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「たたき台」をつくる人が一番エライ

たたき台とは?

一般に、「たたき台」とは何かのプロジェクトの素案だったり、生煮えの企画案だったり、単なる議論のきっかけだったりします。 なのでほとんどの場合、宿命的にボコボコにされます。

「もっとこうした方がいい」とか「ここが間違ってる」とか色々言われてしまいます。 なので「あの案(を出したやつも)ダメだな」みたいな雰囲気になりがちです。 でも、たたき台ってそもそもそういうものなんです。

たたき台の目的は大きく以下の3つがあります。

①プロジェクトをスタートする
②課題を明らかにする
③コミュニケーションを生む

なので、最初から正解をつくる必要などなくて、むしろ正解じゃない方がいい。 「僕こんなこと思いついたんですけど皆さんどう思われますか?」みたいなカジュアルな雰囲気で出すべきもの。 そういう「議論するための土台」があるからこそ、みんなが乗っかって議論が始まっていくのです。

例えるなら、LEGOブロックの土台となる平べったいブロックの上に作りたい作品の一部だけつくってちょこんと載せた状態。

そこに、みんなが自分のアイデアを次々にオンしたり、少しずつ配置を修正したりして魅力的な作品が仕上がっていく。そんなクリエイティブなチームワークのきっかけとなるもの、それがたたき台です。

たたき台があるからこそ、皆で考えることができ、その結果、一人で考えるよりも短時間で良い企画に仕上がっていきます。

でも人間、他の人に色々言われたらダメ出しされたような気持ちになるし、そもそも不完全なものを見せるのは恥ずかしい。満足のいく完成度に高めてから他の人に見せたいってのが普通じゃないですか。

でもそれだとどんどん時間がなくなってスケジュールは厳しくなってしまう。 だからこそ、批判をおそれずたたき台を先にどんどん出せる人が一番大事なのです。

たたき台は新しい仕事の起点であり、それを出せる人は新しい仕事をつくれる人なのです。


安心してたたき台を出すための心理的安全性

とはいえ、批判されるのはつらいものですよね。 せっかく勇気を出してたたき台を出したのに重箱の隅をつついて間違いを指摘され、鬼の首をとったようにあげつらわれたら、もう金輪際たたき台なんて出すものかと思ってしまいますよね。 なので「たたき台を出しやすい環境」は大事だと思います。

「心理的安全性」という言葉があります。この言葉は色々な意味で使われていますが、ビジネスシーンにおける心理的安全性の本来の意味は「目的達成のために上下の隔てなく何でも言いあうことができる組織的態度」だといえます。 心理的安全性という字面から連想されがちなぬるま湯的なものではなく、目的達成のためのハードなディスカッションをしても、誰かを貶めたりしないし、いじけたりすねたりもしない、大人の関係性が構築されている組織の状態です。

そのためには、たたき台を出すことの意義の大きさもみんなが理解しているし、たたき台を出した当人も当初のアイデアに執着せず、その後の議論によってそれが改変されたり消滅したりすることが許容できているということが重要です。

この組織的態度があれば、上位役職者がたたき台を出したとき、忖度して誰からも意見が出ないという残念な状況も回避できます。

目的達成のために必要なことは上下関係など意識せずに何でもやるし、何でもいいあう。その中でたたき台を出すことの重要性をチームの全員が理解し尊重する。

チームの中にそうした組織的態度があるのであれば、たたき台を出すことの重要性や機能は共通認識となるはずです。

では、その心理的安全性を醸成するためにはどうすればよいか。 難しい問いですが、弊社フィラメントでは社長の角自らが、社内の会議等でまだ自身の中でも生煮えのアイデアをどんどん言ってダメ出しされる役を率先してやるようにしています。 社長が社員にダメ出しされていて、それを恥ずかしがらない(むしろネタにする)という感じです。心理的安全性につながっているかどうかは何とも言えませんが、たたき台を出すこと、それについて自由闊達な意見を言い合うことが普通のことだと思えるようになるきっかけにはなっているのかもしれません。

また、同時にフィラメントでは「フィーカ」という雑談をするためだけの時間を設けています。 企業にとって、社内のコミュニケーションは血液の循環そのものです。 仕事に関することか否かに関係なく、お互いの知識や感情を共有し、刺激を与えあうことは新たなアイデアを生むきっかけになります。 個人の持つ雑念が雑談で共有されることによって企画に繋がっていき、それが実行される…これはたたき台が生まれ仕事となっていくプロセスそのものです。


「締切りをつくる人」も大事

ということで、たたき台を作る人は自分が勇気を出して一見損な役回りを引き受けつつ仕事のきっかけを作るから一番エライ。 ちなみに2番目にエライ(というか順番とかつける意味もないかと思いますが)のは「締切を作る人」だと思っています。 締め切りがないといくらたたき台を出したとしても言いっぱなしで終わってしまいますから。 そして、多くの場合、たたき台を出す人は締切を作ることが苦手です。 心理的属性が違うんでしょうね。 でも締め切りがないと仕事が次のフェーズに進んでいかない。 この2人が組むとプロジェクトを動かすために最低限必要な機能をもつチームができていく感覚があります。


プロジェクトをつくる最後のピース ー 風呂敷の中身を詰める人

別な例え方をすると、たたき台を作る人はいわば「風呂敷を広げる人」であり、締切りをつくる人は「風呂敷をたたむ人」です。

ですが、プロジェクトを意義あるものにするためにはもう一つ重要な機能があります。

それは「風呂敷の中身を詰める人」です。

たたき台として広げられた風呂敷の上にどんどんアイデアを積み上げて大きく膨らませる人。 誰かが出したアイデアであっても自分が出したアイデアと同じようにそれを愛し、より良いものに磨き上げるために情熱を注げる人です。 風呂敷を広げる人がリーダーであるとすると、風呂敷の中身を詰める人は良きフォロワーであるといってもいいでしょう。

人間は誰でも自分が出したアイデアが可愛いし愛着があるもの。 それに比べて、他人が出したアイデアには思い入れが湧きにくいしどうしても不完全性の方に目がいってしまうものです。 そんなバイアスを乗り越えて、目の前のたたき台の可能性に目を向け、そこを伸ばしつつ、不完全な部分を修正していくのに情熱を注げる人。

そんな人が風呂敷に中身を詰められる人であり、風呂敷を広げた人(たたき台を出した人)を輝かせることができる人なのです。

たたき台を出せる人は勇気を出してプロジェクトの起点を作っていくという意味でやはり最も重要だと思います。 しかし一方で、飽きっぽい人である場合が多い。

たたき台をベースに議論が進み、それに合わせてスケジュール ー 締切りを決めるとプロジェクトとして走り始めます。 その締切りを決める人はプロジェクトの全体を俯瞰できるけど、個々のアイデアを膨らませていくことには手が回らない場合が多い。

そこに、たたき台の上に載せていく内容を考えていく人、魅力的なアイデアを追加したり、課題を解決するアイデアを出せる人が組むことでプロジェクトの意義は高まり、仕事が大きくなっていきます。

風呂敷を広げ、詰め、畳む。この一連の動きができるメンバーが心理的安全性 目的のために何でも言いあえ、遺恨を残さない組織的態度 の中で活動できることが新しい事業を生むために最も重要なのではないでしょうか。


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