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「真面目」な大企業が新規事業アイデアでハマる2つの落とし穴

新規事業をつくりたいのですがうちの社員はみんな真面目で…」という嘆きとも自慢とも聞こえる言葉とともにご相談を受けることが多いです。

ここでいう「真面目」とはどういうことか。よくよく聞くと、それは「会社の指示に忠実である」ということ。そして忠実すぎるあまりに、会社の指示以外のことに興味が持てない心理状態のことのようです。

言い換えると、真面目=心に遊びがない状態。心に遊びがないために興味の対象が限定されている状態。興味が持てないから、自発的・能動的な行動にも繋がりません。

企業全体がそういった「今やってる事業にしか興味が持てない」状態、組織風土が悪い意味で「真面目」である状態であるということでお悩みのようです。

真面目な会社の新規事業アイデアの特徴

いくつもそうした企業のお話を聞いていくと、「真面目」な会社の中で生まれる事業アイデアには、ある特徴があることがわかります。

それは

①「自社の強み」を活かそうという意図が強い発想
②「生活者視点」の素朴な発想

の2パターンがほとんどであるということ。

そして、上記2パターンから実際のビジネスに繋げられるケースは極めて少ないのです。

①の「自社の強み」パターンについては、既存事業会社の新規事業創出の起点として悪くはないのですが、新規事業創出に最も重要な「顧客起点・顧客密着」が希薄であるため、自分のアイデアの押し売りになりがちです。 高度経済成長期ならいざ知らず、今はその発想だけでビジネスが生み出せるような時代ではないのです。

今や山ほどのスタートアップがあります。それぞれが想定する顧客に密着して、痒いところに手が届くような使い勝手のいいサービスを、デジタルテクノロジーを駆使して安価に成立させ、モダンなビジネスモデルに仕立てて作りまくっている時代です。
この辺りのことはテレビCMに占める非大企業の広告比率の増大を意識すればよくわかると思います。(ほんの数年前に比べてスタートアップのCMは激増しているはずです。)

そんな競争環境の中で、思いつきで作ったような自社技術の押し売りのようなサービスが、徹底した顧客目線で作ったうえで日夜改善を繰り返しているスタートアップのサービスに勝てるはずがないという話です。

②の「生活者視点の発想」ならよいのか?というと、それも結論は同じです。
生活者起点の発想というものはアイデアとしてコモディティなのです。
そもそも生活者というのは誰かというと「世の中の人すべて」なわけです。

ですので生活者起点の発想というのは、「生活していれば誰もが思いつくこと」にすぎません。

日本において生活者発想のアイデアが生き残る確率なんて、単純計算で1.2億分の1くらいの確率。
1.2億人に思いつくチャンスがあるのにも関わらず事業になっていないのであれば、それは事業にならないから誰もやっていないと考える方が自然ではないでしょうか。

アイデアを出す能力=「情報摂取力」+「情報加工力」

組織風土が悪い意味で「真面目」な企業の根本的な問題点は、「情報のインプットの質・量ともに圧倒的に悪い」ということです。

この話をするためには「アイデアを出すことの本質」について触れる必要があります。

「アイデアを出す能力」とはなにか?この話題になったとき、多くの人がアウトプットする力、つまり「情報を加工して出力する能力」だと答えます。

ですが、フィラメントの解釈は違います。良いアイデアを出す際に不足しがちなのは「アウトプットする力」ではなく「情報を仕入れる能力」、インプットする力の方だと考えてます。

アイデアを出すとは
「情報摂取力」+「情報加工力」
の複合スキル


例えれば、家を建てようとするときに、建築材料の仕入れがなければ家が建たないのと同じことです。

「インプット酸欠状態」がもたらす企業組織の代謝異常

話を戻しますが、先述の悪い意味で真面目な会社というのは、アウトプットに偏重し「情報の仕入れ」が軽視されているからよい事業アイデアが出せないのです。

このインプットが明確にわかるほど欠乏した状態、いうなればインプット酸欠状態の企業では新規事業にまつわるあらゆる機能に以下のようなプロセスで代謝異常をきたします。

)そもそもインプットが少なくアイデアが出にくい中で頑張って絞りだしたアイデアは「自社の強みの押し売り」か「ありふれたアイデア」のどちらかになりがち

)リサーチを進めれば事業性がないことが明らかになるものの、アイデアが出せたこと自体が希少であるため、そのアイデアに過剰に執着し、担当者がリサーチの結果を客観的に受け入れられない

