トップ > 実践事例 > フィラメントがともに歩むNTTCommunications社内新規事業創出プログラム『BI Challenge』 立ち上げから10か月の軌跡と今後の展望

フィラメントがともに歩むNTTCommunications社内新規事業創出プログラム『BI Challenge』 立ち上げから10か月の軌跡と今後の展望

フィラメントがともに歩むNTTCommunications社内新規事業創出プログラム『BI Challenge』 立ち上げから10か月の軌跡と今後の展望

7月1日にて創立20周年を迎えたNTTコミュニケーションズ株式会社。フィラメントでは、同社の社内新規事業創出プログラム『Business Innovation Challenge』(以下、『BI Challenge』)にプログラムの設計からメンタリングに至るまでの伴走支援をしてきました。BI Challengeでは、社内アイデアコンテスト『DigiCom』(以下、『デジコン』)からの選抜チームなどに対して、メンタリングや仮説検証の伴走支援を行い、事業化を目指します。立ち上げから約1年、さらなる進化を遂げようとしているBI Challengeの軌跡と今後の展望について、同社経営企画部ビジネスイノベーション推進室 当プログラム責任者の大貫明人氏にフィラメント代表の角勝とCXO佐藤啓一郎がお話を伺いました。

 

インタビューの会場は2019年1月に本社移転したNTTコミュニケーションズの新オフィス大手町プレイスの一角にある『CommBASE』。Snow Peakのキャンプグッズで揃えた部屋は「コミュニティのベースキャンプとなる」というコンセプトがあるそうです。(文:伊藤紗恵)


【目次】

■わずか10か月でプログラムの立ち上げ~サービスのローンチまで実現しつつある『BI Challenge』

■キーとなるのは面白がり力の強いミドル層。創立20周年のNTTCOMならではの強み

■ミドル層を中心とした、0→1→10支援プログラムの新構想『BIChallenge Advance(仮称)』

■『BI Challenge』を支えてきた少数精鋭の事務局メンバー

■わずか10か月でプログラムの立ち上げ~サービスのローンチまで実現しつつある『BI Challenge』

まず、この『BI Challenge』は、どのような経緯、想いで立ち上げたのでしょうか。

 

大貫当社も創立20周年を迎えたこともあり、新たな挑戦として新たなプロジェクト/プログラムがいろいろ進められています。BI Challengeもその一つとして、「デジコン」などから本気で事業まで結びつける取り組みとして、昨年の9月末の幹部会議にて立ち上げが決まり、私自身も10月1日に人事交流先より帰任、翌日、社員証も名刺も無い体一つの状況にて、新幹線の切符を買って、大阪へ角さんに会いに行ったところから始まります。

 

佐藤体一つで新幹線(笑)。駆け落ちのような勢いでしたよね。

 

大貫はい(笑)。そこから10ヶ月ですが、とても1年弱とは思えない濃密な期間でした。昨年10月時点では骨子のみであった状況から、本プログラムを詳細設計し継続的運営可能なレベルまで具体化するとともに、選抜チームへの伴走サポートも開始、3月には社内ピッチコンテストも企画開催しました。現在は1期生のイグジットを進めながら、2期生を募集しています。今は、一気に駆け上がってきた階段を振り返り、何とかここまでは来たか、といった感じです。

 

佐藤通常いただく依頼だとプログラムの枠組みができていて、その中での「ここをお願いします」という感じなのですが、大貫さんからの依頼は「これから作るのでとにかく入って一緒に考えてやってください。」というものでした(笑)。創り上げていくことも、すごく面白かったですよね。

 

大企業内のインキュベーションプログラムって会社の本気度に応じて5段階に分けられると考えているのですが、実態は人事のアリバイや社内プロバガンダ施策のレベル2くらいまでで終わっているところが多い印象です。BI Challengeは最初に話を聞いたときはレベル3くらいをイメージしたのですが、1年足らずでPoCを超えてローンチ寸前まで進んでいるプロダクトが出てきています。すでにビジネス創出レベルの、レベル4~5のプログラムになってきています。

 

大貫9月にローンチ予定の「議事録作成支援サービス CoeNote(コエノート)」というプロダクトがありますが、Google Cloud Nextの展示会でも一番人気でした。

 


【CoeNote(コエノート)について】


BIChallengeが伴走している新プロダクト「議事録作成サービス CoeNote(コエノート)」

コエノートは2018年のデジコンで入賞した作品「議事ロック」がベース。高精度に自動で議事録を作成するためのツールとして開発がスタートしたが、フィラメントとのメンタリングを経る中で、類似製品との差別化要素が「背景雑音が除去できるノイズキャンセリング機能」であることなどに着目して、訴求点を明確化したほか、価値をわかりやすくするためにネーミング変更(商標リサーチ含む)、プロモーション動画のシナリオ作成サポートなどもフィラメントで担った。


 

展示会(Google Cloud Next)の様子。この日はマイクロソフト業務執行役員の澤さんもCoeNoteブースに

 

 

佐藤通常だとPoCをつくるだけでそこから前に進まない「PoC地獄」という状況に陥る場合が多いのですが、「コエノート」をはじめとして、そこは軽々超えていっているチームが多いですね。

