フィラメント公式YouTubeチャンネルでは毎週水曜日に『新規事業お悩み相談室』を配信しています。この番組では、実際に新規事業に携わっている方々からお寄せいただいた質問やお悩みに、数々の新規事業の現場を見てきたスペシャリスト村上臣さん、グローバルなスタートアップ投資家として有名なリブライトパートナーズの蛯原健さん、そしてフィラメントCEOの角勝が相談員として回答しています。

本記事では、動画で配信している『新規事業お悩み相談室』を1分で読めるダイジェスト版としてお届けします。

今回いただいた相談は「社内ビジネスコンテストの応募件数増加に向けた戦略相談」です。

質問者:
食品メーカー・Aさん

相談の背景や理由:
今年度から社内ビジネスコンテストの企画と運営を担当することになりました。このコンテストは4年目ですが、応募件数が年々減少しており、今年もさらに少ない応募が予想されます。減少の理由として、社員の関心の低下や業務の忙しさが考えられます。
私自身は事業推進部署に所属しており、新規事業やビジネスコンテストへの参加経験はありません。それでも担当者として、今年の応募件数を増やしたいと考えています。効果的なプロモーション方法やインセンティブの設定について、アドバイスをいただけると助かります。

角:本日はフィラメントの取締役COO田中悠さんに参加いただいてスタートしていきたいと思います。

田中:フィラメントCOO田中です。 AmazonやGoogleに15年ぐらい勤めたあと、フィラメントで取締役をさせていただいております。本日はよろしくお願いします。

角:ではさっそく本日のご相談です。社内ビジネスコンテストの応募件数増加に向けた戦略相談ということですが、まずは村上さんからお伺いしてみましょうか。

村上:あるあるですよね。だんだん初期の盛り上がりが減っていくというか、1回目が1番盛り上がるといいますか(笑)。今回相談を送ってくれたAさんは参加経験がないとおっしゃっているんですが、そうなるとわかってるんじゃないですかね。「なんで自分は過去3回社内ビジコンに参加しなかったんだろう」と自問自答してみるとそこに答えがある気がしますよね。忙しさとか関心の低下があると思うんですけども、本当の根本的な原因ってなんだろうという部分を考えた方がいいと思うんですよ。

「別にやっても何もなかったよね」なんじゃないかと思うんです。これ、企業でよくあるんですよ。新規事業提案した案件のアウトプットがない、提案しても何も起こらないならやっても無駄じゃんって思われちゃうっていうことです。もしそうなんだとすれば、これを払拭するのは結構大変です。払拭のためには、トップレベルあるいは役員レベルのコミットメント、かつトップダウンとボトムアップで両方とも盛り上げないといけないので結構頑張らなくちゃいけないです。 ただ、この根っこの問題がどこなのかっていうのはご自身の過去の振り返りも含めて一度されてみるのがいいんじゃないかなと思います。

角:ありますね。最初は全社的な取り組みだと思ってたけど、気が付いたら人材開発部門のアリバイ的なやつじゃないかみたいな……。僕も前職時代に新規事業提案みたいなやつに応募したんですけど、途中から「人材開発部門の方々が何かやってる感を出したいだけの取り組みに自分が利用されてるんだな」みたいな気持ちになって、そうなると途端にやる気が無くなる。そういったことを僕も経験しました。田中さんはいかがでしょうか?

田中: 相談者の方は理由として「社員の関心の低下、業務の忙しさ」と書いてくれていますが、業務の忙しさが年々忙しくなっているんだったら、そもそも新規事業やってる場合じゃないのかもしれないな思って見ていました。一方で、アイデアある人しか応募しないからやればやるほど基本的には応募者は減ると思うんですよね。1年前に出したアイデアは翌年は多分出さないと思うので、そうすると何か新しいこと思いついてない限りはその人は応募してくれない。なので、「新しいことやりたい」とか「アイデアを持っている」っていう人を年間を通じて増やしていかないと盛り上がらないんじゃないかというのがあると思います。

相談者さんは今年から担当になられて「応募件数を増やしたい」とのことですが、そもそも何のために応募件数増やしたいのか?何のためにビジネスアイデアコンテストをやってるのか?っていうところを改めて振り返っていただくのが良いかもしれませんね。事業を創りたいのか、文化や人材を創りたいのかという部分を明確にすることが重要だと思います。

角:なるほど。そもそも目的は何なのかってことですね。多くの会社は「事業を創る」「人材を創る」といった複数の目標がちょっとずつブレンドされていて優先順位が違ったりするんですよね。なので、その辺りは実際どうなのかといった部分について、社長あるいは経営陣の方々としっかり会話をして、理解をした上で進めるっていうのがすごく大事だなと思います。

フィラメントでサポートさせていただくケースの中では、社長にしっかりとヒアリングさせていただく機会をとって、どういう目的かといった部分を確認した上で、それに合わせた設計をすることが多いです。そうしていくことで社長に「自分はプロジェクトに参加しているプロジェクトオーナーだ」と思っていただけて、どこかの部署がやっているみたいな雰囲気から逃れることもできるようになります。
村上さん、過去のご経験から成功しやすいパターンやポイントってあるでしょうか?

村上:実際に事業化までいかなくてもプロジェクトが1年間くらいは継続できて、結果、半年とか1年でチェックポイントを設けて、「いい学びだったね」で終わりにしようっていうのはあると思います。

あと、ちゃんと事業検討を続けるプロセスをあらかじめ上層部と合意しておくことですよね。3ヶ月なり半年なり継続検討して、その間に事業の可能性を証明できたらそのまま新規事業になるかもねみたいな。そうすると、本気でやりたい人たちから「このビジコンで優勝して新規事業を立ち上げるんだ」みたいな雰囲気が生まれるんですよね。

角:素晴らしいですね。提案した人が最初から最後まで自分1人で全部やらなくちゃいけないとなると大変なので、
会社のみんなでサポートしてるんだみたいな体制があると、すごくやりやすい気持ちになってくるんじゃないかなと思いましたね。せっかく応募した人が「なんか損したな」って思わないようにするっていうのが大切かもしれませんね。ということで、質問者:食品メーカーAさん、ご参考にしていただければと思います。 

回答のまとめ
1,社内ビジネスコンテストの応募件数減少の原因:
・過去の応募者の経験から、提案しても何も起こらないと感じている可能性がある
・アイデアを持っている人や新しいことをやりたい人が年々減少している
・コンテストの目的(事業創出なのか人材育成なのか)が明確でない

2,応募件数増加に向けた戦略:
・トップレベルや役員レベルのコミットメントを得て、トップダウンとボトムアップの両方で盛り上げる
・コンテストの目的を明確にし、社長や経営陣と共有する
・提案した案件の継続的な検討プロセスを設け、事業化の可能性を示す
・提案者が1人で全てを担うのではなく、会社全体でサポートする体制を整える

今回ご紹介した内容は、以下のリンクから動画で視聴できます。

本記事では要約をお伝えしましたが、テキスト化できなかった部分もありますので、回答のフルバージョンをぜひ動画でご覧ください。

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