フィラメント公式YouTubeチャンネル『新規事業お悩み相談室』では、実際に新規事業に携わっている方々からお寄せいただいた質問やお悩みに、数々の新規事業の現場を見てきたスペシャリスト村上臣さん、グローバルなスタートアップ投資家として有名なリブライトパートナーズの蛯原健さん、そしてフィラメントCEOの角勝が相談員として回答しています。
本記事では、動画で配信している『新規事業お悩み相談室』を1分で読めるダイジェスト版としてお届けします。
今回いただいた相談は「産学連携における独自のパートナー探しの悩み」です。
質問者:
情報工学系大学研究者 Cさん
相談の背景や理由:
大学で情報工学系の研究者をやっています。自分たちの研究をできるだけ社会実装するために企業と共同研究をしています。我々の研究室では成果をできるだけ早く製品やサービスに落とし込めるようにしていますが、企業側は大学とやっているという看板が欲しいだけに見えることがあります。これまでは大学のコンソーシアムや国の仕組みを使って企業を見つけてきましたが、今後は自分たち独自で効果的なパートナーを見つけたいです。どのような手段が考えられるでしょうか?学会発表は国内・国外ともに参加しています。
角:本日のご質問は情報工学系大学研究者のCさんからいただいています。産学連携における独自のパートナー探しの悩みということですね。まずは、蛯原さんいかがでしょうか?
蛯原:研究者の方からのご質問は珍しいですね。我々もそこまでリーチしたということですね。
こちらのお悩みなんですが、意外と私もよくわかるお悩みです。最近、大学発のスタートアップが活発化してきています。質問者のCさんもご存知かもしれませんが、公的な支援制度って意外といっぱいあるんですよ。その中で、お悩みに近いアジェンダが設定されている支援制度もあって、「どうやってステークホルダーを探したらいいですか」というときのためのマッチングイベントとか、スタートアップがどうやって正しくIPをコントロールすべきかといったものがあります。こういったものを検索してみてアプライしてみるのは良いと思います。
もう1つは、やっぱりこれってVCの仕事なんですよね。日本においてもディープテックとかスタートアップ、ベンチャーキャピタルが出始めていて、もう主要大学は1つや2つベンチャーキャピタルがありますみたいな状況にもなっています。好き嫌いもあるかもしれないですが、そういう人たちと話をして悩みを相談してみる。それに対して橋渡しをしたり、適切な企業パートナーを探してきたり交渉したり、提携後に絡め取られないようにスタートアップ側に立つってのはVCの一般的な仕事の1つです。なので、そういう適切なVCパートナーを探すっていうのが本当はオススメではあります。
角:なるほど。さすがの回答でしたね。
僕は大阪市役所に勤めていた時に産官連携推進担当という部署に所属していたことがあります。その立場からすると、自治体とかはマッチングが好きなんですよ。ただ、マッチング成立後の後追いってあんまりしてないんですよね。なので、KPIとして行政サイドには都合がいいけど、マッチングした本人たちにやる気があればあるほどなんだか空回りしてしまうような設計にもなりがちだったりもします。質問者さんが「独自でパートナーを探したい、その時に効果的なやり方はないですか」とお尋ねになる気持ちは、多分、行政のこれまでのちょっと独りよがりなKPI設定にも原因があったんじゃないかと思いました。蛯原さんがVCの仕事だって言われた時にそうだよなと思ったんですよね。
蛯原:一般的には先ほど述べたような役割をしてくれるVCが米国にはたくさんあって、日本はそうでもないと批判されたりしますね。とは言え、さすがに日本もそういったVCはそれなりに増えてきたので、期待しすぎずにでもやっぱり門を叩いてみるといいんじゃないでしょうか。
角:ありがとうございます。村上さんはいかがでしょうか?
村上:おっしゃる通りなんで、あんまり付け加えることはないんですけども。最近はVCを中心にやっているイベントから、ディープテック絡みのイベントまでいろいろオープンにやってるところが増えてきています。質問者さんは自分で見たいっていう思いもお持ちなので、ある程度リサーチをして、こういう企業がこういうところを使ってくれるんじゃないかと想定した上で探しに行くっていうのもありかなと思います。
角:なるほど。以前のお悩み相談室で、オープンイノベーション関連で「誰と知り合っていいのかわからない」みたいな質問もありましたけどそれと近いですね。
自分で仮説を立てて「こういう人たちと知り合ったらいいんじゃないか」みたいな方向性を持った状態でお話をされるのがいいのかもしれないなと思いましたね。あとは多分、相手が本当にやりたくてやっているのかですよね。そのポジションに就いていてそのポジションとしての評価が欲しくてやっているのか否かといった部分や、人間の見極め、動機の見極めみたいなものも合わせてやられると良いかと思います。共同研究となると、1年ではなく何年もかかることが多いと思うので、「その時間を無駄にしたくない」という気持ちが質問者Cさんにある場合は信頼できる人の見極めみたいなものもセットでされるといいのかもしれないなと思いました。
簡単なことではない結構難しいことですけど、相手の背景や動機、なぜそれをやっているのかといったところまで突き詰めてお話をされるとわかりやすくなるかもしれません。ということで、Cさん、ぜひ参考にしていただければと思います。
回答のまとめ
1,産学連携における独自のパートナー探しの課題と解決策:
・公的な支援制度やマッチングイベントはあるが、必ずしも研究者のニーズに合っていない
・ベンチャーキャピタル(VC)に相談し、適切な企業パートナーの紹介や交渉のサポートを受ける
・ディープテック関連のイベントに参加し、自ら企業とのネットワークを構築する
・自分で仮説を立て、どのような企業と連携すべきかを明確にした上で探す
2,パートナー選びの際の留意点:
・相手の背景や動機、プロジェクトに対する本気度を見極める
・長期的な共同研究を見据え、信頼できるパートナーを選ぶ
・相手の立場や事情を理解した上で、Win-Winの関係を築ける企業を探す
今回ご紹介した内容は、以下のリンクから動画で視聴できます。
