フィラメント公式YouTubeチャンネル『新規事業お悩み相談室』では、実際に新規事業に携わっている方々からお寄せいただいた質問やお悩みに、数々の新規事業の現場を見てきたスペシャリスト村上臣さん、グローバルなスタートアップ投資家として有名なリブライトパートナーズの蛯原健さん、そしてフィラメントCEOの角勝が相談員として回答しています。
本記事では、動画で配信している『新規事業お悩み相談室』を1分で読めるダイジェスト版としてお届けします。
今回いただいた相談は「SDGs製品の販売促進に向けた改善方法とアドバイス」です。
質問者:
商社 Bさん
相談の背景や理由:
現在、本業とは全く異なる製品をSDGs事業として海外から輸入し販売していますが、実績がなく今後の方針に悩んでおります。販売は経営企画が担当しており、ゴミ回収用小型ロボットを取り扱っています。しかし、価格が高価(約300万円)で単機能のため、問い合わせや製品説明・デモはあるものの、購入には至っていません。レンタルもなかなか採用されません。私自身も経営企画は未経験で2名体制(取締役1名と私)です。状況を打破するためのアドバイスをいただけると幸いです。
角:本日のご相談は商社 Bさんから「SDGs製品の販売促進に向けた改善方法とアドバイス」です。非常に具体的な質問をいただいていますね!相談室に来た質問の中で一番生々しいご質問です。まずは蛯原さんからいかがでしょうか?
蛯原:そうですね。特にアメリカやヨーロッパでは、SDGsやESGに対する市場の関心が低下しています。経済状況と相関するんですよね。EV関係、たとえば企業でいうとテスラ社も株価が下がってきています。
つまり、製品が「良いことをする」だけでは売れなくなってきているので、実際に利益・効率・コスト削減といった具体的なメリットを強調する必要があります。SDGsの取り組み自体は続けるべきですが、それが売り上げに直結する時代ではなくなったと考えるべきです。
質問いただいている商品を販売するとして、その300万円を回収するスピードも重要です。支払った費用をいかに早く取り返せるか(元を取れるか)という価値提案を考えるべきです。もし商品自体の価値が不足しているのだとしたら、データ解析などの追加サービスを提供して、全体としてのソリューションとして売り込むということも考えられますね。
村上:SDGsはあたりまえにやらなくちゃいけないというのは事実だと思います。注目したいのは、「なんでこの事業を始めたのかと」というところですね。質問には書かれていないですが、たとえば社長さんが「SDGsに関する事業をやろう」と発言されたとか何かしらの理由があったのだと思います。そうであればなかなか難しい事業ではありますよね。
売りたいのであれば、売る理由ということを考えないといけません。ロボットは基本的に役に立つものですよね。「人がやるよりもロボットがやるほうがコスト削減できて安いです」というものではないとすると、それに見合った価値を考える必要があります。
他には、補助金を探すという手もあります。自治体が提供している補助金を活用するとこの値段で利用できますというアピールの方法もありますね。
角:自治体によっては市長さんや知事さんなどが公約にSDGsやゼロカーボンなどを盛り込んでいる自治体を探して、「補助金制度を作るところから一緒に始めませんか」という働きかけをしてまちぐるみで取り組むというやり方もありますね。
村上:ソリューションじゃないですが、これ単体でロボットとしてのアピールが難しいならばPRパッケージとかCSRといったナラティブのソリューションにするしかないと思うんですよね。地域の教育と絡めるなどして実績を作り、その地域の非上場のオーナー企業に営業をかけにいくとかですかね。
角:取締役の方もこのチームの一員だと書いてあるので、取締役の方がいるからこそトップ営業ができるというところもありそうですね。
村上:事例がないなら自社で事例を作りましょうというのが鉄板です。
角:質問者Bさんは営業の部分で悩んでいらしたと思うんですけど、いくつか戦略をお示しできたかなと思います。商社 Bさん、ぜひ参考にしていただければと思います。
回答のまとめ
1,市場の現状把握:
・現在の経済状況においてESG(環境・社会・ガバナンス)への関心が薄れているため、その課題を認識する
2,実用的な利益:
・製品がもたらす利益、効率化、コスト削減といった実用的なメリットに焦点を当て、顧客にアピール
・データ解析などの追加サービスを提供して、全体としてのソリューションとして提案
3,補助金活用:
・補助金を利用して製品コストを削減し、実質的にゼロ円で提供できるようにすることを検討
今回ご紹介した内容は、以下のリンクから動画で視聴できます。
