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【イベントレポート】わたし達の未来をつくる「アイデアソン・ハッカソン」東京 世の中を変える商品開発【視覚障害を持つ方編】〜前編

【イベントレポート】わたし達の未来をつくる「アイデアソン・ハッカソン」東京 世の中を変える商品開発【視覚障害を持つ方編】〜前編

2019年10月19日(土)と10月27日(日)、Yahoo! JAPANオープンコラボレーションスペース「LODGE」(東京都千代田区)で「わたし達の未来をつくる『アイデアソン・ハッカソン』東京 世の中を変える商品開発【視覚障害を持つ方編】」が開催されました(主催:NPO法人アイ・コラボレーション神戸、共催:NPO法人インクルーシブデザインネットワーク・フィラメント、協力:ペタビット株式会社)。こちらのイベントレポートをお届けします。前編ではイベントに携わる方々の考えや参加者の声を、後編ではイベントの成果を紹介します!(文:小山香織)

 



【目次】

■障害の当事者が参加し製品化を目指す

■当事者とエンジニアが協力する場としてアイデアソン・ハッカソンを企画

■当事者の課題、そしてイベントで得たこと

■参加者が得た多くの発見、情報交換の意義、今後への手応え

■製品実用化へ向けた議論と制作がなされた2日間

■アイデアソン・ハッカソンの詳細は後編へ!

 

障害の当事者が参加し製品化を目指す

わたし達の未来をつくる「アイデアソン・ハッカソン」は、これが3回目の開催です。第1回は2018年8月に【視覚障害を持つ方編】、第2回は2019年8月に【身体障害を持つ方編】が、それぞれ神戸で開催されました。

 

このアイデアソン・ハッカソンのシリーズには大きな特徴が2つあります。

ひとつは、障害を持つ当事者が製品開発に参加する点です。自分が困っていることを発信し、参加者みんなで解決していきます。「障害を持つ方が何もあきらめなくてよい世の中をつくる」ことが本イベントの目的です。

もうひとつの特徴は、この2日間で終わるのではなく、その後も継続して製品化、事業化を目指す点です。実際に第1回では、2018年8月のアイデアソン・ハッカソン実施後も参加者が継続して開発を進め、同年12月には試作品の発表会が、2019年6月には最終報告会が開催されました。企業の技術支援や実証実験の場も得て、着実に歩みを進めています。今回も、3〜4か月後に進捗報告、10か月後に最終報告会が予定されています。

 

 

 

当事者とエンジニアが協力する場としてアイデアソン・ハッカソンを企画

「障害を持つ方が何もあきらめなくてよい世の中をつくる」。この目的の背景には、アイ・コラボレーション神戸の理事長:板垣宏明さんのこれまでの経験に基づく考えがあります。

アイ・コラボレーション神戸の理事長:板垣宏明さん

「『ユニバーサル○○』『障害者向け○○』という製品は、当事者にとっては使いづらいことが多いのです。それは作る側が当事者の声を聞いていないからだと考えられます。当事者には言いたいこと、知ってもらいたいことがたくさんあります。当事者も含めてさまざまな人が集まり、話し合う場を作りたいと思ったのが、このイベントを始めた動機です」と板垣さんが教えてくれました。

その話し合う場がアイデアソン・ハッカソンという形になった理由については、アイ・コラボレーション神戸の理事:北山ともこさん曰く、「当事者がエンジニアや企業に直接、困っていることや希望を伝え、商品開発につなげるには、アイデアソン・ハッカソンが最適です。」とのことです。

アイ・コラボレーション神戸の理事:北山ともこさん

 

第3回を東京で開催した背景には、神戸のアイデアソン・ハッカソンでの成果と本イベントの審査委員長:関根千佳さんの後押しがあります。今後は、2020年には東京でオリンピック・パラリンピックを見据えて、イベント終了後からおよそ10か月かけて成果を形にすることで、2020年の夏に東京から情報を発信していく計画が立てられています。

 

 

当事者の課題、そしてイベントで得たこと

本イベントでは、障害の当事者が日ごろ困っていること、解決したいことを課題として製品開発を目指します。参加した方々はどのような動機で集まり、イベントへの参加を経てどのような手応えを得たのでしょうか?

今回のイベントで検討する課題を提起した当事者の方々にお話をうかがいました。当日のイベントレポートは後編で紹介します!

