フィラメント公式YouTubeチャンネル『新規事業お悩み相談室』では、実際に新規事業に携わっている方々からお寄せいただいた質問やお悩みに、数々の新規事業の現場を見てきたスペシャリスト村上臣さん、グローバルなスタートアップ投資家として有名なリブライトパートナーズの蛯原健さん、そしてフィラメントCEOの角勝が相談員として回答しています。
本記事では、動画で配信している『新規事業お悩み相談室』を1分で読めるダイジェスト版としてお届けします。
今回いただいた相談は「新規事業チームに異動してきた若手社員のモチベーション管理について」です。
質問者:
半導体業界 Cさん
相談の背景や理由:
昨年から部門責任者として新規事業部門を立ち上げ、既存事業部門から意欲的な若手社員を3名異動させました。最初は高いモチベーションで取り組んでいたのですが、1年以上経過した現在、なかなか目に見える成果が出ないことへのフラストレーションや、元の部署の同期と比べてキャリアパスが不透明なことへの不安が出始めています。新規事業は3-5年のスパンで考えていますが、若手社員たちのモチベーションを維持しながら、どのように育成していけばよいでしょうか。
角:本日の相談員は村上さん、田中さん、そして角でお送りいたします。今回のご相談は半導体業界Cさんから、「新規事業チームに異動してきた若手社員のモチベーション管理について」についてです。
新規事業の場合、明確に決まっていないことに対してどうしたらいいのみたいな不安とか色々あると思います。そんな中でモチベーションがダウンしがちということのようですが、これはなんとなく村上さんが書かれた『転職2.0』の内容に通ずるところもあるような気がするので、まずは村上さんからいかがでしょうか?
村上:部門を率いるリーダーとしては、「メンバーのモチベーション管理」というのはよくある悩みだと思うんですね。身も蓋もないことを言うと、モチベーションは管理できません。なぜならば、モチベーションというのは自ずから湧き上がってくるものだからです。ただ、見ているだけでなにもできないわけではなくて、そのモチベーションを湧き上がらせるための手助けはたくさんできます。まず1つは、ビジョンを掲げるってことですね。要は「我々はこういうことをやっている。このチームはこれを達成する。この先にはこういう未来があるんだ」ということがちゃんと示せているか否かってことです。で、こういった部分を若手のアイデアに全部お任せねってなっちゃうと、それはマネージャーではあるけどリーダーではないんですよ。管理はしているけども、そのチームを率いてないですよね。なので、相談者Cさんが行うべきは、ビジョンを持ってチームを率いることです。
ビジョンがある上で、モチベーションが低下しちゃうとなると、定期的なメンバーの入れ替えも含めて、ビジョンに共感している人をちゃんと捕まえてくるっていうことをしなくちゃいけないんだと思います。
角:なるほど。
村上:こちらの新規事業部門って多分新しく立ち上げたと思うんですよ。であれば、キャリアパスの話はまさにこのチームの成功にかかっています。なので、非常に責任重大なんですよね。結果が大切ですので、どんな小さいことでもいいから、ここから今までなかったものが生み出せたよねっていうものが出てくれば、基本的にはこの部門が会社の中で花形部署になるわけですよ。この部署を経由して幹部になった人とかが輩出されるようになれば「あの部署に行くと出世するぞ」となって、キャリアパスとして明確になるわけです。
ただ、これがうまくいかなくて取り潰しになるとこの夢は潰えることになります。なので、今いるこのチームは会社の中で非常に重要な責任になっているということを再認識されるのがいいかなと思います。もう1つ、マネージャー+リーダーに言えることは、各メンバーの役割分担についてです。今どうやって新規事業やられてるのかわからないんですけども、よくあるのが、責任範囲が曖昧なチームで個人のモチベーションが上がりにくいというものです。チームで頑張ったときに、やっぱり人は個人として褒められたいっていう願望がありますから、「このアイデアは◯◯さんのから生まれたものだよね」と周りから見てもチームとしても明確になっているかというのは非常に重要です。そういった部分が綺麗に分かるような役割分担になっているかっていうのも、本人がモチベーション保てるかに影響してきます。書いてない部分が多いので推測ですが、そういう問題もひょっとしたらあるんじゃないかなと思います。なので、マネージャーとして、そしてリーダーとして、このあたりを気にしていただけると、より良いチームになるんじゃないかなと推察しました。
角:なるほど。まず、「チームとしてのビジョンってありますか?」があって、「そのために頑張るっていうことに対してやりがいが感じられますか?」っていうことがあると。それから、ちゃんと個人を見て、その人がどんな成果を出してるかをちゃんと理解していることを本人にも声掛けしていますかという感じですかね。
村上:そうですね。特に後者に関しては「期待値の明確化」ということですよね。「会社としてあなたには今季これを期待してます」ということですが、高すぎる目標だとそれはそれでモチベーションが下がっちゃうので、ギリギリ届くか届かないぐらいのイイ感じのゴール設定が重要です。それとビジョンを結び付けた上で、「あなたには今期ここを期待しています。それをこちらも全力でサポートするから一緒に頑張りましょう」という形で達成を繰り返していけば、やっぱり本人としては満足するじゃないですか。
リーダーとしては、それと会社の期待値調整っていう、また別の難関が待ってるんですけども。でもそれを会社(経営層)から見たときに、「小さい話だな」と思われるとある日部門全体をとり潰されるっていうリスクがあるんですけども、そこを上手くやっていくのが部門長であるCさんの役割かなと思います。
角:Cさんは色々やることが多くて大変だと思うけど、チームの若手の人たちがやっていることを見てあげて、「君がやったこと、すごい良かったよ」と個別にちゃんと声かけもして、モチベーションを高めるというか下がらないような方向性のコミュニケーションも大事だよって感じですかね。続いて田中さんはいかがでしょうか?
