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「たたき台」をつくる人が一番エライ2 ー 最強のたたき台をつくる6つのコツ

「たたき台」をつくる人が一番エライという記事を以前書いたことをきっかけに、たたき台やアイデアを出すことに関する講演の依頼をいただく機会が増えてきました。
講演時の際に決まって出てくる質問が「たたき台をつくるコツを教えてほしい」というものです。


たたき台とは?

そもそも「たたき台とは何か?」をフィラメント流にざっくり定義すると、『提案的要素をもつ様々な企画や資料のとりあえず作ってみたバージョン』と言えます。 なので、その範囲はとても広く、たたき台の作り方として一律に具体的で共通性のある「コツ」をお伝えしようとするのは無理があります。 私はたたき台というものは、クオリティ関係なく作るだけで価値があると思っているのですが、せっかく作ったのにその価値が十分に発揮できていないたたき台が存在するのも事実です。

そうした「残念なたたき台」というものは、おおむね以下の三つのパターンに分けられると思っています。


残念なたたき台の3パターン

A 内容がわかりにくい

B チームが乗りにくい

C 「だからこうしよう」がない

「たたき台」をつくる人が一番エライという記事でも書きましたが、たたき台の目的は  
・プロジェクトをスタートする  
・課題を明らかにする  
・コミュニケーションを生む
の三つです。

たたき台には「チームが新たな活動を始めるための呼び水」としての役割が期待されているわけですが、上記A~Cにあてはまる「残念なたたき台」だと、その役割が十分に果たされないわけです。

では残念なたたき台になってしまうのはなぜか、その理由を掘り下げてクリアに認識することで、より望ましいたたき台をつくるコツをお伝えしたいと思います。


残念パターンA:「内容がわかりにくい」たたき台になる理由

たたき台に限らず、つくられた資料がわかりにくい場合、その理由を「なぜなぜ分析」的に幾度も問いなおし、突き詰めてみます。すると、資料の作り手の意識が自分自身に向き過ぎていて、読み手=チームメンバーのことを十分に意識できていないことが根本原因となってる場合が実に多いです。いわゆるひとりよがりな資料となっているということ。そして、その理由をさらにもう一段「なぜそうなっているのか」と突き詰めると以下の2つに大別できます。

①「誰に向けて書くか」を設定していない(自分本位)

資料を作成する際に、誰に向けた文書なのかを設定せずに書き始めると「自分のための資料」になってしまいます。言い換えると自分自身がお客さんになってしまうということです。 たたき台とはチームで仕事を開始するための最初のパーツとなるものです。チームのことを考えずに自分がやりたいことを書いてしまった資料であれば、それはたたき台ではなく、自分のアイデアのプレゼン資料と呼ぶべきでしょう。もちろん、ただちにそれが悪いとは言いませんし、価値あるアイデアである場合もあるでしょうが、それはもう、たたき台とは機能も目的もちがうものです。


②読み手と自分の情報理解度の乖離を意識できていない(非顧客目線)

あたりまえですが、資料の作り手と読み手は異なる別な人間です。なので保有している情報もちがうし、ある情報から読み解ける二次情報はさらに乖離します。 こうした「情報理解度の乖離」は同じチームで働いている中でも日夜発生しますし、コミュニケーションが十分でなければその乖離はどんどん広がっていきます。 ましてや、たたき台の対象となる新しい取り組みであれば、より情報理解度の乖離が発生しやすい。こうした情報の乖離を意識できず、「自分には当たり前だけど読み手にはなじみがない情報」が何の説明もなく入っていたりすると、読み手が理解しにくいだけでなく「自分が関わるべきものではない」という意識まで生みかねません。こうなると本来たたき台が果たすべき役割とはまったく逆方向の効果が発生してしまいます。


残念パターンB:「チームが乗りにくい」たたき台になる理由

前にも書きましたが、そもそもたたき台とはチームが動き出すきっかけとなるべきものです。なのにチームメンバーがたたき台を読んだときに「これには乗りにくい」とか「自分がどう動けばいいのかわからない」という印象を抱かせてしまうようではたたき台の機能が十分に果たせていないことになります。そんな機能不十分なたたき台になってしまう主な原因は以下の2つです。


③課題認識がずれている(課題錯誤)

たたき台には「プロジェクトをスタートに導く」という目的があります。 たたき台をもとに生み出されるプロジェクトには大きなものもあれば小さいものもありますが、基本的に時間や労力や資金の投資を伴います。投資をするということはコストをかけるとですし、コストをかけるためにはコストをかけるだけの価値の説明も必要となります。 チームにとってコストをかけるに値する課題とは何なのか、その認識が一致した中でつくったたたき台であれば、チームメンバーも興味深く聞いてくれるはずです。 ですが課題認識がずれていた場合、「たたき台を作ってくれたのはうれしいんだけど、そこじゃないんだよな…」みたいな気まずい空気が流れるかもしれません。コストをかけて今取り組むべきことはなんなのか、その共通認識はたたき台作成に非常に重要な要素なのです。


④チームに「どう動いてほしいか」の提案がない(設計不在)

プロジェクトをチームでスタートするための起動装置がたたき台だとするならば、たたき台からチームメンバーそれぞれにどう動いてほしいか、どんな意見が欲しいかの意図が読み取れていてしかるべきです。 そんな「しかるべきたたき台」であれば、読んだメンバーはちょっとうれしそうな顔をするはずです。「自分が力を発揮する余地がある」とか「自分を頼ってくれてるんだなと」と実感できるからです。 一方で、チームメンバーの特性や得意領域が生かせるポイントが見えないたたき台と接してしまうと、「私はどうすればいいの?」と困惑したり、場合によってはのけ者にされたような疎外感を感じてしまうかもしれません。

