関西電力様主催のビジネスアイデアコンテスト”Dentune”

2016.12.26

1 依頼・課題抽出

電柱をテーマとする異色のアイデアコンテスト、Dentune!!、後々178名の応募を集め、西日本では最大規模となるこのイベントは関西電力様と日本総研様、そして弊社の3社で企画を練りました。

関西電力様のご担当者様とコンサルティングに入っている日本総研様と弊社をご訪問いただき、その場で開催の意図をお聞きしました。 この時のヒアリングの中で明らかになったのは、電力自由化という環境変化の中で、関西電力様が新しいことにチャレンジしていく企業体であることをアピールしたいということ、それに実際に新しいビジネスを生み出すアイデアを得たいということでした。

こうした目的をお聞きして、いくつかのテーマ案の中からその場で「電柱」とすることをご提案しました。

「電柱」は街中で普通に目にする身近なものであるため、ビジネスに従事した経験のない学生などを含め誰もが発想のネタとすることができます。また関西電力様が保有する電柱の総数は270万本と膨大な数に上ります。もし、その電柱にセンサーを1個ずつつけたとしたらそれだけでも数億円規模のビジネスになる…ということはビジネスアイデアの出口戦略として非常にイメージしやすいわけです。しかも金額規模が大きく、様々な企業の方々にも真剣に取り組んでもらえる可能性がある。

こうした理由から、電柱をテーマにすることを提案し、本格検討をしていく事に決定しました。

また、ネーミングも考えました。

関係者との検討中、ホワイトボードに、電柱、でんちゅう、デンチュウ、デンチュー…漢字、ひらがな、カタカナと書きこんでみて何か閃きそうな予兆がありました。そして最後にDENTU… あ!!neをつけたせば…Dentune!!

電柱をチューンアップして違う価値を生み出すという意味をDentune!!という名前に込めました。

テーマが電柱であることを直感的に示しながら、それだけに終わらずそのチューンアップを求めていることがわかる。そして少しユーモラスな感じがしつつ未来感もあるという、我ながら良いネーミングだと思いました。最終的にはここにfortune(フォーチュン/運命・新たな未来)という意味も重ね、3重の意味を持つタイトルとして公開しました。

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2 企画・コーディネート

テーマとタイトルが決まった後、すこし時間をおいて、本格的な企画がスタートしました。

日本総研様の手厚いサポートを頂戴しながら、企画のアイデア部分や方向性を決めていくためのアドバイザリーを提供させていただきました。数回のミーティングを経ながら、概略スケジュール、予算として盛り込むべき項目と金額感、開催場所選定のための情報提供、参加者のモチベーションの解説、審査基準、などなどに加え、今回のイベントの開催価値を最大化するための細かなノウハウ(特に開催後にアイデアを生かすために事前に準備しておくべきことなど)についてお伝えし、ひとつひとつ、アジェンダを解いていきました。

また、イベントとしての盛り上げを図るためにアートディレクションを導入することを提案し、テック系イベントのアートディレクターとして実績豊富な志水良さんをご紹介しました。

志水さんはこの後、Dentune!!のロゴデザインをはじめ、Tシャツ、ネームタグ、バックパネル、テーブルオブジェなどなど、イベントを包み込むすべてのアートワークをになっていただきました。

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3.集客・アクション

関西電力様、日本総研様との打合せの中で、参加者の想定属性や告知ルートの設計をもとに集客計画を立てました。

関西電力様としてDentune!!にかける本気度を示すことが、参加意欲に大きく影響することはわかっていたので、できるだけ上位職階の方に審査員として加わっていただくことを提案しました。この提案を受けて社内でご調整いただき、見事、副社長2名に常務1名、電柱を所管する部署の副事業本部長1名と多くのエグゼクティブのご参画を実現していただきました。

また、外部の審査員としても予選、本選ともに適切な審査ができ、かつ告知にご協力いただくことで集客にもつながる人間力あふれる方々を審査員としてご提案いたしました。

※ちなみに審査員は以下の皆様にお願いいたしました。

予選は、社内審査員として、常務執行役員 稲田 浩二様、電力流通事業本部副事業本部長 石原 一志様、社外審査員として、日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門主席研究員 / 融合戦略グループ長 東 博暢様、村田製作所 新規事業推進部オープンイノベーション推進チームマネジャー 牛尾 隆一様、シャープ株式会社 ブランディングデザイン本部デザイン開発センターUXデザインスタジオ部長 佐藤 啓一郎様、ヤフー株式会社 スマートデバイス推進本部大阪開発室本部長 宮内 俊樹様。