田中:村上さんが、リーダーとマネジメントの両側面からお話してくれましたが、Cさんの相談内容を見ると、「部門責任者として若手の社員を異動させました」と書かれているので、結構、部門長に人事権があって、この若手の人たちはもちろん同意しているにしても、自分で挙手してやってきたという感じではないのかなと思いました。だとするとですね、この異動されてきた3名の若手の方が、新規事業部門で3〜5年の経験を積んだ後のキャリアパスが見えなくなるっていうのは、たしかにその通りだろうなと思います。
特に半導体系の業界なので、1年で何個もチャレンジしてみるというよりは、もう少し設備が必要で比較的期間を要する新規事業が多くなるんじゃないでしょうか。だとすると、3〜5年かけて成功するものが1個あるかどうかとなれば成功確率は正直高くないんじゃないかなと思うんですよね。そうした場合に、新規事業部門の責任者としてCさんが若手に対してやらなきゃいけないことは、新規事業が仮にうまくいかなくてもその後のキャリアパスに良い影響があるということをきちんと説明をしてあげること、そしてちゃんとそれが実現できるように準備だったり手当てだったりをしてあげることです。
もう少し具体的に言うと、新規事業経験を積んだ人が既存の事業部門に戻ったとき、どんな形で貢献できるのか、チームの中でどう価値を発揮できるのかを、事業部門のリーダーや上司、役員の方々としっかり話し合い、明確にしておく必要があります。そして、本人に合った仕事をきちんとアサインすることも重要です。これを考えずに進めてしまうと、若手の人たちは「もし新規事業がうまくいかなかったら、元の部門に戻っても自分の居場所がないんじゃないか」「この3〜5年が無駄になるんじゃないか」と不安が大きくなっていきます。ここを一刻も早く明確にしてあげて、かつちゃんとそれが伝わるようにしてあげることが最も重要なんじゃないかなと思いました。
角:言われてみたら確かにそうですよね。今回の相談では、「元の部署の同期と比べて」というワードも出てきました。実際、新規事業に携わる若手の方々は「せっかく半導体の会社に入ったのに、同期たちが会社の中で着実にキャリアを積んでいる一方で、自分たちは既存事業について何も学べず、時間だけが過ぎてしまうのでは」という不安を感じやすい状況ですよね。このままだと、会社の中で自分たちだけ置いていかれてしまうのではないか、という焦りや不安をどう払拭するかが非常に重要なポイントだと感じます。
だからこそ、Cさんは、新規事業の内容が既存事業とどう繋がっているか、また先ほど村上さんがお話されていた自分たちの仕事が会社のビジョンとどう関係しているかといった部分をしっかり説明し続けることが大切になってきますね。丁寧な説明を通じて、今やっていることが無駄ではなく、将来的に必ず会社の中で役立つ経験やスキルになることを伝える必要があります。同時に、経営陣に対しても新規事業の意義や成果を説明し続ける必要があるなど、やるべきことは多いかもしれませんが、こうした取り組みはきっと担当者自身の成長にも繋がるはずです。大変だと思いますが、ぜひご参考にしていただければと思います。
回答のまとめ
1,若手社員のモチベーション管理の基本ポイント:
・モチベーションは「管理」よりもビジョン共有と環境づくりで支援する
・チームの目的や将来像(ビジョン)を明確に掲げ、共感を促す
・個人の役割や期待値を具体的に伝え、成果をしっかり個別に認める
・ギリギリ達成できる目標を設定し、本人の成長実感につなげる
2,キャリアパスの明確化と安心感の提供:
・新規事業経験が会社内キャリアの中でどのように活きるかを具体的に示す
・元の部門への復帰後、どんな活躍や価値発揮ができるかを丁寧に説明
・同期との比較で不安になりがちな点は、「将来性」や「会社全体の成長に寄与する力」で補強
・部門責任者が経営層・他部門と連携し、若手のキャリア形成へ積極的に関与する
今回ご紹介した内容は、以下のリンクから動画で視聴できます。
