サービスを改善するために必要な要素は何でしょうか? ケースによってずいぶん違うはずですが、基本の鉄則はそんなに違うものではありません。それを言語化することでチームに共通認識が生まれ、同じ行動から同じ品質のサービスが生み出されるというわけです。

ということで今回は初級・中級・上級に分けて、私が実際に経験から得たものを言語化し解説していきたいと思います。

今回はサービスを改善するためのアプローチの中級編です。ぶっちゃけ初級と中級でそれほど大きな差はありません。けれども、やや抽象度も高くなっていきますので、自身でしっかりと考えて実践に取り入れましょう。

宮内俊樹
フィラメントCCO(Chief Culture Officer)


1967年生まれ。早稲田大学法学部卒。 雑誌編集者を経て、2006年ヤフー株式会社に入社。社会貢献サービスの統括、大阪開発室本部長、ライフラインユニットマネージャーを歴任。天気、路線、防災のサービスを統括し、Yahoo!天気アプリを2年で7倍のユーザー数に成長させる。その後はオリジナルメディア「Future Questions」の編集長のほか、防災、行政、社会貢献等の複数プロジェクトに携わる。複業として2018年よりフィラメントのCCO、京都芸術大学の客員教授等、マルチに活動しつつ、2020年11月よりディップ株式会社の執行役員に就任。



1. 周到な準備よりも、変化への対応を

「サンクコスト」という考え方があります。これまでに費やした時間や労力を考えると、変化ややり直しに対する認知バイアスになってしまい、とかく判断を誤ります。 これに対する対処は、2つのアプローチがあります。1つ目は試してみることにあまりコストをかけないこと、周到に準備したり時間をかけすぎたりしないこと。2つ目は変化すること、やり直すことに大胆になること、勇気を持つこと。

ぶっちゃけ2つ目は結構難しいですよね。いくら勇気があってもこれまでに要した時間やお金を考えたら、やり直しなんてなかなかできないものです。だからこそ1つ目が重要なんです。


2. 思いこまない、常識に捉われない

とかくバイアスや常識にとらわれると、ユーザーの心理を手前勝手に解釈しがちです。それだと、本当に価値のあるものにはたどり着けません。自分の思い込みを排除するためには常識を一切捨て去りましょう。

常識を捨て去るには、芸術作品・文芸作品が役に立つことがあります。スペキュラティブ・デザインやクリティカル・デザインと呼ばれるアート作品や、SF小説などの「批判精神」からヒントを得てみましょう。


3. スピードとテンポを重視する。そうすれば品質はついてくる

サービスの品質向上と制作のスピードは、トレードオフだという考え方がありますが、僕はあまり賛成しません。だいたい時間がかかるのは「コミュニケーション」に時間がかかっていたりするんですよね。 テンポ良く意思疎通ができてスピード感をもって対応できているプロジェクトは、大体品質もよくなります。プロジェクトメンバーが自発的に品質を上げることに取り組むからです。

もしサービス改善のスピードが出ていないなと感じたら、それは品質面でもリスクになり得ます。プロジェクトの障害となっている要因はないか、チェックしてみましょう。


4. CSのユーザーボイスは宝の山

ユーザーの声は、向こうから改善要望をくれるわけですからまさに宝の山です。これを軽視するプロジェクトリーダーに優秀な人はいません。リーダーこそ率先して CS に届くユーザーの生の声に耳を傾けるべきでしょう。

私が知っている優秀なプロジェクトリーダーは、毎日Twitterでサービス名をエゴサーチして、ユーザー投稿を集めるのを日課にしていました。朝イチの習慣にするといいでしょう。


5. 組織の距離を詰めないと、いいモノはできない

企画〜デザイン〜開発と、 制作プロセスにはさまざまな部署が関わってきます。ここに認識のずれがあったりコミュニケーションの隔たりがあったりすると、絶対にいいものはできません。企画側、開発側といった「側」というワードが出てきたら危険な兆候です。

社内の部署の都合は、ユーザーにはまったく関係ありません。私も以前の上司に指摘されて以来、肝に命じています。 「側」は禁止です。どっち側でもいいので、サービス開発者は「ユーザー側」になりましょう。


サービス改善のための鉄則/中級編

1. 周到な準備よりも、変化への対応を
2.思いこまない、常識に捉われない
3.スピードとテンポを重視する。そうすれば品質はついてくる
4.CSのユーザーボイスは宝の山
5.組織の距離を詰めないと、いいモノはできない


上級編

初級編



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