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大企業からスタートアップへ、ものづくりを志す人が生き抜くために必要なこと【Re:Framing the Flame】  

大企業からスタートアップへ、ものづくりを志す人が生き抜くために必要なこと【Re:Framing the Flame】  

Filament.Inc創業2周年イベント『Re:Framing the Flame』は、Filamentが日頃の感謝を込めて、つながりのある人達とのセッションを通じ、今後社会に提供すべき価値について皆様と共有するイベントです。

ここではスタートアップセッションのパネルディスカッションを紹介します。

 


 

【登壇者】

エーテンラボ株式会社 代表取締役 CEO 長坂剛(ながさか・ごう)氏

株式会社GAUSS 代表取締役 宇都宮綱紀(うつのみや・つなき)氏

シャープ株式会社 テキオンラボプロジェクトリーダー 西橋雅子(にしはし・まさこ)氏

【モデレータ】

ヤフー株式会社 執行役員CMO 村上臣(むらかみ・しん) 氏

Filament, Inc. 代表取締役CEO 角勝(すみ・まさる)

 


 

会社より、個人の時代

 

村上:長坂さん宇都宮さん西橋さんのお話を聞いていると、「個人の時代」がすぐそこまで来ていると感じます。会社に一生ついていくというコミットと引き換えに、終身雇用制度が与えられるのではなく、その人の専門性やスキルや人脈で、 なプロジェクトを回していく時代が。

 

角:僕も独立するとき、ある人から「公務員を辞めない方がいい」と言われました。でもFacebookで退職を報告したところ、「いいね!」が1266もついた(2017年4月時点)ことで、「僕の価値は決して大阪市職員の看板と紐付いていたわけではない、大阪イノベーションハブでやっていたような仕事(※)は、僕だからできた仕事だと皆に思ってもらえているのだ」と、と自信を持つことができました。そして独立後は沢山の方にご支援いただいています。

※注:角は大阪市職員時代、「大阪イノベーションハブ」を立ち上げ、メンバーシップ制度の導入や、外部イベントの誘致、集客、さらにハッカソンイベントを開催し製品化につなげるなど運営に尽力した。

 

村上:角さんが退職したときに、独立祝いとして「僕をゲストとして使える1年間のブッキング権」をあげたんです。そしたら最後の1日まで角さんはきっちり使い切りました。そして今もブッキングされています。

 

角:まさに長坂さんのお話にあった「使えるところは使おう」という話です。村上さんには本当に感謝しています。

 

長坂:技術やアイディアがあっても、それだけでは起業することはできません。足りない部分を補うために、例えば資金をベンチャーキャピタルから調達する、自社の新規事業開発プログラムに採択される、他の新規事業開発プログラムに参加する、ということを行います。そして色々な力を借りては少しずつお返しすることで、事業を拡大し成功に導きます。僕にとってはそれがソニーの新規事業創出プログラムでした。

 

大企業に潜む変人を探せ

角:僕は、3人とも大企業の中ではかなりの「変人」に属すると思います。これまでの価値観にあったような「大企業で出世しよう、そのためには花形部署に行って業績を上げよう」というようなこととは全然違うことをやっていますよね? そんな人って他にも社内にいますか?

 

長坂:いると思います。特にメーカーは、新しいものを作りたい、それでビジネスをしたい、という人が多いですから。

 

西橋:シャープも、元々はシャープペンシルから始まった会社(創業者の早川徳次氏が早川式繰出鉛筆、いわゆるシャープペンシルを作った)ですから、探せばそういう人はたくさんいます。やり方さえわかれば、「実はこんなアイディアを持っている」と声を上げる人が、ふつふつと出てくるはずです。

 

角:今後シャープでも、新規事業開発プログラムを創設する可能性はあるのでしょうか?

 

西橋:新規事業開発プログラムはまだありませんが、他社の新規事業・量産を支援するプログラムは既にあります。

 

角:SHARP IoT.make Bootcamp ですね。

 

西橋:そうです。でもシャープの中からも新規事業を出さないと本物ではないのでは? という思いはあります。このプログラムをうまく掛け合わせて、新規事業開発も仕組み化していきたいですね。

 

角:富士通でも、そういう人を増やそうという試みをしていますよね?

 

宇都宮:社内に沢山いますね。ただどちらかというと会社自体を改革して、よくしていこうという愛社精神の強い人が多いですね。僕も富士通が大好きですし!

 

角:えっ、1ヶ月待てなかったのに!?  宇都宮さんみたいに独立してやろうという人はいますか?

 

宇都宮:実は何人かから相談を受けています。今のチームも偶然ですが、全員が元・富士通ですし。辞めてから知り合いました。

 

村上:例えば富士通って、独立ではなく副業として新規事業をやるのは可能なんですか?

 

宇都宮:申請して許可が出れば可能です。

 

村上:ソニーはどうですか?

 

長坂:副業は認められればOKです。申請して、副業として会社をやっている人たちもいます。

 

村上:シャープは?

 

西橋:ダメですね。

 

角:ヤフーはどうですか?

 

村上:申請すればOKですよ。実は僕の部下に、副業としてより強い競走馬を作るための配合を導き出すAIを馬主と組んで開発している人がいます。

 

角:それも『SIVA』みたいに儲かりそうな話ですね。

 

大事なのは「やりきる力」

角:今回お話を聞いて感じたのは、社内に新規事業開発プログラムや副業などの制度が整っていれば使うという人は多いのではないか、そして大企業の中でも起業によるリスクやコストを下げつつ、ベンチャー的なマインドセットを持つ人材を育成していけるのではないかということです。村上さんはいかがですか?

 

村上:最初は大企業からの借り物競争でいいのですが、軌道に載ってからはフルコミットできるかどうかが重要になります。投資の経験上、退路を断って取り組むとパフォーマンスの質が明らかに違います。やはり最後の一秒まで諦めないマインドというのが必要。

中にはバックアップがあってもパフォーマンスを出せる人もいますが、大抵の人は退路を断たないと出来ないので、どこかのタイミングで独立する必要は発生するでしょうね。

 

角:どこで背水の陣を敷くかが、キーですね。

 

村上:一言で表すと「やりきる力」。これがどれだけ発揮できるかです。事業内容は変わっていくものだし、世の中はどうなるかわからない。そこで柔軟に対応してやりきれるか、諦めずにいけるチームか、シードに投資する人はそこを見ていますから。

 


三者三様、やりたいことのかなえ方

大企業の勤務経験をもち、かつ新規事業を手掛ける、三者三様の取り組みはいかがでしたでしょうか。 会社のアクセラレータプログラムを利用して起業した、大企業からのスタートアップとしては正統派な長坂さん、自分のモチベーションを守るために、会社の支援を待たずに起業した異端児の宇都宮さん、新規事業プログラムがなくとも、自ら事業を起こそうと大企業の中で模索を続ける西橋さん。 3人が事業をはじめたきっかけは、自身が感じた幸福感や、新規技術を活かしたいという思い、自分から湧き出るモチベーションなど様々ですが、3人の取り組みから、自分が今いる場所から、動き出すヒントが見つかるのではないでしょうか。 Filamentは、挑戦する人たちを応援します。

 

それぞれの取り組みに関するご紹介はこちらです。合わせてご覧ください。

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きっかけは「ホリエモン」――元鉄筋工から富士通、そして競馬AIアプリで起業した男【Re:Framing the Flame】

 

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