THE DECK CEO / Filament, Inc COO)から聞いたんですが、SDカードの開発にも関わっていたとか。

 

青山:パナソニックにはWOODYという家庭用パソコンがありました。

 

ご参考:WOODY CF-32KPX CF-32KPX

 

そこに搭載するとあるオリジナルソフトの開発にかかわったことがあり、それでパソコン上で動作する、CDから音楽を取り込みSDカードに書き込むソフト開発のリーダーを担当せよ、という話になりました。

 

同じ時期にSDカードそのもの、SDカード書き込み用USBアダプタ、SDオーディオプレーヤ端末、も社内で開発していました。

実はそれぞれ開発責任事業場が違っていて、しかもすべて「開発中」。もちろん最初からすんなり再生されないわけですよ。だから音が鳴らなかったときに、「ソフトウェアの問題ではないか?」「いやライターがおかしいのではないか」となるわけです。

 

ー なんだか、想像するだけで、胃が痛くなりそうですが……。

 

青山:それぞれの担当は自信をもって開発していますからね。そこで我々はSDカード内データ分析検証ツールなどを作って万全を期したりしていました。そして初めてSDカードに記録された音が再生されたときは、みんなで「よかったな!」と喜び合って握手しましたね。ただ音が鳴っただけなんですが、すごくうれしかった。大変なことも多かったですが、新しい事業に関わることができたのは、良い経験でした。

 

しかし、とにかく機能するソフトを開発するというところにばかり意識がいっていて、使い勝手の部分まで頭が回っていなかったという反省がありました。

その数年後にユニバーサルデザイン全社推進グループに異動することになりましたが、その時の始末をせよ、という意味なのかなと少し感じたりしましたね(笑)

 

視覚障害者向けの、音声読み上げ機能付きテレビを企画

 

ー そこでは、どのようなお仕事を?

 

 

青山:パナソニックでは、ユニバーサルデザイン対応という意味からも、視覚障害者の生活をサポートするさまざまな製品も作っています。

毎年11月頭の連休には、サイトワールドという展示会があり、パナソニックも出展しています。

 

ー どのような商品があったのでしょうか?

 

青山:当時では例えばエアコンのリモコンですね。今は何℃とか、状態を音声で話してくれるものです。

 

ある年、その展示会に、小学校3年生くらいの女の子が来たんです。お父さんとお母さんの手を引いて。お父さんもお母さんも、全盲の方でした。

彼女が両親にリモコンの機能について口頭でご両親に説明して、わからなかったら僕に「これはどういう意味ですか?」って尋ねて来るんですよ。本当にしっかりした子だなと。

それ以外にも、高校生くらいの全盲の息子さんを連れたお母さんが、「あなたが一人暮らしを始めるなら、こういう商品がいいわね」って話しかけていたり……その方々の日常や背景を想像すると、こみ上げてくるものがあります。

 

障害を抱えながら生活しているご家族と実際に接することで、さらにユニバーサルデザインを推進していかなければ、という思いを強くしました。

 

ちょうどそのタイミングで、地上波テレビがデジタルに切り替わるという話がありました。

しかし、視覚障害者の支援団体が猛反対したんですよ。

 

ー それはなぜでしょうか。

 

青山:アナログ放送時代はFMラジオでTVの音声を拾うことができていたので、視覚障害者の方は、ラジオでTVも楽しむことができていました。しかしデジタル化するとそれが出来なくなってしまうんです。

 

地デジ化「テレビ聴けなくなる」 視覚障害者に不安の声(朝日新聞)

 

デジタルになればテキスト情報を端末上で音声読み上げできるようになる、と謳ってはいたものの、当時、音声読み上げの機能を備えたテレビはM社だけ。パナソニックも作っていなかったんです、そこで、パナソニックでも作ろう! と。

ちょうど、TV事業の企画担当者が僕の先輩だったので、その人に提案し、技術サポートはこちらで担当して商品化に至りました。

 

ー すごいですね!!

 

製品評価をするために、大阪市内の視覚障害者団体のところにトラックで試作品を持ち込んで説明して、喜んでもらって……うれしかったですね。

本当に必要とされていることに応えることってすごく大切だなという学びを得ました。ユニバーサルデザインをやらせてもらえてよかったです。

 

人と話し、想いを伝えることで新しいものが生まれる

 

ー そして2017年4月からはWonder LAB Osakaの責任者に。

 

青山:そうですね、みんなを巻き込んで、新しいことをやっていきたいという想いがありました。これからはイノベーションだ、共創だということで、当時の研究管理課長の声がけでいくつもの研究所から研究管理や企画に関わる、同じ想いを持った人間が集まって立ち上げの準備を進めていたんです。僕もそこに加わりました。

 

Wonder LAB Osakaを作るにあたり、みんなを引き連れてグランフロントのナレッジサロンに行ったり、イベントに参加する中で、フィラメントの角さん、森澤さんとも知り合いました。まさかここまでご縁が続くとは、当時は思いませんでしたね。

 

(左から角、青山さん、森澤)

 

オープン前には、角さんにも声をかけて来てもらって、Wonder LAB Osakaをどういう場所にしていけばいいかというのを考えるワークショップもやったんですよ。