 

辻さん

「普段自分が困っていることを実現していろいろな人が使えるようにしたいと思い、参加しました。自分の課題について自分なりのプランは持っていたつもりでしたが、話し合っていく中で自分が気づいていなかったことや新たな発見がありました。2日間が終わってスタートラインに立てた実感があります」

 

 

酒谷さん

「自分の困っていることについて解決策を探りたいと思い、参加しました。アイデアソンの後、ハッカソンに向けて画像をクラウドにアップロードしたり、SNSで呼びかけて協力してもらったりすることができて、自分も実際に開発に関われる喜びがありました。今後も継続していきたいです」

 

 

植村さん

「自分が実際に危険な思いをしているので、その課題を解決してみたいと思いました。エンジニアの方々とともに2日間の活動をする中で、既存のセンサーなどでできることがいろいろあるとわかり、今後が楽しみです」

 

 

立川さん

「私は動く光が苦手な眼球使用困難症です。視覚障害は全盲だけではないことをまず知ってほしくて参加しました。さまざまな問題点やアイデアをチームで話し合うことができたと思います」

左:立川さん、右:川口さん

 

川口さん

「このイベントでは、エンジニアの方々と話せたのが良かったです。一般にはコスト的にできるかできないかという話になってしまうことがほとんどですが、今回はテクニカルな意味でできるかできないかを話し合い、知ることができました。これはアイデアソン・ハッカソンならではの意義だと思います。こういう場がもっとあってほしいと思いました」

 

丹藤さん

「自分のニーズ、そして他の当事者の方々のニーズについて意見交換したいと思い、参加しました。自分はもともとSEという観点と当事者の観点の2つを持っているので、発言する機会を得ることでより多くの人の役に立てればと思っています。楽しい2日間で、やりきった感じはあります。自分が持っていたイメージに近いものができました」

 

 

参加者が得た多くの発見、情報交換の意義、今後への手応え

課題を提起した当事者以外の方々にもお話をうかがいました。

 

「ポジティブな意味での難しさはありましたが、解決のための最初の一歩を作ることができたと思います。今後10か月、継続して活動していく熱意を持つことができました」

 

「学生で、プロダクトやサービスのデザインを学んでいます。今回は当事者やほかのエンジニアの方々と一緒にアイデアを考えることができ、いろいろな気づきがありました」

 

「健常者の方がどう考えているか知りたかったし、自分も貢献したいと思いました。このイベントでないと集まらないメンバーと情報交換ができて、ほかにはない貴重な機会でした」(当事者)

 

「参加して認識が変わりました。障害を持っているひとの立場やプロセスを知ることができ、驚きがたくさんありました」

 

「今回参加して知ったことがたくさんありました。例を挙げれば、実は視覚障害者みんなが点字を読めるわけではないとか、iPhoneのVoiceOverや読み上げの優れた点などです。その上で、実現したいイメージを具体化できたと思います」

 

「プログラマとしての普段の仕事とは違う体験ができました。当事者の方から要望などを聞いて世の中はどうかと考える機会になりましたし、自分の経験から話をすることもできました」

 

 

製品実用化へ向けた議論と制作がなされた2日間

イベント1日目にインプットトークとして板垣さんから、今後10か月かけて事業化を目指すことについての説明がありました。

インプットトークの後、アイデアソンを開始する際には、今回のファシリテーター(アイ・コラボレーション神戸メンバー 兼 神戸デジタルラボ役員)の村岡正和さんからは、「思ったこと、したいことを素直にぶちまけましょう。そして真摯に受け止めて議論を進めてください」との声かけがありました。

ファシリテーター(アイ・コラボレーション神戸メンバー 兼 神戸デジタルラボ役員) 村岡正和さん

 

板垣さんや村岡さんのこうしたインプットからも、今回のアイデアソン・ハッカソンの意味や位置づけを読み取ることができます。当事者が製品開発に参加する、当事者とエンジニアが率直に議論を交わす、そして両者が力を合わせて10か月後を見据えた提案の土台を作るというステップが参加者全員のあいだで共有されて、イベントは進んでいきます。

 

 

 

アイデアソン・ハッカソンの詳細は後編へ!

参加者は5チームに分かれ、イベント1日目のアイデアソン、2日目のハッカソンに臨みました。アイデアソン・ハッカソンで各チームが取り組んだ課題と2日間の成果、受賞者・審査員・オブザーバーの方々のコメントなどは、本レポートの後編で紹介します!



後編はコチラ

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