 

大貫価値検証プロセスを社外で厳しくできたからだと考えています。

 

PoC地獄は社内の勝手な思い込みだけで作って、ユーザーや社外関係者などの目線で価値検証をしていないから陥りがちですもんね。

 

大貫フィラメントさんの紹介やメンタリングにて“B to B to X”までバリューチェーンを伸ばすなどビジネスモデルを洗練させていったうえで、優しくも厳しい意見をいただきながらリーンスタートアップの仮説検証サイクルを早い周期にて回せていることが大きいです。「コエノート」は、マーケットのキーパーソンに仮説を当てて評価をもらったことで、早めにコンセプトチェンジすることができました。

 

僭越ながら僕のFacebook投稿へのフィードバックとかがたくさんついたのも結構活きましたよね。

 

 

大貫そういう多くのスペシャリストから大量のフィードバックが即時にいただけたりするところもフィラメントさんと一緒にやらせてもらっている大きな利点です。筋のいいマーケットのリアルな声が聞けました。

あと、3月のピッチコンテストあたりから、社内外からの我々に対する見方が変わってきました。仲良しクラブが参加しているだとか遊びでやっているのではという声はほとんど聞かなくなりました。ピッチ大会に副社長などの経営層や大学教授などの社外有識者が参加したことや、厳しい講評を受けていたことでその雰囲気が伝わったのだと考えます。

 

3月に行われたピッチコンテストの様子。BI Challengeについて説明する大貫氏。

 

予定調和ではない、ということが伝わっているのですよね。実際、ピッチコンテストは出ましたが、その後活動休止になったチームもありますしね。

 

大貫それが公になることで本気度が伝わるんですよね。

 

佐藤「コエノート」はじめ、現在進んでいるプロダクトはある程度成功すると思います。面白いのは、これが一番の成功事例になるのではなく、次の事業の弾がどんどん装填されているところ。ここが他の会社のインキュベーションプログラムとは違うところです。

 

大貫まだ立ち上げたばかりですが、BI Challenge はプログラムとしての継続を強く意識しています。先ほどのレベル1、2くらいのガス抜き的な目的だとすぐにつぶされてしまうし、企業文化に根付かない。引き続き、本気でやっているというメッセージを社内外に出していきます。

 

佐藤BI Challenge の前段階にあたるデジコンからの流れが良くできていると思います。デジコンはある意味お祭りですが、それを継続したい人がBI Challengeにくるという仕組みがいい。

 

大貫年を追うごとに盛り上がってきています。昨年のデジコンのエントリー数は100チーム強(600人強)でしたが、今回もそれを上回るエントリーがありました。

 

キーとなるのは面白がり力の強いミドル層。創立20周年のNTTCOMならではの強み

着実に盛り上がってきている感覚ですが、一方で課題はあるのでしょうか。

 

大貫やはり現業との兼ね合いの部分です。チームメンバーが同じ部署内で完結している場合は良いのですが、同期の横の繋がりのチームなどは難しいです。上長や職場の理解が総論賛成各論反対的に得られず、本業との両立に苦心しながらプログラムに参加している、といった例も実態としては多々あります。

 

なるほど。そこなんですが、他の企業にはない特徴として、同じ部署内で上長を含めた現業のマネジメントラインの部隊ごとセットでのデジコンにエントリーするチームが多いなと思っています。通常は上長が否定的なことが多いのですが、なぜそういったことが成立するのでしょうか。

 

大貫それは私も少し意外だったのですが、当社は上長クラスのミドル層にも実は面白い人が多いんですよね。

 

佐藤それ、私も思いました。多分、御社がまだ誕生20年の若い会社だからかなと。御社の誕生当時のネットがこれからどうなるかもわからない時代に、様々な抵抗に遭いながらビジネスを立ち上げてきた経験のあるメンバーが今上長になっているという御社ならではの強みかもしれない。

 

昨年BI Challenge立ち上げ前に、デジコンの審査員をやらせてもらったんですが、めちゃくちゃ面白くて。上長含んだ部隊ごとチームになってエントリーしてる、こんな会社あるんだって本当に驚きましたよ。

 

佐藤すごい興奮して帰ってきたよね(笑)

 

大貫野武士的なマインドセットを有する上長もまだまだ多いんだと考えます。当社創業期に事業を立ち上げてビジネスを形にした経験があり、その魂が残っている。

 

佐藤いまがラストチャンスかもしれないですね。数年後には、そのクラスの人が身動きを取れなくなる。BI Challengeはタイミング的にいい時期に始めたのかもしれないですね。

 

大手のインキュベーションプログラムでレベル5に行く会社は、リクルートのような採用時点で新事業創出志向の人を集めている会社しかないと思っていたんですが、いわゆる日本の大企業の代表格であるNTTグループの会社で、できるのであれば他社でもできるのではと思いました。むしろ我々がこのモデルをもっと広げていかなければと思いました。日本全体でミドル層の力を覚まさないと。

 

大貫社内的にはミドル層の活躍スタイルを若手のロールモデルにもしていきたいです。今20周年ですが、30周年の時にはあのプログラムからでてきたサービス/プロダクトだよねといわれる事業ができていて、このプログラムに今参画している若手のメンバーがその時は当社中核メンバーになっていてほしいですね。

 

佐藤大企業を中から変えていく人が現れないと変わらないですよね。

 

ミドル層を中心とした、0→1→10支援プログラムの新構想『BIChallenge Advance(仮称)』

大貫実は今後の構想としてそのミドル層を中心に新規事業をドライブしていくためのプログラム「BI Challenge Advance(仮称)」を勝手に考えています。半分妄想ですが。

 

おお!