 

オープン後は運営責任者としていろいろとやってきたのですが、実際に、THE DECKとWonder LABが一緒にやったイベントで印象深いのが「Panasonic Beauty」とコラボした「美ワークショップ」ですね。

 

ー 読売テレビの番組、「ハッカテン」でも取り上げられましたね。

 

青山:美容家電開発の責任者からWonder LAB Osakaに相談があったんですよ。働く女性の美に対する意識を知りたいと。

そこで角さんに相談してインフォバーンさんを紹介していただき、そこから美容の専門家の方につないでいただき、イベントをすることができました。

そして最終的には、最初に話を持ってきた美容家電の責任者にも「よかった、助かった」と言ってもらえました。

 

そのときに思ったんですが、自分が考えることや経験していることって、たかがしれているんですよね。自分の範囲の中でしか、アイデアは浮かばない。

でも人と話をしたり、人に自分の想いを伝えると、思わぬ接点から新しいものが生まれてくる。

それに、仕事全般にも言えますが、求めて探し回っていると、答えって見つかります。

ただふわっと「何かないかなぁ」って探している時には見つかりません。「どうにかしたい!」というテーマを持っていれば、そのご縁に当たる。そういうのを経験できましたね。

 

ー 出会ってきた人たちにヒントをもらい、そこから商品なり答えにつながるというのは、これまでの青山さんのキャリア全般に言えますね。

 

青山:いろんな人に出会い、想いを伝えることで、今につながっていますね。

 

「お給料下がりますよ!?」と言われたけれど

 

ー そして、さらにTHE DECKのCCO(チーフ・コネクティング・オフィサー)就任につながっていくわけですが。

 

青山:Wonder LAB Osakaを若い人に任せたいという想いが1年くらい前から出てきて、上司にも、パナソニックをやめるかもしれないというのは伝えていました。

そして昨年(2018年)の春に、コミュニティマネージャーの募集を見て、角さんと森澤さんに声をかけたんですよ。

 

ー 二人とも、びっくりしませんでしたか?

 

青山:そうですね。角さんには「お給料下がりますよ!?」と言われました(笑)

でも、「まるで根っこを張ったみたいに、固定された概念にとらわれてしまっていないだろうか?」という不安と、「違う環境でチャレンジしてみたい」という想いが自分の中にあって。

 

THE DECKの募集には、「イベントを企画したり、利用者様同士をご紹介したりと、あなたの自由な発想で、The DECKから新たなビジネスやプロジェクトが生まれるよう、働きかけてください」とありました。

 

それで思ったんですよ、「もし他の人がTHE DECKのコミュニティマネージャーになったら、後々あの時に思いきってたらと思い続けるんじゃないか」って。

 

ここであれば、自分の経験を活かしながら、さらに新しい経験を蓄積できる。

いままでになかったことができるのではないかと考えました。

 

また、息子は既に社会人、下の娘も就職が決まったので、タイミングもぴったりはまりましたね。

今は息子よりも年下の大学生のアルバイトのみなさんに、いろいろと教えてもらっています。それもまた新鮮ですね。

 

THE DECKを、世代を越えた共創の場に

 

― 今後、THE DECKをこんな場所にしたい、というのはありますか?

 

青山:THE DECKの特徴でもある「Fabスペース」を使ったモノづくりイベントをやりたいと思います。

レーザーカッターと3Dプリンターの使い方は知っていましたが、こちらに来てから新たに刺繍ミシンとカッティングマシンの使い方も習得しました。「どうやるんだろう、これ?」って興味が湧いて、マニュアル片手に独習で(笑)

刺繍ミシンとレーザーカッターで加工した皮革でデニムエプロンをデコりましてTHE DECK 特製作業エプロンにしたんですよ。

 

 

― すごい! 好奇心や探究心が強いんですね。

 

青山:もともと、モノづくりが好きなんですよ。今は3D切削機の使い方を勉強しています。

どの機材もアイディア次第で面白いことができるので、是非いろんな方に使ってみていただきたいなと思っています。

また、テーマを決めたライトニングトークのイベントとか、直接顔の見えるものを開催していきたいですね。そしてなるべく広い世代の人たちに集まってほしいと考えています。異世代交流会、みたいなのって面白いと思うんですよね。

 

最近の若い人たちは物事をすごくよく考えてるし、我々世代の経験してきたことも、押し付けにならないようにうまく共有できたら、より強力なパワーになるんじゃないかと感じています。

 

― 青山さんがプロデュースすることで、50代以上の人たちも足を運びやすくなりそうですね。

 

青山:まずは、THE DECKのコンセプトである「いつでも、どなたでも」を浸透させて、広い世代の人たちが、何となくふらっと寄れる場所にしたいですね。そして人が集まる場所になれば、次のステップアップとして、世代を越えてつながる場所になる。それを作っていきたいですね。

 

ー THE DECKの今後が楽しみです。本日はありがとうございました!

 

 


 

The DECKでは2階オフィススペースの入居者募集中です!

詳しくはこちらのページをご覧ください。

 

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