フィラメント公式YouTubeチャンネル『新規事業お悩み相談室』では、実際に新規事業に携わっている方々からお寄せいただいた質問やお悩みに、数々の新規事業の現場を見てきたスペシャリスト村上臣さん、グローバルなスタートアップ投資家として有名なリブライトパートナーズの蛯原健さん、そしてフィラメントCEOの角勝が相談員として回答しています。
本記事では、動画で配信している『新規事業お悩み相談室』を1分で読めるダイジェスト版としてお届けします。
今回いただいた相談は「リモートワークの次の一手を模索する新しい価値提供の可能性」です。
質問者:
ITサービス業界 Aさん
相談の背景や理由:
私たちの会社はコロナ禍において新規サービスとしてリモートワークツールを提供し、一定の成長を遂げましたが、現在その「バブル」が落ち着き、新たな一手を模索する時期に入っています。リモートワークには「孤独感」という課題があり、これを解決するために AIメンター・AI同僚・AI先輩といった仮想ビジネスパートナーを提案する市場の可能性を検討しています。ただ、完全にリアルに戻るわけでもなく、単純なハイブリッドでもない、新しい価値提供の方向性が求められると感じています。この次のステージで、どのような価値を創出し、どんな戦略で展開すべきか。ぜひアドバイスをいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
角:本日のご相談は「リモートワークの次の一手を模索する新しい価値提供の可能性」についてです。
最近のご相談の中ではちょっと珍しく、かなり具体的なサービスの内容が書かれていますね。この辺については、『稼ぎ方2.0』でもリモートワークの話にも触れられていたので、まず村上さんにお聞きするのがいいかなと思いますが、どうですか?
村上:『稼ぎ方2.0』では、まさにそのクリエイターエコノミーとかいろんな話をしてますけども、リモートワークについてはどの会社も直面していて、ちょうど某会社がフルリモートに戻ったら〜っていう話題もありますね。これはグローバル的にはもう答えは出ていて、結構前からリモートより出社の方がいいよねって結論になっています。ただ、「フレキシブルな働き方」っていう労働者側のニーズが高いので、人手不足の状況で優秀なタレントを確保するには認めざるを得ないっていう状況なので、ハイブリッドになっています。
角:なるほど。
村上:最初から言われていたことなんですけども、自律的にむちゃむちゃ働けるトップエンド層に関しては、明らかにリモートワークの方が生産性が高いんですよね。トップ営業であるとか天才プログラマーみたいな人たちは、出社にまつわるエトセトラの方が効率を落とすので、もう放っておいてターゲットを与えておけば成果を出してくれる、つまり自律的に動けます。
ただ、そうじゃないジュニアのメンバーや普通の人の場合は、それだけだと完全成果主義になるので、なかなかこの人的にも評価しづらい部分があったりします。チームで助け合ってやるからこそ補完関係がある中で大きなことができる、つまり出社の方が向いているわけですよね。
質問を読んでてすごく違和感があったのが「リモートワークには”孤独感”という課題があり」のところで、この課題設定が本当に正しいのかっていうのが、ちょっとわからなかったです。この部分をもうちょっと深掘れるといいのかなっていうのがアドバイスの1つです。もしこの「孤独感」が本当なんだとすると、多分孤独感ってリモートワークに限らず人間が抱える大きな課題なんですよね。なので、もしこのアイデアを膨らましていくのだとすると、「日常生活において孤独感を感じる局面って働いてる時だけでしたっけ?」という問いかけが出てきます。で、多分違うと思うんですよね。
角:なるほど。
村上:だとすると、その形態として、AI同僚みたいなものが本当に正しいのか?あるいは、もうちょっと広い領域で、夫婦生活とかパートナーとの関係性で効果を感じたりといったいろんな局面があるので、そのターゲットと課題を、本当に現在のままでいくのかというところは改めて問い直してもいいんじゃないかなと思います。で、リモートワークツールを提供してるからこういう話になってるのは重々承知の上なんですけど、その部分についても改めて俯瞰してみたほうがいいんじゃないかなっていうのが僕のアドバイスです。
角:孤独感という課題があったとして、AIメンター・AI同僚・AI先輩という仮想ビジネスパートナーが解決策として最適なのか?どのタイミングで提供されるのが最適なのか?とか、まだまだ分解の余地がありますよね。