マネタイズ戦略が描けないにもかかわらず社会的意義の主張などによって事業アイデアを延命させようとし、上席者にもバイアスがかかったレポートを行う

)上席者も新規事業の経験がないうえに、部下の心情をくみ取りたい心情から、バイアスがかかったレポートを見て見ぬふりして、儲かる見込みのない事業を支援し続ける

)その結果、新規事業部門全体への社内からの信頼棄損、新規事業創出活動やアイデアを出すこと自体に対するネガティブな企業内認識の強化が行われる

)上記の1)~5)までのサイクルが何度も回ることで、新規事業開発のような浮ついたことをせずに会社から言われたことだけやっておこうという「真面目」なメンタリティとコンピテンシーが岩盤のように強固になっていく

「会社と家庭の往復だけの生活」がインプット酸欠をもたらす

こうしたインプット酸欠状態を起点とした組織の代謝異常のバッドループに陥らないようにするためには、その始点から対策を講じる必要があります。

つまり、なぜ自分たちの会社の社員は「自社の強みの押し売り」と「ありふれた生活者発想」しかできていないのか?という問いから考えるべきです。

この問いに対するフィラメントの考えは「こうした会社の社員の多くは生活のほとんどが自分の会社と家庭の往復だけで社会と直接接触する機会がほとんどない」のではないかということです。

また、そういう会社では社員が社外の方と接触することを快く思わない風土もセットになっている場合が多いです。

自社の情報漏洩や人材流出の原因になるという前時代的な目線を気にして、他社の人と会うどころかSNSのアカウントをつくることさえはばかられる雰囲気がある。こうした雰囲気も会社と家庭の往復を繰り返すことを助長しがちです。

であるならば会社がやるべき初手は決まっています。
社員が社外の方との接点を持つことを奨励する、持てるようにサポートする、そういう文化風土を作るところからスタートするべきです。

実際、そういう視点でサポートする、社外の学びを意識してもらうように思考と行動の習慣を誘導していくことで、企業文化・組織風土が変革され、それとともに社員のコンピテンシーが変わります。

そしてインプットの質と量が変わるー情報収集の範囲が大幅に広がるだけでなく、顧客や業界関係者から直接、一般には知られていない「一次情報」をとってくるようになります。他の人が知らないレアな情報にフットワーク軽くアクセスするような行動力と、様々な情報をつなげ、組み合わせて考える思考力が身につきます。

フィラメント流の企業組織変革・人材育成・新規事業創出

ではそのために具体的に何をすればいいのか?

フィラメントでは、独自開発した組織開発と人材開発のメソッドを駆使して以下のようなステップで組織風土と企業文化の改革と社員のコンピテンシー変革、そして新規事業創出を行っていきます。

1stフェーズ トップエンゲージメントの表明
・社長や経営陣が、社員の変革、コンピテンシーを変えていく活動をサポートすることを、社内イベント等を通じて表明してもらう

2ndフェーズ 社会の動きに興味を持ってもらう
・社内講演などを通じてインプットの重要性やアイデアの出し方などを伝える
「面白がり力」強化プログラムWSでコンピテンシー変革へ誘導する

3rdフェーズ 社会との接点を増やす
・情報の摂取方法 ー 新聞の能動的な読み方や知識の獲得方法 ー のトレーニング
・Slackなどのテキストチャットを通じてアイデア創出をサポート

4thフェーズ 一次情報との接点を増やす
・ユニークなスペシャリストをゲストに招いたオンライン雑談会
・ユーザーインタビューへの誘導

5thフェーズ インプット量を増やした上でのビジネスアイデア創発
ストーリーカードメソッドWS実施

6thフェーズ 社内ビジネスコンテスト開催
・エントリー誘導と伴走型メンタリングによる事業開発支援

7thフェーズ 社内ビジネスコンテストで選ばれた事業の事業化継続
・ローンチに至るまでの伴走型メンタリングによる事業開発支援の継続

新規事業創出が得意とされるリクルートのような会社もありますが、多くの企業はそうではありません。

事業形態だけでなく、企業の成り立ちや沿革も違いますし、人材採用の基準や戦略、さらには組織内のルールまですべてが異なります。

特に高度経済成長期以前からあるような企業の多くは製造業などの設備産業が多く、人材も設備の一部という考えが払しょくできていません。

ですからアウトプットのみを求めたり、工場の中に閉じ込めたりする文化が抜け切れていない。

そうした旧弊を打破し、組織風土改善を抜きにして新規事業創出は難しいのではないでしょうか。

逆に言えば、そうした組織風土改善からはじめることが「両利きの経営」、つまり既存事業の洗練を深めていく「知の深化」と、新たな事業のアイデアを幅広くつかんでいく「知の探索」の両方を実行できるモダンな企業への近道でもあるのではないかと思います。


フィラメントでは新規事業創出とそのプロセスを通じた人材開発や組織開発などを幅広くサポートしています。新規事業創出プログラムの事務局支援なども行っておりますので、ご興味のある企業や個人の方からのお問い合わせをお待ちしています!

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