会社から新規事業をやって欲しいと言われたけど、「まずなにから始めたらいいかわからない」「具体的にどうやって動いたらいいのかイメージができない」、そんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

今回は、私たちフィラメントが某グローバル情報機器メーカーの新規事業創出プログラム支援において、プログラム参加者のみなさんにお伝えした“新規事業創出の「考え方」と「進め方」”についてご紹介したいと思います。

リーンスタートアップとは

Lean startup(リーンスタートアップ)とは、小規模にスタートし、市場から学びを蓄積してスケールさせていくという事業開発コンセプトです。大企業でもスタートアップでも、ほぼ100%この「リーンスタートアップ」の考え方に基いて新規事業創出が行われています。

昔は「規模の経済」を活かした商品開発が主流でしたが、それはあくまでもマーケットが一体的で、変化のスピードも遅かったためにできていたことです。

今は、

・情報の揮発速度の高速化

・ユーザーの嗜好や行動の細分化

・ビジネスモデルとプレイヤーの多様化

といった要因が重なり合い「VUCAの時代」と呼ばれるほど、先が見通せない時代になっています。

そのため、大規模なビジネス計画を立てて、一気にそれを進めていくことなどは基本的にできません。例えば、みなさんご存じのGoogleのような巨大企業でさえそれは難しいため、基本的には“小さく成功しつつある”スタートアップを買収して、新規事業領域に参入していくという戦略をとっているのです。

そこで生まれた事業開発の進め方が「リーンスタートアップ」です。「リーンスタートアップ」は、基本的には小さな仮説を検証し続け、その仮説の積み上げによって確かな事業をつくっていこうとするものです。

仮説からスタート

某グローバル情報機器メーカーのインキュベーションプログラムにおいては、まずはじめに以下の3つの問いに対する答えを考えてもらうところからスタートしました。これが仮説です。

①市場・ユーザーは誰か?

②解決するニーズ・ペインは何か?

③自分たちが提供しようとしている価値(サービスや商品)は何か?


わかりやすい例として「Amazon」が最初に立てたであろう仮説を推測し、①~③にそれぞれ当てはめてみます。

①市場・ユーザーは誰か?
都市部に住んでいない大多数のアメリカ国民で、インターネットフレンドリーな学びの意欲が高い人

②解決するニーズ・ペインは何か?
・本を自由に選んで買うことができない
・本に触れる機会すら無い
・学ぶ機会がない

③自分たちが提供しようとしている価値(サービスや商品)は何か?
インターネット黎明期でオンライン事業のオポチュニティが豊富だった

その後、Amazonは本をキッカケにして、CDや家電、ありとあらゆる製品につなげていったことはみなさんご存じの通りです。

新規事業創出を進めていく上で、①~③の仮説のうち、特に最初に解像度を上げる必要があるのが、①市場・ユーザー②解決するニーズ・ペインの2つです。この2つさえ決まれば、自分が立てた仮説が正しいかどうかの検証ができるからです。

ではその仮説はどのように検証していけばよいのでしょうか?

ユーザーインタビュー

仮説の検証方法は「ユーザーインタビュー」です。
その際、気をつけてほしいのは「ユーザーの嗜好や行動は細分化」しているということ。

ユーザー像(ユーザーの行動イメージ)は細かく設定する必要があります。例えば、「20~30代の女性」というユーザー像では粗すぎて具体的に行動イメージが見えません。その人物の行動が具体的にイメージできるレベルまで明確化することが必要です。

犬を二匹飼っていて、地方都市に持ち家で住んでいる60代の単身者」ぐらいの粒度であれば日常の行動が具体的にイメージしやすく「解決するニーズ・ペイン」が一気に想像しやすくなります。実際に条件に当てはまるユーザーを探してインタビューしてみることも可能でしょう。

インタビューの現場では、

普段の生活や行動

その中で困っていること

自分たちが提供しようとしている価値(サービスや商品)が役に立つか

といった内容を確認します。

そうしたインタビューの中で、市場のニーズをリアルに確認し、市場についての知識(自分たちしか知らない学び)を積み重ねていくことが競争優位性になっていきます。

新規事業に取り組む3つのポイント

最後にフィラメントから、これから新規事業に取り組もうとしているみなさんに意識してもらいたい3つのポイントをお伝えします。

ポイント1:仮説をつくる
こういう人たちにはこういうサービス・商品が求められているのではないか?をできるだけ具体的につくれるようになってほしい

ポイント2:行動する
仮説が正しいのかどうか、実際に市場にアプローチして検証する行動を通じて、リアルな学びを蓄積してほしい

ポイント3:リアリティのあるビジネスプラン
どこかで聞きかじったような話ではなく、自分しか知らない学びに立脚したリアリティのあるビジネスプランを組み上げてほしい


フィラメントでは新規事業創出とそのプロセスを通じた人材開発や組織開発などを幅広くサポートしています。ご興味のある企業や個人の方からのお問い合わせをお待ちしています!

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