チームとして「次どう動くのがよさそうか」というネクストアクションのイメージと各チームメンバーがそのとき担うべき役割が意識して作られたたたき台であれば、「じゃあ、私がここやりますね」といった形で自然に持ち場も決まっていきますし、チームメンバーも喜んで受け入れてくれるはずです。


残念パターンC:「『だからこうしよう』がない」たたき台になる理由

チームを動かす最初のきっかけとして、たたき台に示されるべきものは2つあります。 それは「やるべきことはなにかーWhat」と「なぜそれをやるべきなのかーWhy」です。

「やるべきことは何かーWhat」については、
1)長期的な目標としての「やるべきこと」と、
2)今すぐやるべきアクションとしての「やるべきこと」
の2つの軸で答えが必要です。

「なぜそれをやるべきなのかーWhy」については、 情熱や意思をこめてそれが語られることによりチームメンバーの心にもそれが伝播し「じゃあやろうよ!」というポジティブな雰囲気が生まれます。 長期的な目標としての「やるべきこと」と「なぜそれをやるべきなのか」がセットで語られることで主体的意思が実感できる芯の強いたたき台になるはずです。


⑤やるべきことー足りていないものがわかっていない(現状不認識)

たたき台は、今手に入る情報で「とりあえずつくってみた」ものです。なので当然不完全だし、足りていないことだらけのはず。それはたたき台をつくった本人が一番よくわかっていると思います。たたき台をつくる際には、「ここが一番手薄なのでここからスタートするべき」という現状認識がたたき台の中に込められているとネクストアクションも明確になりますし、チーム内の役割分担にもつながっていきやすくなります

たたき台をつくっている人はそのプロジェクトに対してその時点で最も詳しい人です。ですが、自分のアイデアに酔っていると、弱点や足りていない点について考えが及ばず、「俺のアイデア見てよ」という点に終始するひとりよがりなたたき台になることもあります。そうなるとチームでプロジェクトをスタートするというたたき台の機能を弱めることになるのです。


⑥なぜやるべきー自分としての「こうしたい」がない(意志不在)

およそビジネスというものは人が作り出し、駆動し、加速させていくものです。これはあらゆるビジネスに共通するビジネスの本質、あるいは人間の営みの本質であり、たたき台はその起点となるものです。 読んで気持ちよいたたき台に共通するポイントは「主体的意思」にあふれているということ。「ああ、この人はこういう課題意識を持っていて、これをこういう風に解決するべきだと感じているんだな」と読み手にそういう意思・思いを伝えてくれる。その意思が伝えられることがディスカッションのスタート地点となります。 この主体的意思がないたたき台であれば、生きたディスカッションが始まらなかったり、ディスカッションの熱量が十分に高まらず、結果としてプロジェクトのスタートにつながらなかったりします。


失敗要因をつぶせば、よいたたき台が生まれる確率が高まる

上記で見てきた残念なたたき台に陥る要因をまとめると以下のようなものになります。

~残念なたたき台になりやすい6大要因~

 ①自分本位 誰に向けて書くかの設定をしていない

 ②非顧客目線 読み手と自分の情報理解度の乖離を意識していない

 ③課題錯誤 課題認識がずれている

 ④設計不在 チームに「どう動いてほしいか」の提案がない

 ⑤現状認識不足 足りていないものがわかっていない

 ⑥意志不在 自分としての「こうしたい」がない

断っておきますが、こうした要因にあてはまったたたき台であっても僕はたたき台は作られるだけで十分価値があると思っています。たたき台というものは完成度を高めるために時間をかけて作るものではありません。スピードを失うよりは「エイヤ」と作ってしまった方が価値が高い。なのですが、時間をかけずともちょっと意識するだけでクオリティが増す部分もあります。そうした「ちょっとした意識」を凝らしてもらうためにあげたのがこの6大要因です。

「残念なたたき台のワナ」に陥る原因を反面教師的に認識していれば、それが一番のたたき台をつくるコツともいえるかと思います。

上記6大要因をもとにして、普段の仕事の中でより活用しやすいように「最強のたたき台をつくる6つのチェックポイント」としてまとめておきます

「チームを動かす起点となる」というたたき台の目的をフルに発揮できる「最強のたたき台」をこのチェックポイントを参考につくってみてほしいと思います。

 ✓① 読み手=誰に読んでほしいか・誰を巻き込みたいかを定めているか

 ✓② 読み手が知っていること・知らないことを把握できているか

 ✓③ 読み手が抱えている課題や置かれている状況に寄り添えているか

 ✓④ 読み手にどうしてほしいか・どう動いてほしいかを意図できているか

 ✓⑤ 現時点でできていないこと・弱点や不足部分を理解できているか

 ✓⑥ 現状把握に基づき「こうするべき」という主体的意思を持てているか

この6つのチェックポイントは、たたき台以外のあらゆる資料をつくる際にも指針となるものです。
また、「読み手」を「顧客」や「スポンサー」に置き換えると新規事業をつくるときのピッチ資料にもそのまま応用できます

たたき台はプロジェクトのスターターであり、チームコミュニケーションの起点であり、ビジネスのブースターです。 そして「最強のたたき台」とは完成度が高いたたき台ではなく、読み手=チームメンバーのことを第一に考えてつくられた「最高に優しいたたき台」のことだと思っています。

たたき台をつくるひとが一番エライ、僕はそう思っていますが、最強のたたき台をつくれる人は、チームメンバーに心底寄り添える「最高にチーム思いの人」なのです


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