フィラメント公式YouTubeチャンネルでは毎週水曜日に『新規事業お悩み相談室』を配信しています。この番組では、実際に新規事業に携わっている方々からお寄せいただいた質問やお悩みに、数々の新規事業の現場を見てきたスペシャリスト村上臣さん、グローバルなスタートアップ投資家として有名なリブライトパートナーズの蛯原健さん、そしてフィラメントCEOの角勝が相談員として回答しています。
本記事では、動画で配信している『新規事業お悩み相談室』を1分で読めるダイジェスト版としてお届けします。
今回いただいた相談は「事務局は新規事業のマネジメントをするときはどこを見るべきか」です。
質問者：
情報通信業界・Dさん
相談の背景や理由：
新規事業の事務局に所属しています。立ち位置としては複数の新規事業チームをマネジメントする側なのですが、どのようにマネジメントするかは手探り状態です。チームの困り事などの相談には対応できるのですが、この部分ができているできていないなど、パフォーマンスを評価・判断するとなると難しいと思うことしきりです。新規事業の各段階で見るべきポイントやチェックリストなどがありましたら教えてください。
角：本日の情報通信業界Dさんから、「事務局は新規事業のマネジメントをするときはどこを見るべきか」というご相談です。蛯原さん、村上さん、どちらからご回答いただきましょうか？
蛯原：じゃあ、我々も投資ポートフォリオ先の複数の管理をしておりますので私からいきます。
相談を拝見すると、複数やっておられてちゃんと管理していきたいとのことなので、組織としては結構新規事業になれてらっしゃるのかなと思います。で、新規事業とおっしゃるくらいなのでおそらくかなりアーリーステージだとは思います。
まず、そもそもの「管理とかマネジメント」というものと「応援する」というものは、グラデーションではありますが、ちょっと違うことで、ご相談としては、主に「管理とかマネジメント」の方をされたいのかなとお見受けしています。ステージによって大きく３つほどあるのかなと思っていて、１つ目は当たり前ですけど「特に拡大期に近ければ近いほど、月次なり週次なりのKPI管理」です。それ自体は簡単ですが、重要な点は当たり前ですけど、KPI自体の設定です。本質との表裏一体なんですよね。だんだん成功していくほど淡々とやりがちになるんですけど、そうじゃなくて、本当に突き詰めるべきポイントはどこかというのを常に経営会議や役員会で議論しながら、場合によってはKPIを変えていくことが大事かなと思います。
２つ目は「現場や組織の状態管理」です。よくメーカーさんでも「やっぱり現地現場が重要」というのはよくありますけど、リモート全盛の昨今ではありながらもオフィスに行ってちゃんと見ることが重要ということです。メンバーが元気がなさそうだったりとか仲が悪そうだったりすれば、そこは突っ込んであげなきゃダメですね。現場の組織をちゃんと見るというのは、隈なく見ることも現場をウロウロすることも含めて、新規事業に限らない組織マネジメントの基本です。
最後の３つ目は「成功の兆しをちゃんと拾ってあげる」ことです。当事者はセンスがよかったら気付く場合もあるし、経験が浅かったら気付かない場合もあります。たとえば、一案件についての報告として上がってきた「こんな案件が決まりました」というものに対して「いや、これは一案件というよりも、ここから結構いけるんじゃない」と気付いてあげる。つまり、想定していなかったところに売れた一案件を気まぐれとして見なして終わらせるのではなく、ここに成功の余地が眠っているかもしれないと指摘してあげる。こうやって成功の形を拾ってあげるっていうことですね。
角：素晴らしいですね。ちゃんと当事者たちを見てあげるっていうところがすごく大事なんでしょうね。
蛯原：そうですね。多分これって当たり前に社長の仕事ですし、もっと言うと、あらゆるビジネスパートの管理職の仕事なんです。ただ、大企業の新規事業担当の方ってご存知ない方もいると思うので、こういう部分は手伝ってあげることが大事かと思います。
角：ありがとうございます。村上さんはいかがでしょうか？
村上：いやもう、蛯原さんのおっしゃる通りです。なので僕はちょっと別の観点でお話したいと思います。結局、会社内の組織なので、スポンサーである上層部や役員がいますよね。で、事務局は上層部の人たちから新規事業部署への疑問に答えたりする役割も結構あるし、それ以前の準備としてプロアクティブに新規事業部署が何をしているかの情報をちゃんと上げておいたりします。要は、「今こういう感じになってますよ。そんな心配しなくても大丈夫ですよ」っていうのを先回りして上層部に報告しておくのも事務局の大きな役割だと思うんですよね。そうじゃないと、「あいつら何やってんだ。報告もないし、うまくいってないんじゃないか」という粗探しモードになってしまって辛いと思うんですよ。なので、事務局のやるべきは、スポンサーである上層部の期待値と危機感の把握を常に冷静な目で見ておくことです。そして、しっかり上層部と事務局のあいだに信頼感を醸成しておくことが、事務局の１番大きな役割です。
角：蛯原さんのコメントのあとにこれ以上コメントがあるかなと思ったけど、さらに良いアドバイスが追加されましたね。
事務局の役割ってコミュニケーションをしっかりしていくことなのかなと思います。新規事業のチームって１つのことにグッとフォーカスをしていくもので、それが仕事なんですけど、それをやっていくと部署外とのコミュニケーションが疎かになってしまうことが多々あると思うんですよね。そういったときに、事務局がコミュニケーションを通じて、色々気付かせたり、勇気付けたりしてあげる。あるいは、部署外や上層部の人たちとの信頼関係がちゃんと紡がれるようにサポートする。そういうのが事務局の役割なのかなと思います。ということで、情報通信業界Dさん、参考にしていただければと思います。
回答のまとめ
1,新規事業マネジメントにおける事務局の重要な監視ポイント:
・KPI管理と本質的な指標の継続的見直し
・現場や組織の状態の直接的な観察と把握
・成功の兆しの発見と適切な評価
・上層部の期待値と危機感の把握
2,効果的なコミュニケーション戦略:
・上層部への先回りした情報提供
・新規事業部署と経営層間の信頼関係構築
・部署外とのコミュニケーション支援
・期待値と現実のギャップ調整
今回ご紹介した内容は、以下のリンクから動画で視聴できます。
本記事では要約をお伝えしましたが、テキスト化できなかった部分もありますので、回答のフルバージョンをぜひ動画でご覧ください。
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