あるとき、クライアント企業の方から、「フィラメントさんでやられているのは、一般的なメンタリングとは違うものではないでしょうか?」というご指摘をいただきました。

この問いは、フィラメントにとって非常に重要な気づきとなりました。

フィラメントのメンタリングが従来のビジネスメンタリングとどう異なるか、そしてその独自のアプローチがなぜ効果的なのかを改めて考えるきっかけとなったからです。

フィラメントではそれらのメンタリングアプローチを新たに「共創メンタリング」と定義しました。今回は、フィラメントが提供する共創メンタリングの本質と、それがクライアント企業や個人にどのような価値をもたらすのかを掘り下げていきたいと思います。

「共創メンタリング」とは

共創メンタリング」とは、新規事業チームに不足している要素をメンターがカバーしながら、メンバーの成長と新規事業創出を同時に達成するフィラメント独自のメンタリングメソッドです。一般的なメンタリングとは異なり、①仮説の構築、②行動への誘導、③学びの獲得 という一連の流れを実践・習慣化することを主眼に置いてチームの活動をサポートします。

そして、共創メンタリングをリードする新規事業チームの伴走支援者を「共創メンター」と呼びます。共創メンターは、新規事業の知見を提供するだけでなく、相手に寄り添いその立場や気持ちを理解したうえで、自発性・主体性を高め、自ら行動して学べるように支援します。

一般的なメンタリングとの違い

一般的なメンタリングは、メンターが「壁打ち相手」として、メンティーのアイデアやビジネスプランに対してフィードバックを提供するイメージが強いと思います。このパターンの場合、必然的に相手に合わせた受動的なメンタリングになります。

これはメンティーが自ら積極的に学ぶ「能動性」と、自ら成長する意欲と能力「主体性」を有していることが暗黙の前提条件になっています。しかし、多くの日本企業においては「個人の主体性よりも労働力としての規格化を優先する」システムが「規律」として組み込まれています。このような環境では、メンタリングは本来、豊かな主体性を持つ起業家向けに機能するものとして設計されており、日本企業の社員にとっては機能しづらい側面があります。

フィラメントのメンタリングアプローチ

フィラメントは、一般的なメンタリングが日本企業の社員にとって機能しづらい可能性があるというインサイトから、メンタリングを全く新しい定義と視点から再解釈し、それを社員をアクティベート(起動)するためのアクティビティとして運用しています。

フィラメントのメンターは、メンティーの考えを深く掘り下げ整理し、積極的に具体的なアイデアまで一緒に出していきます。この過程でも、メンターはメンティーが考えぬいた結果となるようにしてその自信を育み、さらなる主体性を促進します。

つまり、外見はメンタリングに似ていますが、その実態は一般的なメンタリングとは根本的に異なります。その目的も内容も、全く別のものなのです。そして、フィラメントのメンタリングには二つの主要な側面があります。一つは「新規事業をつくる活動」としてのメンタリング、もう一つは「人を育てる活動」としてのメンタリングです。

「新規事業をつくる活動」としてのメンタリング

一般的なメンタリングは、客観的な立場・視点からメンティーやそのチームが今取り組むべきことを示唆します。

  • 今やるべきことと、やるべきではないことの選別
  • 専門知識を活用した質問への回答
  • 適切なKPIの提案
  • 類似事例や先行事例に基づく示唆

上記内容が中心となり、すでにある程度ビジネスプランの方向性が固まった状態からメンタリングをスタートします。

フィラメントの伴走メンタリングでは、一般的なメンタリングの要素に加え、さらに以下の内容を独自メニューとして提供しています。

・徹底的に伴走
ビジネスアイデアを出すところから、一緒に悩み考える

・シミュレーション
ビジネスアイデアを出す際に、様々な業界の実情に照らして「どこにもっていけばそのアイデアが生きるか」という観点でシミュレーションを行う(そのために業界横断的な知見が必要

・適材紹介
想定顧客インタビューの対象者を紹介する(インタビューのやり方も伝える)

・「社会的価値」の言語化
ビジネスモデルの構築を具体的に手伝うだけでなく、そのビジネスが社会にどんな貢献をするものかという「社会的価値」の言語化も行い、チームの方向性をまとめる

・組織内ポジショニング
組織にとって本質的に異物である新規事業が、組織内で受容されるためのサポートも行う

「人材を育てる活動」としてのメンタリング

フィラメント独自のメンタリングメソッド「共創メンタリング」は、新規事業創出の実践を通じて、主体的行動力と論理的思考力を育てます。一般的なメンタリングとは異なり、「①適切な仮説の構築、②行動への誘導、③行動からの学びの獲得」という一連の流れを、高精度で習慣化することを念頭に置いて新規事業チームの活動をサポートします。

フィラメントのメンタリングの意義

フィラメントは、新規事業創出および新規事業を生み出せる人材の育成を通じて、多くの企業の変革に貢献してきました。そして、フィラメントの「共創メンタリング」は、従来のメンタリングの枠を超え、メンティーの主体的行動力と論理的思考力を引き出すことに重点を置いています。この独自のアプローチは、JTC(伝統的な日本企業)の固定化された文化に対する新たな打開策を提供し、社員一人ひとりが新規事業創出に積極的に関与する土壌を育てています。その見た目は従来のメンタリングと似ているかもしれませんが、その中身と目的は根本的に異なります。

フィラメントのメンタリングに対する深い理解と高い解像度は、あるクライアントからの一見シンプルに見えるご指摘から始まりました。しかし、この問いは決して表面的なものではなく、フィラメントが新規事業分野においていかに革新的であり、独自のアプローチを展開しているかを明らかにしました。これらの気づきは、フィラメントが今後もより多くのお客様に高品質なサービスを提供し続けるための重要な第一歩であると確信しています。