本選は、社内審査員として、副社長 土井 義宏様と同じく副社長の森本 孝様、社外審査員として、ヤフー株式会社 執行役員CMO 村上 臣様、Iotコンサルタント 前インテルIotソリューション事業開発マネジャー デイビッド・フォード様、日経BP社コンピュータ・ネットワーク局 局長補佐 中村 建助様。

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電柱というスケールの大きなビジネスにつながる可能性があり、かつ身近なテーマを設定できたこと、そして企業としての本気度も示すことができたことから、集客の不安は払しょくできました。

そこからは、弊社としてFacebookを通じた告知を展開するとともに、興味がありそうな方や企業に対して個別にアプローチして参加を促し、また、弊社のオフィスが所在するオープンイノベーションスペースThe DECKにもビラを設置して物理的な接点を用いての集客も図りました。

集客については問題なく成功するという自信はあったものの、もしもの時に対策が打ちやすいように締め切り日を早めに設定し、延長できるようにしていましたが、結果しては前述のとおり応募者178名という西日本で開催したこの手のイベントではおそらく過去最大の集客を達成することができました。

会場の都合でここから抽選で120名程に絞って参加者を決定し、まずは予選から開催することとなりました。

 

4 イベント開催中(予選)

イベント前日のリハーサルを経て11月26日の予選当日のファシリテーションは弊社のファシリテーターであるハッカソン芸人ハブチンこと羽渕と弊社代表の角がファシリテーションを担当しました。

今回は個人参加とグループ参加の両方で参加受付を行ったため、チームビルドが必要な参加者と、そのフェイズが必要ない参加者に分かれることとなり、ところどころで会場を分割し、別々な進行を行うこととなっていました。

そのため、チームビルドを必要とする個人参加者のファシリテートを羽渕が、グループ参加の方を角が行うという分担としました。

イベントの進行を分割することは、厳密なタイムマネジメントが必要となる難易度が高いオペレーションですが絶妙のチームワークで双方ともにオンタイム、ほぼ時差ゼロの進行が実現できました。

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もちろん、時間管理やオペレーション面だけでなく、アイデア創出の質的な面でもエンターテイメントとしても、両会場ともに、緊張と弛緩が効果的に作り出され、質の高い体験を提供できたものと自負しています。

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15272095_10209185762296157_2016579920087437718_o120名近い多くの参加者を集めた本イベントではプレゼンテーションにかかる時間も膨大になります。

チームビルドの結果生まれたチーム数は総勢26チーム。1チーム5分ずつのプレゼンタイムをとったとしてもそれだけで2時間以上かかってしまいます。

この点についても事前に予測していたため、審査も2ブロック制とすることとしていました。これならプレゼンタイムも一時間と少しで済みます。ここでも羽渕と角のファシリテーター二人体制が機能することとなります。そして、両会場の審査の時間のズレもわずか三分に収めることができました。

 

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そして、その後の審査です。

外部の審査員はともかく、関電社内の皆様はアイデアコンテストの審査員にはなれておられないはず…その対策として弊社では事前に「審査員の心得」と称してレクチャーをさせていただきました。これにより、審査員の皆様にも不安なく審査をしていただくことができました(とはいえ、関西電力の審査員の皆様は時にユーモアをまじえたり、皆さん大変に盛り上げ上手でいらしたのでレクチャーは不要だったかもしれませんが)。

予選終了後は審査結果発表、懇親会とうつりますがここでは羽渕がファシリテーターとして仕切らせていただきました。

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5 イベント期間中(予選通過者のサポート)

予選終了から本選開催までは2週間の期間を空けるという設計をしておりました。

これは予選で生まれたアイデアをビジネスプランに生まれ変わらせるためにはブラッシュアップの期間を設ける必要があると判断したためです。

このフェイズでは、本選に参加したチームの皆さんを集めたFacebookのグループを作り、各チームの活動状況を共有していただくように誘導しました。

チームの動きを可視化することで競争を意識していただき、より良いものをつくることにモチベーションを生み出すための工夫です。

また、チームのミーティングスペースとして、オープンイノベーションスペースThe DECKを無料で使っていただけるように事務局と同期をとってご用意しました。

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その結果、かなりのチームが休日や平日の夜にTheDECKにてミーティングを持ち、ディスカッションや資料作成にと多くの時間を使っていただきました。

 

6 イベント期間中(本選)