 

大貫これまでは社内スタートアップ制度としては出島もしくは放課後活動的にやってきましたが、それとは別に新たなプログラムを作りたいと思っています。具体的には、いろいろな部署にいる、これまでに事業を創ってきたビジネス創出精神とスキルのあるミドル層をバーチャルにですがプールし、それを有効活用する組織機能を立ち上げたい。

 

それいいと思いますよ。面白がり力の強いおじさんがたくさんいて、会社の使い方もわかっている。そういう人たちを新規事業に活かさない手はないです。

 

佐藤社内シリアルアントレプレナーみたいな感じですかね。社内で事業立ち上げを連続的にできる人たちですよね。

 

大貫シリコンバレーだったら会社を転々とするシリアルアントレプレナーが、当社だと社内でも出来るのではないかなと。またそのミドル層メンバをコアとしたうえで、社外からも積極的にビジネスプランナー人材を受け入れて一緒にやるということもやりたいですね。そうすると、社外からの人材登用におけるミスマッチも減るのではないかと考えています。

 

佐藤社外からってミスマッチが多いですからね。なかなか社外から来て文化も違うしなんだかんだ成功しない確立が高いんですよね。一方で染まってしまったら社外人材の意味がないですし。

 

大貫また我々事務局としては、そこを支えるプロデューサーになりたいと考えています。ビジネス・デザイン・エンジニア人材のアサインや必要リソースを与える権限を持ち、アイデアと技術力の目利きをしたうえでチームをコーディネートし、Jカーブを乗り切る併走を行うイメージです。

 

新構想『BI Challenge Advance(仮称)』について熱く語る大貫氏

 

『BI Challenge』を支えてきた少数精鋭の事務局メンバー

立ち上げから1年足らずでアドバンス版の構想までできるとは、事務局側が必死にやってきた結果ですよね。

 

大貫当方チームにおります事務局メンバーも経験したことがないことだらけのなか、積極的かつ柔軟に喰らいついてきてくれました。事務局メンバーには今後一線にて活躍してほしい若いメンバーを集めています。出島的な組織はよく現場から浮いたメンバーが集まりがちですが、若いながらも、もともと既存事業やグループ会社に出向経験があるなど、現場の実情も分かっているメンバーが多いというのも強みです。

 

現場をわかっている事務局のメンバーがいるので、私たちも背景がわかりやりやすかったです。各チームの状況を察してサポートしていますよね。

 

佐藤伴走チームのサポートをしながら、事務局メンバーもそれぞれ自分の新規事業をやっているのがすごいところです。事務局として伴走しながら、「代打、俺」みたいな。

 

大貫それが大事だと考えています。自分事だから事務局が一番楽しんでいるところもあります。全く楽ではありませんが、楽しんでいます。

 

みんな面白がってやっていますよね。学びに対しても貪欲で、若手も中堅メンバーも経験を全部血肉にして、引き出しを増やそうとストックしていると感じます。

業務量的に大変だと思いますが、事務局メンバーはもっと増やさないのですか。

 

大貫なまじ増やしてもしょうがないとも思っています。メンバーには一定水準以上を求めますし、社内外共にエース級はなかなか引き抜けませんしね。

 

佐藤「エース級取り合いになる問題」ですね。

 

大貫メンバーはすぐには増やせないけど今後のためには減らさないようにしないといけない。その辺りは微妙なせめぎ合いだったりもしますかね。

 

そこのうまい泳ぎ方をわかっているのが大貫さんの強みですよね。

 

大貫新しいことに投資をし続けしないとじり貧になっていきます。ある意味、研究開発のようなものだと考えており、良い企業は不況下においても継続的に研究開発投資を行っています。新規事業も同じで、不況や流行り廃りで止めてしまうとじり貧になる。

 

佐藤それ本当にいろんな会社に聞かせたいですよ。

 

大貫この1年は出島としてやってきましたが、今後は継続のためにも、アドバンス版を作って少しずつでも本土本丸における企業文化にしていきたいですね。

 

このプログラム自体が固定化したらだめですよね。どんどん変わっていかないといけない。

 

大貫休まずに走り続けた1年弱でしたが、みんなぎりぎりまでやるからメンバーや参加者の能力が拡張されていくというのを実感しました。

 

それは僕たちも同じですね。何もないところから突然作るという、僕たち自身もストレッチでした。

 

大貫更なる構想実現に向けて我々はこれからも挑戦していきます。フィラメントさんのサポート、引き続きよろしくお願いします!

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加