村上:多分、ChatGPTとかのおかげでチャット形式が技術的にできることがわかったので、そこに引っ張られてるのかなという気がするんですよ。たとえば、「リモートワークで孤独感を感じる人がなんで孤独感を感じるか」って考えると、要は聞きたい時に聞けないとか、 意外とその能動的なアクションによって結果的に孤独感を感じやすいんだと思うんですよね。そうだとすると、声をかけてもらわないといけないんですよ。自分から声をかけられなかったり質問したいのにできなかったりして孤独感を感じて、それが負のループになっていて、「先輩が隣にいれば聞けるのに…」みたいな話で悶々としてるわけじゃないですか。だとすると、チャットツールは使えないんですよね。チャットって自分でちゃんと言語化して、問いかけを自らしなくちゃ進まないじゃないですか。
角:なるほど。そうですよね。
村上:なんかおせっかいな先輩みたいなのが10分に1回声をかけてくれるというのはありかもしれないですよね。キーボードの手が止まってたら、声をかけてくれて、社内のデータベースをLLMであれしたり、「そういうことならばこういうのをやったらいいんじゃない?この人に聞いたらどうなんじゃない?」とか。なんなら、ミーティングをちょっと設定しとくよみたいなカジュアルチャットをしてくれるアシスタントがいたら、ひょっとしたら解消するかもしれない。 なので、課題感とソリューションのこのマッチングがまだちょっとうまく煮詰まってないなっていうのが率直な印象です。
角:孤独感ってちょっとざっくりしすぎていて、実際には誰かに気にしてもらえていないことが辛いとか、もっと色々あるよねって感じですかね。かなりいいヒントになったんじゃないかなと思います。蛯原さんはいかがでしょう?
蛯原:ピンポイントにズバリ言うと、ハイブリッドコールのツールが私は欲しいです。
角:ハイブリッドコールのツール?
蛯原:先程のおっしゃられていた通りでもう結論は出ていて、グローバル優良企業であればあるほど、基本的にはオフィス会議なんですよ。ただ、ここに労働者の権利やワークライフバランスみたいなところが出てきてるので、全部が全部そうは行かないという状況です。そうすると、出社は週何回みたいなところで落ち着くというのが各社やっていることです。
で、ここで課題になるのは、私は本当に多いんですけど、4人でハイブリッド会議をして1人だけでオンラインで入っているという状況。これが極めて不便なんですよ。その1人だけが存在しないような会議になってしまう。「オンラインの人のこと忘れて!(オンラインの)◯◯さんはどうですか?」って付け足したように聞かれたりして、会議が極めて盛り上がらない。これは結局、オンラインを経由することによるコンマ何秒の遅延です。コロナのときによく聞いたメタバースという言葉もありましたが、要するに実現したい世界観っていうのは、1人だけリモートで参加している人があたかもそこに存在しているように感じられるというものです。もういい加減、ソフトに頼りすぎない世界最先端のハイブリッド会議用のツールを作っていただきたい。と、個人的なニーズを込めてご回答させていただきました。
角:いや〜、すごいリアルなコメントでしたね。
蛯原:ものすごいハイテクとかを駆使しなくても、使い方やマニュアルみたいなものも含めたサービスはできそうな気はちょっとしますね。
角: AIでなにをするかよりも前に、オンラインミーティングを始める時に「みんな画面はオンにして互いの顔がちゃんと見えるようにしようぜ」ってファシリをするAIの方がまだ良さそうですね。
村上: AIファシリテーターですね。オンラインミーティングをするときに、ちゃんとハウリングしないようにしてくれたり、オフラインの人たちが盛り上がりすぎてたらオンライン参加の人に話を振ってくれたり。
角:そっちの方がウケそうな気してきましたね。今ある課題としての切実さはそっちの方がずっと上な気がします。ということで、ITサービス業界のAさん、「AI先輩よりももっと切実でこれ解決してほしいな。その解決にお金を払ってもいいな」って思われている課題、つまりもっと切実で身近でイメージしやすいものも検討してみてください。ぜひ参考にしていただければと思います。
回答のまとめ
1,リモートワークの課題と解決アプローチ:
・ハイブリッドワークの現状と労働者のニーズ
・孤独感の本質的理解の必要性
・オンライン参加者の疎外感解消
2,次世代コミュニケーションツールの可能性:
・AIファシリテーターによる会議品質改善
・ハイブリッド会議における参加者平等性の追求
・テクノロジーよりも使い方の改善に注目
今回ご紹介した内容は、以下のリンクから動画で視聴できます。