本選においては、イベント演出が大きな課題となりました。 本選会場となる大阪イノベーションハブは行政が運営するスペースであり、無料で使用できることや立地が良いことなど利点も多いのですが、装飾性に欠けるためその点をどうカバーするかがポイントとなりました。

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ここをサポートしていただいたのがMBS毎日放送様です。

MBS毎日放送様は自社でもハッカソンを行い、それをテレビ番組化して放映されたりもしている先端的なテレビ局です。弊社として、MBS様と関西電力様とはいろいろな意味で相性が良いと考え、事前にお引合せする場を設け、協力関係を築いていたのです

この協力関係に基づき、MBS様には予選を通じてご取材いただいており、その際の映像を活用して2分ほどのプロモーションムービーを作成していただきました。

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そのムービーを本選のオープニングに上映することにより、会場の盛り上がりを演出することができました。

また、本選に参加した10チームから順番にプレゼンしてもらうだけだと冗長に感じてしまうので、2チームずつに分けて疑似的な対戦形式を演出し、緊張感のあるイベントに仕上げていきました。

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予選から2週間の時間を空けたこともあり、本選に進んだ全10チームのすべてが予選から大幅に進化したビジネスアイデアを披露してくれました。

 

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その結果、優勝したのは…ITのスペシャリストではない主婦の皆さんを中心としたチーム「おかん」

そのアイデアもITとは無縁の、電柱に折り畳みのイスや日傘を据え付ける…というシンプルなものでした。

シンプルであるがゆえに実際のビジネスとしてスタートしやすいですし、ほかのビジネスプランとの組み合わせもやりやすい。展開案として、例えば電柱に電源やWi-Fiも設置してその利用を有料化し、イスとセットで使えるようにすれば利用したいというノマドワーカーはたくさんいると思います。街全体をターゲットにする新たな滞留型のビジネス(ユーザーの滞留時間を増やすことによって売り上げにつながる形のビジネス)の核ともなりうるアイデアと言えます。

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ビジネス性や実現性を重視した審査の結果、「関西電力の社員からは絶対出てこないアイデア」を考え出したことが評価されました。これはまさにオープンイノベーション的アプローチの醍醐味といえる結果だと言えます。

おかんチームの主婦、北冨さんは以前、関西電力様のグループ会社であるかんでんCSフォーラム様が主催された「家族を明るく照ラスソン」に参加されたことをきっかけに今回もエントリーいただいたとのこと。「どのチームも素晴らしいアイデア・プレゼンでした。その中で、まさか最優秀賞をいただけるとは思っていなかったのでとても驚きました。私のチーム“おかん”が選ばれたのは、良いメンバーと出会えたからだと思います。」と優勝のご感想を語っていただきました。

 

5 成果とフォローアップ

関西電力様におかれては、今回生まれたすべてのアイデアをレビューしてビジネス化の可能性を探されることとなっています。 特に優勝したアイデアについては、電柱を所管されている関西電力様のエグゼクティブの方々も事業化検討に意欲を持たれているので、何らかの形で実現される可能性は高いと思います。

また、こうしたイベントの効果は他にもあります。

ひとつは、社員の人材育成。実は今回のイベントでは、関西電力様の社員も各チームにジョインして一緒にビジネスプランの練り上げに参加していました。これによりスタートアップ的なワークスタイルやスピード感、少人数チームで短期間にアウトプットすることのヒリヒリした感覚を体験することになります。大企業の組織ではなかなか味わえない体験をすることができた社員の皆さんはこれからオープンイノベーション路線での活動をスタートされた関西電力様にとって大きな財産になることでしょう。

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もうひとつは社外企業とのつながりです。 今回イベントに参加された皆さんを所属企業に分けていくと(ここでは書けませんが)非常に多くの企業、業種となります。家電メーカー、オフィス機器メーカー、大手ゼネコン、デザイン事務所、外資系コンサル会社…(こうした錚々たるプロフェッショナルを抑えて優勝したのが主婦の方々というのはやはりすごい話ですが…)

こうした外部のスペシャリストの方々となにかのときに直接連絡が取れる関係を築くことができたということ自体が大きな価値だと思います。 実際に、懇親会に際して、ある社内審査員をつかまえて、自社のアピールをされたある会社の方は、そのあと、本業の方で直接、関西電力様とビジネスミーティングの場を持ち、双方にとってとても有益な関係が生まれつつあるそうです(しかも複数進行中です)。

イベントの成果だけでなく、イベントを通じて生まれる様々な経験や関係こそが、最も有益な価値なのかもしれません。

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参考リンク

関西電力様Dentune!!ホームページ http://www.kepco.co.jp/corporate/dentune/